ファッション業界人が注目しているブランド図鑑 vol.3【D 〜 G】
ここでは、ファッション業界人100名が注目しているブランドを紹介。
大御所ブランドから、新進気鋭ブランドまで、業界人ならではの視点にも注目したい。
DAIRIKU — 青木 万希也 / PR
シーズン毎に映画を着想源としたコレクションを展開する<DAIRIKU>。
各ラインナップには、着想源となった作品の世界観だけでなく、その作品が制作された時代背景やそれを観たときのデザイナー自身の経験が落とし込まれているので、それぞれのアイテムにルーツやストーリーを感じます。また、映画という誰もが身近なモノから着想を得ていることで、<DAIRIKU>のファッションを通して映画を楽しむ、映画を通してファッションを楽しむという循環が生まれることもブランドの魅力の一つです。
DAIRIKU
https://www.instagram.com/dairiku/?hl=ja
diemm — 田村 拓也 / goffa , KIOSQUE バイヤー
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元々はウールのバッグをメインに作っていたフランスのブランドです。2024秋冬からアパレルラインも少しづつ作りはじめているので注目しています。ストリート的な要素がありますが、アメリカのブランドとは違って、クラシック感もミックスされているのが魅力的です。
基本的にはオンラインで販売しているため、なかなか実物を見ることができない希少なブランドです。
diemm
https://www.instagram.com/__diemm/
disem By SiiK — 本橋 達郎 / XANADU TOKYO
ユニセックスブランド<disem By SiiK(ディゼムバイシーク)>は、卓越したパターンが魅力のドメスティックブランド。
彼らのデザインするコレクションは、複雑なパターンながらサイズ展開が豊富で、レディースからメンズまで同じデザインの洋服を選ぶ事可能です。また毎シーズンデザイナーが物語を考えてそこからデザインに落とし込むという姿勢は、「XANADU TOKYO」がデザイナーに求める、”形のないものから発想するデザイン”を体現しています。
disem By SiiK
https://www.instagram.com/disembysiik/
Enfants Riches Déprimés — MATCHA / カメラマン , DJ
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フランス語で「憂鬱な金持ちの子供たち」を意味するユニセックスブランドで、荒廃的で解体されたデザインに美学が表現されています。2025春夏のショーでは監獄の中にいるモデルたちの演技力、時代を超えた過剰なパンク精神にすごく魅力を感じました。フェティシズムとエレガンスが巧みに融合されたスタイリングは、ぜひ取り入れてみたいです。
Enfants Riches Déprimés
https://www.instagram.com/erd.paris/
ER — 安田 香織 / PR &Communications
モデルのemmaさんとスタイリストの中村璃乃さんが2022年に立ち上げたブランド。2024秋冬コレクションからぐっと大人っぽいデザインになり、シーズンを問わずに長く着られる、シンプルで上質なロングコートやレザーセットアップなど、エターナルなアイテムが揃っています。
ディレクターの二人が30代を迎えて、身に纏うもののテイストが変化し、それがブランドのムードにも反映されています。最新コレクションと今後の展望に注目しています。
ER
https://www.instagram.com/_er_offi/
Fabian kis-Juhasz — オヨ / クライアントアドバイザー
昨今ジェンダーレスを唱えるブランドは多いけれど、“誰でも着られます!”という言葉に以前からとても違和感を感じていました。
<Fabian kis-Juhasz(ファビアン キシュハス)>は女性の胸を露わにしたトップスや、見方によっては性的嗜好の強いランジェリーアイテム、過去のコレクション映像作品でヘアメイクのインパクトを加えたパフォーマンスに惹かれました。
性別問わず”女性らしくいたい人がありのままでいられる服”を提唱するブランドで、女性であるためにフェミニンである必要はなく、フェミニンになるために女性である必要はないと謳っていて、これぞジェンダーレスの本質だと腑に落ちました。
なによりハンガリーのプロパガンダ法によって情報制限が厳しく多様性が認められていない環境に対して表現する、強烈なアンチテーゼが清々しくて格好いいです。
Fabian kis-Juhasz
https://www.instagram.com/fabiankisjuhasz/
FILME FILLED — 渡邊 あや / モデル
