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2019.12.16

「ミルク道」ってなぁに?ラッパーぎゅうにゅうとたましいが「ミ道」に挑戦

空前のサウナブームを巻き起こしたマンガ『サ道』。ドラマ化もされ、ご存じの方も多いはず。では、「ミ道」はどうだろう。牛乳を愛しすぎた男、ミルクマイスター®高砂が提唱するこの新たな“道”を、ラッパーのぎゅうにゅうとたましいが体験する!

Profile

  • ぎゅうにゅうとたましい

    ラッパー

    1993年神奈川県横浜市生まれ。自作のトラックに歌詞を乗せて歌うソロアーティスト。2017年8月より高円寺 無力無善寺にて活動開始。以降、都内のさまざまな場所でライブを行なっている。

    YouTube

  • ミルクマイスター®高砂(みるくまいすたー・たかさご)

    ミルクマイスター®/グラフィックデザイナー

    1983年山形県寒河江市生まれ。名古屋学芸大学卒業後、広告制作会社へ就職。2010年に牛乳雑貨店「ケビンミルク」を開店。これまで飲んだ牛乳は300種類以上。世界一牛乳好きなグラフィックデザイナー。

    オフィシャルサイト

今回、ミ道を体験するのは、ラッパーのぎゅうにゅうとたましい。名前に“ぎゅうにゅう”が付いているだけのことはあり、冷蔵庫に牛乳を切らしたことはないという牛乳好き。ミルクマイスター®を名乗る人物がいることは知らなかったそうで、「どんな方なのか楽しみです!」と興味津々。

一方、これまで300種類以上の牛乳を飲んできたというミルクマイスター®高砂。グラフィックデザイナーという職業を生かし、デザイン、アート、イベントなど、さまざまなアプローチで牛乳の魅力を発信している。

 

そもそも「ミルク道」ってなぁに?

ミルクマイスター®によると、ミ道とは「ミルクを五感で味わい、こころを真っ白にする」ための道。参加条件は牛乳が好きであること。

「牛乳が好きでよくお取り寄せをするんですが、単位が大きいんですよ、6リットルとか。はじめは自分ひとりで全部飲んでいたんですが、さすがにちょっと多いなと…(笑)。牛乳が好きなひとと一緒に飲めるイベントができたらいいと思ってはじめました」

そう、ミ道はミルク好きのみんなで楽しむイベントである、というのがポイント。この日も、牛乳を愛する人々が集まり、記念すべき第一回目のミ道がスタートした。

 

今日の主役は、佐賀県ミルン牧場の牛乳

まずは今日いただく牛乳の紹介から。佐賀県ミルン牧場。自然豊かな背振山麓の高原でのびのび育った牛さんから搾った牛乳だ。

「ミルン牧場の牛乳はノンホモ・パスチャライズ牛乳。普段僕たちが飲んでいる牛乳は超高温殺菌をされていますが、これは低温でゆっくり殺菌することで、牛乳本来の旨みをそのまま残しています。ノンホモというのは牛乳の中の脂肪分を均一化していないという意味。軽く振って飲んでもいいですが、振らずに飲むと上澄みと底の方で微妙な味の違いを感じられます」

ノンホモ・パスチャライズ牛乳について熱く語るミルクマイスター®

「へぇ〜」「うんうん」と、興味深そうに耳をかたむける

「ミルン牧場の牛乳はとても手間が掛かるぜいたくなもの。しっかりした甘さとコクがありながら、さっぱりとしているのが特徴です」

 

ミルン牧場のみなさんとミルクで乾杯!

コクがあるのにさっぱりしていて甘い…いったいどんな味わいなのか。期待に胸を膨らませながら、いざ乾杯!ミルン牧場とビデオ通話をつないで、生産者のみなさんといっしょにいただくことに。

画面の向こうにいるのはミルン牧場の横尾さん。親戚のみなさんも集まってくれた

かんぱーい!

くんくん

ゴクリ

うわぁ、おいしい!甘い!バニラみたい!

ぎゅうにゅうとたましいもびっくりのその味は、さらっとしているのにお菓子のような甘みとコクを感じる。これまでに飲んだことのない味だ。

「生産者さんが愛情込めて育てている牛の牛乳はやっぱり味が違うんです」とミルクマイスター®。

ミルン牧場の牛さんは、自由に牛舎の中を動きまわり、好きなときに好きなだけ餌を食べることができる

牧場の横尾さんにいろいろな質問をしたり、牛さんの様子を見ながら飲む牛乳はまた格別。参加者同士の距離も自然と縮まっていく。

横尾さんが「牛乳との相性抜群!」と届けてくれたイチオシの地元佐賀銘菓「北島の丸芳露」も登場した。

丸芳露ってはじめて食べるけど…

笑えるほど牛乳と合う!

