前田は、水性アクリル絵具を極限まで希釈し、水平と垂直の構成の中で幾層にも塗り重ねることで、時間や空間の奥行きを感じさせる画面を生み出す。
一方、谷﨑は油絵具を用いた独自の技法で色彩とテクスチャを重ね、渦のイメージを通して生命のエネルギーを描き出している。

MAEDA Nobuaki　UB21-0210, 2021, Acrylic and pigment on canvas, 200.7×185.0×7.5cm

TANISAKI Isshin　Now, 2025, Oil on canvas, 227.3×1,272.6cm

本展では、前田がポーラ美術館の展覧会「カラーズ ― 色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」で発表した迫力ある作品を含む新旧作と、谷﨑による7連作の大作が並ぶ。静と動、構造と身体性といった異なる表現が同じ空間で響き合い、絵画が「呼吸」するような感覚を体験できる展示となっている。

MAEDA Nobuaki　UBW24-1105, 2024, Acrylic and pigment on canvas, 204.5×188.5×7.5cm

TANISAKI Isshin　Green, 2024, Oil on canvas, 227.3×181.8cm

作品が互いに交わり、渦のように広がっていく空間は、観る者を深い没入へと誘う。完成像にとどまらず、生成の過程そのものを感じさせる時間が立ち上がるだろう。

【作家プロフィール】
前田信明（MAEDA Nobuaki）
1949年熊本県出身・在住。中学・高校の美術教諭や九州産業大学造形短期大学部特任教授を歴任。1975年初個展以降、国内外で発表を続け、重力・水平線・垂直線を通じて身体と世界の広がりを抽象的に探究している。
Instagram｜＠nobuaki_maeda4649

谷﨑一心（TANISAKI Isshin）
1974年福岡県出身。生命のエネルギーや循環をテーマに制作。ドットによる風景表現から渦のモチーフへと展開し、国内外で個展・グループ展を開催。近年は国際展にも参加し活動を広げている。
Instagram｜＠isshintanisaki_official

【開催情報】
展覧会名：呼吸する絵画 ―交差と渦：前田信明 × 谷﨑一心
会期：2025年8月2日（土）～ 9月1日（月）
会場：LURF GALLERY（東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1 1・2F）
開館時間：11:00 ～ 19:00（不定休）
入場料：無料
URL：https://lurfgallery.com/blogs/current-exhibitions/breathing-paintings