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広島市現代美術館で「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」、都市を漂うまなざしが切り取る日常

Sep 24, 2025
広島市現代美術館では、2025年9月27日(土)から12月7日(日)まで「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」が開催される。(PHOTO:鷹野隆大《2019.12.31.P.#02(距離)》〈Red Room Project〉より 2019 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates)

広島市現代美術館で「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」、都市を漂うまなざしが切り取る日常

Sep 24, 2025 - NEWS
広島市現代美術館では、2025年9月27日(土)から12月7日(日)まで「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」が開催される。(PHOTO:鷹野隆大《2019.12.31.P.#02(距離)》〈Red Room Project〉より 2019 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates)

鷹野隆大は、セクシュアリティをテーマにした作品や、1998年から現在まで続けている「毎日写真」プロジェクトなどで知られる写真家だ。本展は、代表作から未発表作までを網羅する約120点を展示し、30年以上にわたる作家の軌跡をたどる内容となっている。

「カスババ」とは鷹野による造語で、“滓(カス)のような場所(バ)”の複数形を意味するという。退屈で取り留めのない日常の断片を、むしろ思考の源泉として見直そうとする視点がそこには宿る。

鷹野隆大《2015.10.28.#a28》〈カスババ2〉より 2015 東京都写真美術館蔵 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

鷹野隆大《2019.12.31.P.#02(距離)》〈Red Room Project〉より 2019 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

鷹野隆大《2012.08.12.#b30》〈毎日写真〉より 2012 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

会場では、東京都写真美術館での展示をベースに、建築家・西澤徹夫との対話から生まれた空間設計が広島でも展開される。都市を回遊するような展示構成が、美術館という特別な場を日常へとほどき、美術と生活のあいだを揺さぶる体験へと開かれていく。

シリーズ作品も多彩で、フィルムを用いた《ヒューマンボディ1/1》、震災を機に始まった《Photo-Graph》、コロナ禍に制作された《CVD19》などが紹介される。初公開作も含まれる本展は、揺らぎのなかで日常を生き抜くための感覚を浮かび上がらせる。

鷹野隆大《2023.03.24.sc.#035》〈CVD19〉より 2023 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

鷹野隆大《2002.09.08.M.#b08》〈立ち上がれキクオ〉より 2002 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

鷹野隆大《レースの入った紫のキャミソールを着ている(2005.01.09.L.#04)》〈IN MY ROOM〉より 2005、東京都写真美術館蔵 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

出口の見えにくい今を生きる私たちにとって、この展示は日常をもう一度見直すための柔らかな光となるだろう。

【作家プロフィール】
鷹野隆大(たかの・りゅうだい)
福井県生まれ。1994年より作家活動を開始。『IN MY ROOM』(2005)で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞。代表作に「毎日写真」(1998–)、「カスババ」(2011–)など。2021年には国立国際美術館で個展「鷹野隆大 毎日写真 1999–2021」を開催。2022年、第72回芸術選奨文部科学大臣賞美術部門受賞、第38回写真の町東川賞国内作家賞受賞。

【開催情報】
展覧会名:鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―
会期:2025年9月27日(土)–12月7日(日)
会場:広島市現代美術館 展示室 B-2、B-3
開館時間:10:00–17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(ただし10/13、11/3、11/24は開館)、10/14、11/4、11/25
観覧料:一般1,100円(850円)、大学生800円(600円)、高校生・65歳以上550円(400円)、中学生以下無料
※(  )内は前売りおよび30 名以上の団体料金
※ 11/3(月・祝)は全館無料
主催:広島市現代美術館
企画協力:東京都写真美術館
URL:https://www.hiroshima-moca.jp/

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