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国立国際美術館で第28回中之島映像劇場「Our Times」、5本の短編が映し出す「非常の常」との共鳴

Sep 30, 2025
国立国際美術館では、2025年10月4日(土)に第28回中之島映像劇場「Our Times」が開催される。本上映会は、同館で10月5日(日)まで開催中の特別展「非常の常」と呼応する5本の短編映像によって構成されている。

国立国際美術館で第28回中之島映像劇場「Our Times」、5本の短編が映し出す「非常の常」との共鳴

Sep 30, 2025 - NEWS
国立国際美術館では、2025年10月4日(土)に第28回中之島映像劇場「Our Times」が開催される。本上映会は、同館で10月5日(日)まで開催中の特別展「非常の常」と呼応する5本の短編映像によって構成されている。

藤井光の《COVID-19 May 2020》は、臨時休館中の東京都現代美術館で撮影された映像で、藤井自身の言葉を借りれば「孤立こそが連帯のかたちだったあの逆説的な時間の記録」である。韓国のアン・ジョンジュとチョン・ソジョンによる《機械の中の幽霊》では、都市開発で変容した生態系とパンデミック下の人間社会が交錯する。その中で、『カメラを持った男』(1929年)で知られるジガ・ヴェルトフの革命的ロマン主義が、AIドローンの送る過剰な情報に媒介され、非人間が主導する21世紀の視覚文化へと更新されていく。

藤井光《COVID-19, May 2020》2020年 courtesy of the artist

アン・ジョンジュ/チョン・ソジョン《機械の中の幽霊》2021年 courtesy of the artist

折笠良の《みじめな奇蹟》は、詩人・画家のアンリ・ミショーの文字とデッサンからなる同盟の原作を、アニメーションとして再生し、文字とイメージが精神の速度を探るように舞う。ジョナサン・グレイザーの《Strasbourg 1518》は、ストラスブールで発生したといわれる「1518年の踊り病」をモチーフにし、ダンサーたちが自室で踊る映像をつなぎ合わせ、彼のいう「孤立した協業(collaboration in isolation)」のなかで恐怖と抵抗の姿を刻む。

折笠良《みじめな奇蹟》2023年 ©Miyu Productions, National Film Board of Canada, New Deer

ジョナサン・グレイザー《Strasbourg 1518》2020年 ©AcademyFilms_BBCFilms

そして磯部真也《For rest》は、森の中に設置した被写体の変化を5年間記録した16ミリフィルム作品で、人間不在の風景に生命の循環を映し出す。

磯部真也《For rest》2017年 courtesy of the artist

約1時間に凝縮された本プログラムは、中之島映像劇場史上最短ながら、長く響く余韻を観客に残す。映像の中に立ち現れる「私たちの時間」に触れるひとときが待っている。

【プログラム】
・藤井光《COVID-19, May 2020》(2020年/5分49秒)
・アン・ジョンジュ/チョン・ソジョン《機械の中の幽霊》(2021年/20分10秒)
・折笠良《みじめな奇蹟》(2023年/8分13秒)
・ジョナサン・グレイザー《Strasbourg 1518》(2020年/10分)
・磯部真也《For rest》(2017年/17分/16ミリフィルムをデジタル変換)

【開催情報】
第28回中之島映像劇場「Our Times」
開催日:2025年10月4日(土)
時間:[午前] 11:00開始-12:15終了予定/[午後] 14:00開始-15:15終了予定(各回入れ替え制、開場は15分前)
会場:国立国際美術館 地下1階講堂(〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55
参加費:無料(各プログラム先着100名、当日10:00より整理券配布・1名につき1枚)
主催:国立国際美術館
協賛:公益財団法人ダイキン工業現代美術振興財団
同時開催:特別展「非常の常」、コレクション1
URL:https://www.nmao.go.jp/events/event/theater_028/

【お問い合わせ】
国立国際美術館 TEL 06-6447-4680(代表)
https://www.nmao.go.jp/

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