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古着好きスタイリストが語るヴィンテージカルチャーの魅力|Tokyo Vintage Fashion Week

Mar 24, 2026
東京を世界の5大ファッションウィークの一角として確立することを目指す「TOKYO CREATIVE SALON」の公式イベントとして開催された「Tokyo Vintage Fashion Week」。そのコンテンツのひとつが古着屋で流通する日常的に親しまれている古着による「Regular Vintage Fashion Show」。ランウェイを担当したスタイリストの原田学さんとeriさんに、日本発ともいえるヴィンテージカルチャーの魅力や楽しみ方を取材した。

古着好きスタイリストが語るヴィンテージカルチャーの魅力|Tokyo Vintage Fashion Week

Mar 24, 2026 - FASHION
東京を世界の5大ファッションウィークの一角として確立することを目指す「TOKYO CREATIVE SALON」の公式イベントとして開催された「Tokyo Vintage Fashion Week」。そのコンテンツのひとつが古着屋で流通する日常的に親しまれている古着による「Regular Vintage Fashion Show」。ランウェイを担当したスタイリストの原田学さんとeriさんに、日本発ともいえるヴィンテージカルチャーの魅力や楽しみ方を取材した。

Tokyo Vintage Fashion Weekとは

Tokyo Vintage Fashion Weekは「日本を世界5 大都市ファッションウィークの一角へ」 と押し上げることを目的に誕生した「TOKYO CREATIVE SALON」のオリジナルコンテンツ。本イベントでは、海外から高い評価を得ている日本のVintage(古着・プレミアムアイテムなど)を軸に展開。日本が培ってきた独自のヴィンテージカルチャーを世界へ発信することで、国内外から人と経済を呼び込み、新たなファッション都市としての東京の地位を確立していく。

映えるけれど奇抜すぎないリアルな古着スタイリングを

—原田さんはメンズ担当でしたが、今回のショーはスタイリングテーマのようなものあったのでしょうか。

原田:ショーの服は全て商品として販売されている古着なので、「古着だけでこんなにかっこいいスタイリングができるんだ」って思ってもらいたいというのは第一に考えたことです。

—どのような人物像を想定してルックを組みましたか。

原田:古着に関心がある方というのはおしゃれをしたいという願望もきっと強いでしょうし、コーディネートも自分で選べる方が多いと思うので、そういう男性をイメージしてルックを組みました。

—大胆なレイヤードや足元の合わせなど、デザイナーズのショーでは見られないようなルックも多くてすごく新鮮でした。

原田:そういう自由で雑多な組み合わせも許されるというのが古着スタイリングの魅力ですよね。

—表現したかったテーマなど、レディースはどうでしたか。

eri:「街で見かけたときに、思わず二度見してしまう女の子」がスタリングのテーマでした。

—「二度見してしまうスタイリング」のポイントは?

eri:古着って自由度が高いとは思いますが、組み合わせによっては奇抜になりすぎてしまうこともありますよね。アイテムのレイヤードや色の掛け合わせなど、少しだけ攻めているけれど、普通に街を歩いていてもかわいいなと思うスタイリングを目指しました。ランウェイ映えはするけれど、奇抜すぎないというバランスは難しかったです。

原田:僕は普段は飛ばし過ぎることも多いのですが(笑)。でも、古着をリアルに着こなすということで今回は足しすぎない、盛りすぎないというのは意識したところです。ただ、誰もが見慣れているというスタイリングにならないようにはしたつもりです。

—普段の着こなしに取り入れてもらいたい古着などはあるのでしょうか。

eri:ドレスは70年代でも80年代でも、その時代らしさがシルエットやデザインに現れるので古着のなかでもちょっと濃いアイテムだとは思うんです。そのイメージを崩してカジュアルダウンさせるために私はドレス同士をレイヤードさせたのですが、ドレスを2枚買うことも古着ならそんなに難しくはないと思います。そういうことも含めて古着ならではの挑戦を楽しんでもらえたら嬉しいです。

—「Tokyo Vintage Fashion Week」での古着だけでのショーという試みをどう思いましたか。

原田:古着だけでスタイリングを完成させるというのは日本らしいコンテンツですよね。ブランドでもアイテムでも縦横無尽にミックスさせるというのは日本人が長けているところでもあるので、その発信には意味があると思いました。それこそ今回の「Tokyo Vintage Fashion Week」が掲げているように「世界初」なんだろうなって。

eri:「世界初」っていうのは本当にそうだなと思いました。

原田:古着のスタイリングって「ウエスタン」や「フィフティーズ」、「ワーカー」などジャンルでの表現が多いですが、そこも取っ払って自由にミックスさせたビジュアルというのは僕もあまり経験はないですね。

