ニューヨークで交差する視線と感覚、「アマルガム」展が光灯で開催中
「アマルガム」という言葉は、中世ラテン語に由来し、異なる性質のものが融合して新たな価値を形成することを意味する。文化や価値観などが多層的に入り交じるニューヨークで、移民として暮らす作家たちが日々の中で感じ取った視線や感覚が、それぞれの手法で形となる。

入江広基《“風を踏んで生きていた"「わからない p. 14」》2025
入江広基は、今年出版した写真集『わからない』から抜粋した作品を展示。自身を取り巻く風景や人物を観察し、偶然性から立ち現れる一瞬を切り取るその写真は、そこに写っているイメージを超え、見る者の感情を揺さぶる。

入江広基《“不安と希望"「わからない p. 62」》2025
サトウリホミは、絵画、ドローイング、コラージュ、スティッチングや、布や写真など多様な素材を用いたミクストメディアによる作品を制作するアーティスト。今回は「身体」「構造」「境界」をテーマに、日本からの移民としてアメリカで暮らし、女性として生きる中で感じた疑問や違和感を反映させ、“身体で絵を組み立てる感覚”で制作した新作を発表する。

サトウリホミ《Memory, Smoke, Fire》2025
平野啄也は、日々のアシスタント業務で生まれる廃材に着想を得て、額縁を制作する過程と、そこに偶然性を持って残された痕跡に着目した作品を発表。本来の役割から離れたフレームが、外枠と中身という物質として立ち現れることで、知覚の認識の再構築を試みる。

平野啄也《Frame #003》2025
3名が交差させる視線と感覚は、今を生きる複雑な現実をそれぞれのかたちで映し出す。会場では、その多層的な世界に触れることができるだろう。
【プロフィール】
入江広基
神奈川県生まれ。2018年渡米。目に見える世界の奥にある風景を追い求め、光や偶然の中に現れる瞬間を写真に収める。2025年、写真集『わからない』を刊行。
サトウリホミ
東京都生まれ。2015年渡米。絵画、ドローイング、コラージュ、布や写真を用いたミクストメディアを制作。近年の展示に「Friday Night Humanism」(2023)、「Senses of Bonds」(2024)など。
平野啄也
神奈川県生まれ。建築を学び、実務経験を経て渡米。素材やプロセスに重きを置く作品制作を行う。
【開催情報】
展覧会名|「アマルガム」
会期|2025年8月7日(木)~31日(日)
休廊日|月・火・水、8月14日~17日(夏季休業)
会場|光灯(東京都千代田区神田西福田町4-5 神田ビル3F)
開廊時間|木・金 13:00~19:00、土・日 12:00~18:00
協力|GOLD WOOD ART WORKS
公式サイト|www.kohtoh-gallery.com
Instagram|@kohtoh_gallery