QUIがいま注目する新進気鋭3ブランドガイド ー 創作のために辿ってきた道と辿り着いた場所
では、BIBLIOTHERK、daisuke tanabe、YUTASETOGAWAの場合は。まずはデザイナーの経歴やコンセプトを起点に、クリエーションの基本となる考え方や特徴を紹介する。
BIBLIOTHERK/ビブリオテーク
静かなる情熱が宿る服
<BIBLIOTHERK(ビブリオテーク)>は、畑龍之介が2022年に設立したブランド。「ニュートラルでアンニュイな人間像」をテーマに、静けさの中に滲む感情や空気感を衣服として表現している。ブランド名はドイツ語で“図書館”を意味する「Bibliothek」に、デザイナー畑の頭文字「R」を加えた造語。アルゼンチン・ブエノスアイレスで生まれ、東京・渋谷育ちの畑は、高校時代をオランダとドイツで過ごし、図書館に足を運び続けながらファッションに惹かれていった経験を制作の原点としている。ドイツの伝統的なワークやミリタリーのディテール、当時感じた穏やかな時間の流れを現代的な感性で再構築。複数の文化や記憶が重なり合うことで、<BIBLIOTHERK>のワードローブは静かな強さを帯びている。
BIBLIOTHERK
https://www.instagram.com/bibliotherk/
daisuke tanabe/ダイスケ タナベ
伝統を更新する鋭い視点
<daisuke tanabe(ダイスケ タナベ)>は、田邉大祐が2023年に設立したブランド。京都大学経済学部を卒業後、パターン養成学校で服作りの基礎を学び、老舗テキスタイルブランドの「細尾(HOSOO)」にてテキスタイルデザインおよび商品企画を経験したのち独立した。ブランドの思想の根底には、ニュートンの言葉「巨人の肩の上に立つ(standing on the shoulders of giants)」があり、過去の偉人や伝統の積み重ねを踏まえたうえで新たな創造を目指す姿勢を打ち出している。イタリアのインカス社によるタンニンレザーやトスカーナのムートンなどの上質な素材を用い、京都の染めや伝統技法を取り入れながら、構造的なパターンと現代的なデザインで再解釈。映画や小説、写真といったカルチャーからの影響も織り込み、国内外の職人技術を活かしたコレクションを展開している。
daisuke tanabe
https://www.instagram.com/daisuketanabe_official/
YUTASETOGAWA/ユウタセトガワ
感性と機能美を交差させる
<YUTASETOGAWA(ユウタセトガワ)>は、瀬戸川裕太が2020年に設立したブランド。エモーショナルな感覚と機能美のバランスを重視し、軽やかなフォルムと構築的なパターンを軸に、日常に適応する洗練されたウェアを提案している。コンセプトには「We can make our beautiful world for tomorrow.」を掲げ、前向きな思想を服作りへと落とし込んでいる。エスモード卒業後にデザイナーとしての経験を積み、2021年にはイタリアの国際ファッションコンペティション「INTERNATIONAL LAB MITTELMODA」にて、日本人初となる「Sustainability Award」を受賞。2023年春夏シーズンより自身の名を冠してブランドを本格始動させ、端切れや廃材の再活用などの視点も取り入れながら、現代的で実用性の高いコレクションを展開している。
YUTASETOGAWA
https://www.instagram.com/yutasetogawa/
- Text : Akinori Mukaino(BARK IN STYLE)
- Edit : QUI Editorial Team






