—ショーを拝見していてアメリカンからヨ―ロッパ風まで次々と登場して、制約のない楽しさは感じました。

原田:ノースリーブからアウターまで主役にできるのも四季のある日本ならではじゃないでしょうか。

—eriさんは「世界初」のショーからオファーがあったときはどう思いました。

eri:「夢が叶った!」って感じでした(笑)。

—夢だったんですか?

eri:両親も私も古着屋をやっていますし、幼い頃から古着が身近にありました。スタイリストとして現行のコレクションのショーにも携わることは多いですが、「この世界観を古着でやったらもっと可愛くなる」と思うこともあったんです。その思いが今回のショーでようやく実現できて嬉しかったです。

日本のヴィンテージカルチャーは絶えずに進化するはず

—ヴィンテージファッションの魅力とは何でしょうか。

原田:海外のデザインチームも日本の古着カルチャーにはずっと注目しています。日本の古着が元ネタになっているようなコレクションも珍しくないので、サンプリングの元ネタをいち早く着こなしに取り入れるというのも古着の楽しみ方のひとつです。街で現行品と古着をミックスさせている若い世代を目にしますが、すごくおしゃれだなって思いますね。

eri:お手本にしたいようなスタイリングってそれぞれにあると思うんです。それを全身で表現しようとしたときに古着であれば現行品よりもコストを抑えて完成させることができます。しかも古着は一点物も多いので、同じようなスタイリングであっても自分だけのこだわりを表現することもできます。そこも量販ではない古着の魅力だと思います。

—古着の初心者におすすめのショップなどはありますか。

原田:最初はチェーンで多店舗を展開しているショップがいいと思います。というのも物量が圧倒的なので、それだけ多くの古着との出会いがあるはずです。そこから自分が好きなデザインやテイストを絞り込んでいって、最終的には自分好みの専門店のようなところに通えばいいのではないでしょうか。最初からコアなファンが集まるようなショップだと敷居を高く感じるかもしれないです。

eri:現行のコレクションでもダメージ加工を施した服もありますが、そういった服をほしいと思ったらまずは古着屋に足を運んでみてほしいです。同じような味わいでも確実に安く手に入れることができるので。最初は「あのブランドのあのアイテムのような服」という探し方でいいと思います。それを続けていくうちにお手本がなくても自分らしい服をピックできるようになっていくはずです。

—これからのファッションシーンにおいてVintageはどのような役割を担っていくと思いますか。

原田:日本が誇るカルチャーとしてヴィンテージファッションが世界に進出していくのは自然の流れだと思います。そうなると古着好きの一人として「自分がほしいと思うような古着は全部世界に持っていかれるのでは」という不安もあったりするのですが(笑)。

—世界に広まってほしいけれど、そうあってほしくないようなという心境ですね。

原田:ただ、日本人の古着ファッションの掘り方って世界でも例を見ないと思っていて、世界が注目し始めたら、また別の角度で新たな古着の楽しみ方を発掘していくと信じています。これまでは見向きもされなかったような古着にファッションとしての価値を付けてきたのは日本のカルチャーシーンですから。

eri:私は古着に長年携わっているのでブームの時代も下火の時代も見てきているつもりです。でも、そういう一過性のことにとらわれず、これからは環境保全の視点からも新しいものだけを求めるのではなく、すでに存在する古着などを自身のライフスタイルに取り入れていくことも大切だと思っています。海外でも「スリフト」という概念が広まっていますしね。

—ヴィンテージファッションの流通が新しい価値観の醸成にもつながるんですね。

eri:アートピースのような存在になっていくことも古着の価値ではありますが、誰もがどこでも買えるようなヴィンテージファッションを愛してくれる人がこれから増えていってほしいです。私も原田さんも今回のショーで表現したかったのは、まさに誰もが楽しめるヴィンテージファッションでした。

原田:僕は本当に古着が好きなので、日本のヴィンテージファッションからインスピレーションを得たクリエーションが世界中から出てくることを期待しています。

  • Text : Akinori Mukaino(BARK IN STYLE)
  • Edit : Yusuke Soejima(QUI)

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