 

ミルクスケッチとミル句で、今日の想い出を残そう

牛乳と丸芳露の最強マリアージュを楽しんだ後は、まとめの時間。まずは牛乳のボトルをじっくり眺めながらスケッチする。

ラベルにある牛のイラストから描きはじめたぎゅうにゅうとたましい。大きく描きすぎて全体感は収まらず…。

つづいて、牛乳の味わいや今日感じたことを自由律の「ミル句」にしたためる。ぎゅうにゅうとたましいは、本業のラップで披露した。

いつも大好きミルク味覚以外で味わい使う五感 改めましてみたいなアイサツをミルクと軽く交わした気がした コーヒー牛乳ミルクチョコレート形を変えていつも側へと 溶け込む今日は僕の心に一滴しみて白く染まるぅぅ

ぎゅうにゅうとたましい渾身のラップにつづき、参加者たちも思い思いに「ミル句」を発表。ミルクマイスター®も丸芳露にかけた一句を披露した。

心は白くほほえむ顔はミルクのように丸くなる

牛乳について学び、生産者さんと交流しながら味わい、ボトルを愛で描き、牛乳と触れ合った時間を詠む。こんなにも1本の牛乳と正面から向き合う経験をしたことがあるだろうか。

「こころを真っ白にする」とはどういうことか正直わからないままスタートしたが、終わってみるとなんだかやさしい気持ちに包まれている自分に気付く。初対面だった参加者たちも会が終わる頃にはすっかり打ち解け、終了後もあちこちで談笑する姿が見られた。これがミ道か…。

 

ミ道を終えて…ぎゅうにゅうとたましい×ミルクマイスター®高砂対談

ぎゅうにゅうとたましい(以下ぎゅうたま):今日はなんか、レベルがちがう牛乳を飲ませていただいて…ビビリました。

ミルクマイスター®高砂(以下マイスター):そういってもらえるとうれしいですね。お米と似ていて、どれもみんな同じだと思われがちなんですけど、比べてみると違いがわかるんですよ。

ぎゅうたま:ぜんぜん違いますよ。生産者の方と話しながら飲むというあの光景もすごくよかったです。

マイスター:今日はじめての試みだったんですが、予想以上によかったです。誰が作ったかがわかる、ということだけでも、全然味わいが違ってきますよね。

ぎゅうたま:ホントに。なんか愛が伝わってきました。

マイスター:ぎゅうにゅうとたましいさんは、なぜ名前に牛乳が付いているんですか?

ぎゅうたま:子供の頃から牛乳が好きなこともあるんですけど、なんか、ひらがなの感じがかわいいなって。

マイスター:わかります。牛乳ってかわいいですよね(笑)。ぎゅうにゅうとたましいって組み合わせもいい。かっこいいです。

ぎゅうたま:ありがとうございます(笑)。高砂さんはどういう経緯でミルクマイスター®になったんですか?

マイスター:僕は子供の頃からずっと背が低くて、常に牛乳を飲んでました。ふつう大学生くらいになると、ウォッカとかテキーラ飲むようになるじゃないですか、でも僕はずっと牛乳ひとすじ。

大学でグラフィックデザインを学んでいたんですが、そのときの課題で自分がいちばん好きなもののブランディングをしてみろというのがあって、そのテーマに牛乳を選んだんです。

それで牛乳について色々調べたら、いま酪農がけっこう大変なことになっている、このままだと日本の牛乳が飲めなくなるかもしれないということがわかって、これはどうにかしないといけないと思って。デザインと牛乳を掛け合わせて世の中に広めていけないか、と思ったのが一番はじめのきっかけです。

でも、大学卒業後は広告制作会社に就職して、毎日激務で休みもない。そんな時に自分の人生を見つめ直すきっかけがきて、自分が何をやりたかったかを考えたときに、牛乳を思い出した。忙しすぎて自分にとっていちばん大事なものを忘れてたんですよね。

そのときふと手元みたら、僕、豆乳飲んでたんですよ。そのときすごい罪悪感を覚えて。もう会社やめようと思って。

ぎゅうたま:えええ!!??

マイスター:本当なんです。で、急に牛乳屋さんをやるのはちょっとむずかしそうだったんで、でもミルク雑貨屋さんならできると思って江古田でショップをはじめたんです。

ミルクマイスター®高砂が江古田に開いていたショップ、ケビンミルク

ぎゅうたま:すごい!

マイスター:そしたらやっぱ、ぜんぜんお客さん来なくて(笑)。僕もお客さんの立場で考えると、ミルク雑貨屋よりふつうの雑貨屋に行きたいよな…と(笑)。それに、お店があると店番もしないといけないので、その他の活動がなにもできないんですよ。それで、2年くらいで店は畳んで、フリーのデザイナーをやりながら、全国の牧場をめぐって取材をして自分で「ミルク新聞」というのを出したり…。そうやっていまに続いている感じです。

ぎゅうたま:すごすぎますね。牛乳への愛がずっとありますね。

マイスター:自分の人生は牛乳に捧げようと思いました。

ぎゅうたま:いやぁ〜、ミ道、いいですよ。きょうはすごい楽しかったです。名乗っていてよかったです、ぎゅうにゅうとたましい。

マイスター:僕もミルクマイスター名乗っていてよかったですよ。僕がケチャップマイスターだったら出会ってなかったですもんね、今日。

ぎゅうたま:うわぁぁぁ〜

マイスター:ケチャ道やってましたね、そのときは。不思議なもんですよね、ご縁っていうのは。

ぎゅうたま:ホントですね〜。牛乳って、小さい頃から近くにあったし、付き合い長くて当たり前になりすぎてましたけど、今日改めて会話ができた気がします。いや〜、牛乳すごいっすわ。

「牛乳好きにわるいひとはいない」この日、ぎゅうにゅうとたましいが何度か口にした。牛乳が好き、という至極シンプルな共通項をもっているだけで、初対面の人間同士がこんなにも楽しく、和やかに同じ時間を過ごすことができる。そこにもミルクマイスター®高砂を夢中にさせる牛乳の魅力があるのかもしれない。

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