国立工芸館で10年ぶりの大回顧展、「移転開館5周年記念 ルーシー・リー展ー東西をつなぐ優美のうつわー」9/9(火)より開催
ウィーンで生まれ、ロンドンに渡ったルーシー・リーは、出会った人や場所、そして時代背景の中で多様な美意識を吸収し、それを自らのうつわに昇華させながら独自のスタイルを確立した。しなやかなフォルムと繊細な釉薬の調和、その内に潜む芯の強さは、彼女の作品を唯一無二の存在へと押し上げている。
今回の展覧会は、国立工芸館に寄託された井内コレクションを中心に、初期から円熟期までの代表作が一堂に会する内容。さらに、ヨーゼフ・ホフマンやバーナード・リーチ、ハンス・コパーといった交流のあった作家の作品もあわせて紹介し、彼女の造形の源泉を多角的に読み解く構成となっている。
その歩みをたどる本展は、全4章で展開される。
第1章 ウィーンに生まれて
20世紀初頭のウィーン工房の空気の中で陶芸を学んだルーシー・リー。ヨーゼフ・ホフマンらと同時代の作家たちに囲まれ、そこで吸収した美意識を背景にした初期作品が紹介される。

ルーシー・リー《鉢》 1926年頃 個人蔵 撮影:野村 知也
第2章 ロンドンでの出会い
1938年にロンドンへ渡り、バーナード・リーチやハンス・コパーと交流。亡命先での新しい出会いが、彼女の作風に少なからぬ影響を与えた。作品とともに、そのつながりが示される。

ルーシー・リー《黄釉鉢》 1958年頃 井内コレクション (国立工芸館寄託) 撮影:品野 塁

ルーシー・リー《コーヒー・セット》 1960年頃 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティ フォト

ルーシー・リー《壺》 1965年頃 京都国立近代美術館蔵

ルーシー・リー/ハンス・コパー《カップ》 1960年頃 国立工芸館蔵 撮影:野村 知也 ©Estate of the artists when it’s a collaboration between Lucie Rie and Hans Coper
第3章 東洋との出会い
リーチや濱田庄司らとの交流を通して、東洋陶磁との関わりが深まる時代。東西の美が交差する環境の中で、リーの作品がどのように位置づけられるかを紹介する。

ルーシー・リー《白釉鎬文花瓶》 1976年頃 国立工芸館蔵 撮影:品野 塁
第4章 自らのスタイルへ ―陶芸家ルーシー・リー
1970年以降に制作された鉢や花器を中心に展示。釉薬と形態、そして装飾が一体となった作風が確立し、現在“ルーシー・リーらしい”と感じられる作品群が生み出された時期をたどる。

ルーシー・リー《ピンク象嵌小鉢》 1975-79年頃 国立工芸館蔵 撮影:アローアートワークス

ルーシー・リー《青釉鉢》 1978年 国立工芸館蔵 撮影:アローアートワークス

ルーシー・リー《白釉ピンク線文鉢》 1984年頃 井内コレクション (国立工芸館寄託) 撮影:野村 知也

ルーシー・リー 《ブロンズ釉花器》 1980年頃 井内コレクション(国立工芸館寄託) 撮影:品野 塁

ルーシー・リー《スパイラル文花瓶》 1980年頃 国立工芸館蔵 撮影:エス・アンド・ティ フォト
国内外で熱心なファンを持つルーシー・リー。その作品には、時代や国境を超えて響きあう静かな力が宿っている。本展を通して、彼女が生涯をかけて追い求めた優美のうつわに出会えるだろう。
【開催情報】
展覧会名:移転開館5周年記念 ルーシー・リー展 ―東西をつなぐ優美のうつわ―
会期:2025年9月9日(火)~11月24日(月・休)
会場:国立工芸館(金沢市出羽町3-2)
開館時間:9:30~17:30(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし9/15、10/13、11/3、11/24は開館)、9/16、10/14、11/4
主催:国立工芸館、北陸中日新聞
特別協力:井内コレクション、京都国立近代美術館
協賛:DNP大日本印刷
観覧料:一般1,200円(1,000円)、大学生800円(700円)、高校生500円(300円)
※( )内は20名以上の団体料金および割引料金
※中学生以下、障害者手帳提示者と付添者1名は無料
※いしかわ文化の日(10/19)および文化の日(11/3)は割引料金
URL:https://www.momat.go.jp/craft-museum/exhibitions/564
Instagram:https://www.instagram.com/nationalcraftsmuseum/