<FILME FILLED(フィルム フィルド)>はデザイナーの田畑大地さんが手掛けおり、2020年から始まった前身である<entity field>をリネームし、2023秋冬からスタートしたブランドです。以前、自衛隊に所属していた経験と映画好きでもある田畑さんならではの目線と織りなすストーリー性も魅力で、毎シーズン必ずチェックしています。
経験由来のアイテムデザインをベースに独自のパターンや素材とのやり取りが田畑さんらしく、重たくなりすぎず、でも軽すぎない絶妙なバランス感がとても好きです。今後も目が離せないブランドだなと思っています。
FILME FILLED
https://www.instagram.com/filmefilled_official/
GADID ANONIEM — 宮崎 翔太 / Freelance PR
元々ドメスティックブランドでPRや生産をしていたデザイナー2人によるブランドです。グラフィックへのアプローチが面白く、コレクションの着想源には実際に2人が世界を旅した街の写真がリアルに落とし込まれています。実験的でありながら、クリエイティブの楽しさを体現するものづくりです。まだ20代の彼女たちですが、若さとは反対に、アナログな方法を用いて独学でグラフィックを学ぶストイックさにも驚きます。DCの時代はパリ、裏原の時代は雑誌、昨今ではインスタグラムと、世の中の情報回収ツールが時代ごとに変化している中で、<GADID ANONIEM>の市場を理解し、時代に適応しながらファンを取り込んでいく能力は随一だと思っています。
GADID ANONIEM
https://www.instagram.com/gadidanoniem/
拳骨創造 — KANI / STYLIST
<拳骨創造>はここのがっこうでファッションを学び、リフォームテーラーで経験を積んだデザイナーさんが2018年にスタートしたブランドです。
2019秋冬、2020春夏、2020秋冬と3シーズンスタイリングを担当させていただき、私がスタイリストとしてキャリアをスタートしてから初めてお仕事をいただいたブランドです。デザイナーさんとは今でも公私ともにお世話になっております。
粛々と、愚直に淡々と服を作り、いなたい男性像を深く追求し、先人たちが生み出したアイテムやディテール、生まれた歴史などに敬意を払うものづくりは、昨今の流行り廃りとは逸脱した本物を教えてくれます。そういったアルチザン的要素もひしひしと感じつつ要所でのファブリックやギミックの変化球も拝見できるあたりが、僭越ながら私の大事にしているアイデンティティと重なるところがあり惹かれます。ぜひ、実際に見て着て感じてください。
拳骨創造
https://www.instagram.com/genkotsucreate.jp/
GLASS CYPRESS — 中江 悠人 / Seiya Nakamura 2.24 Inc. PR
<GLASS CYPRESS>は、2016年アメリカ・テキサス州ヒューストンにてSaber Ahmed(セイバー・アメド)とSamee Ahmed(サミー・アメド)の兄弟によって設立されました。
コレクションには、ブランドシグネチャーともいえる手刺繍や天然染色によるデザインを中心に展開しています。さらには民族的な技法と、抽象画のアーティストでもあるセイバーの現代アートが融合した、唯一無二の世界観が映し出されています。現在はメンズのみの展開ですが、今後ウィメンズの展開も予定しているさらなる拡大が楽しみなブランドです。
GLASS CYPRESS
https://www.instagram.com/glasscypress/
Gui Rosa — 川﨑 玲美 / スタイリスト
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実験的なオンラインスペース「ヴォールト」の開設時から、<GUCCI(グッチ)>とコラボレーションをしているブランドです。
前衛的なパンク要素は今を感じさせます。一際目を引く大胆さや、それと相反する繊細な素材との掛け合わせなど、異素材ミックスを得意としています。パッと全体を見た時のインパクトから、寄って見た時の細部のディテールまで、計算されバランスの取れたデザインにも注目です。
普段の自分にプラスするだけで、アクセントとなりスタイリングの深みにも繋がります。視覚も、袖を通した時の高揚感も、ファッションは楽しむものということを思い出させてくれるブランドです。
Gui Rosa
https://www.instagram.com/guiguir0sa/
GURTWEIN — 大倉 綾 / DELTA オーナー
デザイナーの長谷川さんとWINGさんよりご連絡をいただきコレクションを拝見しました。リカルド・ティッシの元、<GIVENCHY(ジバンシィ)>や<Burberry(バーバリー)>で経験を積んだ彼らは、和歌山県に築いた老舗工場のネットワークを背景にヨーロピアンなモードを表現しています。おふたりの人柄も素晴らしく、サステナビリティにも前向きな<GURTWEIN(ガーウィン)>の服は、かつてモードの世界にあったような緊張感があり、新しい自分を見つけてくれます。
GURTWEIN
https://www.instagram.com/gurtwein/