「Longing for Grey」、ガラスと写真が織りなす“グレー”の余韻──山野アンダーソン陽子&三部正博がVague Kobeで共演
これまでも「Glass Tableware in Still Life」をはじめとするプロジェクトで協働してきた二人は、素材と視覚の接点を探る実践を重ねてきた。ガラス、絵画、写真といった異なる表現を往還しながら、新たな風景を立ち上げるアプローチは、本展にも通底している。
本展では、タイトルにある“grey”が、白と黒のあいだに浮かぶ曖昧な光や感情、期待や記憶が交差する瞬間を象徴する。会場では、光を受けて表情を変える山野の新作グラス約250点と、光と影の気配をとらえた三部の写真作品が響き合い、時間と感覚の奥行きを描き出している。


山野の作品は、カップやジャグなど、日常に寄り添うテーブルウェアのかたちをとりながらも、ひとつひとつに異なる濃淡と佇まいを宿している。透明でありながら確かにそこに存在するグラスは、光に導かれるように静かに語りかけてくる。一方、三部による写真作品は、記憶のなかの風景のように淡く、実在と非在のあいだを行き来する。そこには静寂と余白、そして人の不在を感じさせる空間が立ち上がり、“grey”という言葉の奥行きを思い起こさせる。
また本展に合わせて、スウェーデンのクラフトジンメーカー・Stockholms Bränneriとコラボレーションし、山野のスケッチをラベルに用いたオリジナルクラフトジンも登場。ほうじ茶、山椒、エルダーフラワーを用いた芳醇な香りが、展示の余韻を味覚にも広げる。


12月27日(土)には、素材・光・記憶・風景をめぐる二部構成のトークイベントも開催。
第1部では、山野アンダーソン陽子と蒸留家・江口宏志(mitosaya 薬草園蒸留所)が登壇し、ジンとグラス、香りと味覚が交差する「ひと口の先にひらく景色」について語り合う。
第2部では、三部正博と写真家・鈴木理策による対話が実現。風景写真が立ち上がる“気配”と、それぞれの写真実践が深めてきた世界への視線をたどる時間となる。
ガラス、写真、ジン、言葉、そして空間。異なる感覚が交差し、柔らかくにじむ“グレー”が五感のなかに広がっていく。
Photo Credit: Vague Kobe
【プロフィール】
山野アンダーソン陽子
スウェーデン・ストックホルムを拠点に活動するガラス作家・テーブルウェアデザイナー。北欧最古のガラス工場コースタにある学校で吹きガラスを学び、スウェーデン国立美術工芸デザイン大学(Konstfack)にて修士課程修了。
クリアガラスの透明性や流動性、そして物質としての可能性に惹かれ、文化や記憶、個人的な習慣などに触発された作品を制作。ヨーロッパ、日本、アメリカなどで作品を展開している。
また、自身の主宰によるアートプロジェクト「Glass Tableware in Still Life」では、ガラス食器と絵画の関係性を問う視覚実験を展開。著書に、写真家・長島有里枝との共著『ははははの往復書簡』(晶文社)、アートブック『Glass Tableware in Still Life』(torch press)、エッセイ『ガラス』(Blue Sheep)など。
URL:http://www.yokoyamano.com/
Instagram:@yoko_yamano
三部正博
写真家。1983年東京都生まれ。東京ビジュアルアーツ専門学校卒業後、写真家・泊昭雄に師事し、2006年に独立。
音楽、ファッション、美術、建築など多領域での撮影に携わりながら、2015年頃より「landscape」シリーズを中心としたパーソナルワークを展開。
人為的な構造物と自然の風景が交錯するイメージをとらえ、見る者の視点を揺さぶる作品で知られる。近年の主な展覧会に「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」(広島市現代美術館、東京オペラシティ アートギャラリー、熊本市現代美術館)、「The New Domestic Landscape」「PORTRAIT IN LANDSCAPE」など。
URL:http://3be.in/
Instagram:@masahiro_sambe
【開催情報】
展覧会名:Longing for Grey
会期:2025年12月5日(金)〜2026年1月19日(月)
開館時間:毎週金曜日〜月曜日 12:00〜18:00
会場:Vague Kobe
住所:兵庫県神戸市中央区海岸通9-2 チャータードビル4F
観覧料:無料
お問い合わせ:contact-vaguekobe@tystudio.fr
Instagram:@vague_kobe
【トークイベント情報】
開催日:2025年12月27日(土)
会場:Vague Kobe(3F)
料金:各回3,300円(税込・1ドリンク付)/通し券5,500円(税込・先着20名限定)
予約URL:https://pci.jotform.com/vaguekobe/talk-event
Talk Event 01|13:00–14:30
登壇者:山野アンダーソン陽子(ガラス作家)、江口宏志(蒸留家/mitosaya 薬草園蒸留所)
内容:クラフトジンとガラス、飲み物と器の関係性を通して、「一口の先にひらく味覚の景色」について語る。
Talk Event 02|15:00–16:30
登壇者:三部正博(写真家)、鈴木理策(写真家)
内容:風景写真に漂う“気配”と、それぞれの写真実践が見つめてきた世界への視線をめぐる対話。