“身にまとう彫刻”──LEMAIREとCarlos Peñafielが呼応する巡回展「Wearable Sculptures」がLEMAIRE EBISUにて開催中
本展は、パリのエルゼヴィル旗艦店での初回開催、ソウル・ハンナム旗艦店での開催を経て、日本での巡回展として実施される。柔らかな光が差し込む空間に、Peñafielによる革の彫刻作品が静かに佇む。胸像や貝殻、カスタネットといった寓意的なモチーフが、革の質感を通して静かに形を変え、光とともに表情を移ろわせる。日常に寄り添うプロダクトと彫刻的な造形が呼応し合い、<LEMAIRE>らしい静謐な時間が流れる。



Peñafielは、水で湿らせた革を木型に押し当てて成形する伝統的なモールドレザー技法を駆使し、滑らかで、艶やかなフォルムを生み出す。この工程は高度な技術と忍耐を要し、素材が持つ独特のうねりに耳を傾けながら進められる。その手法によって生まれる作品は、貝殻であり、欲望の対象であり、そしてお守りのような存在でもある。
素材そのものが語るような造形は、<LEMAIRE>の世界観と呼応し、従来のレザーグッズの枠を軽やかに越え、身にまとうものと彫刻の境界を曖昧にしていく。
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チリ生まれのPeñafielは、1970年代半ばからパリを拠点に活動。1980年代の<PIERRE CARDIN(ピエール・カルダン)>との出会い、そして2013年から続く<LEMAIRE>との協働を通じて、ファッションという領域の中で造形表現を発展させてきた。Maison des Métiers d’Art Français(フランス工芸美術協会)に参加し、素材や技術、形態の探求を深めている。木型に革を押し当てて成形する技法を磨き上げ、日常生活から着想を得たオブジェを、柔軟さと強さ、そして繊細さをもって形づくっている。代表作には、<PIERRE CARDIN>の「Chaussures à doigts」(1985年)や、2014年秋冬<LEMAIRE>のランウェイを飾ったバッグ作品群がある。クラフトと詩性を往還するアーティストとして、今なお揺るぎない存在を示し続けている。

書籍『Carlos Peñafiel』は、<LEMAIRE>の共同アーティスティック・ディレクターであるSarah-Linh Tran(サラ=リン・トラン)が設立したÉditions Siegelbaum-Tran(エディション・ジーゲルバウム=トラン)による初の出版物。本書は2025年3月に刊行され、Lemaire.frおよびフラッグシップストアにて販売されている。
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素材が形へと移ろう、その静かな時間をLEMAIRE EBISUの空間で感じてほしい。
【開催情報】
展覧会名:WEARABLE SCULPTURES カルロス・ペニャフィエル展
会期:2025年10月24日(金)– 11月7日(金)
会場:LEMAIRE EBISU(東京都渋谷区恵比寿3-21-1)
時間:11:00〜20:00
観覧料:無料
公式サイト:https://www.lemaire.fr/ja
【LEMAIREについて】
<LEMAIRE>は、Christophe Lemaire(クリストフ・ルメール)とSarah-Linh Tran(サラ=リン・トラン)が率いるパリのファッションブランド。音楽や文学、出版、応用美術など多様な背景をもとに、実用性を兼ね備えた服とアクセサリーを提案している。
フォルム・素材・機能の調和を追求するコレクションは、多文化的な感性を軸に、アーティストや職人との協働によって形づくられる。シーズンごとに進化を続けるアイテムは、身体の動きに寄り添う繊細なディテールと、自由に組み合わせられる柔軟な構成が特徴だ。
<LEMAIRE>のワードローブは、タイムレスでありながら、日常へ自然に溶け込むしなやかさを持つ。1991年の創設以来、パリのヴォージュ広場11番地にあるスタジオとアトリエを拠点に活動し、現在はパリ、東京、ソウルにフラッグシップストアを展開している。