野口哲哉の大型個展「野口哲哉 鎧を着て見る夢 –ARMOURED DREAMER–」、彫刻の森美術館で開催中
本展は、美術館開館当初(1969年)の姿を残すギャラリー空間を活かし、立体・平面作品76点を展示。素材にはすべて樹脂やアクリルなど現代的なマテリアルを用いながらも、まるで本物の甲冑のようなリアルさを持ち、見る者の感覚をゆさぶる。

《floating man》 2025年 ミクストメディア Photo:長橋睦
野口が「生物の殻」として捉える鎧兜は、別次元の存在や芝居がかった装いではなく、時代や環境に応じて現れた人間の一つの姿として浮かび上がる。展示室では、浮遊感のある《floating man》(2025年)をはじめとする立体や平面作品が、様々なポーズや画風で構成され、静謐な空間の中に思索を誘うように展開する。

《Talking Head》2010年 ミクストメディア

《RING AND MAN》2024年 ミクストメディア Photo:長橋睦

《small sleep》2019年 ミクストメディア

《GUNMAN》2025年 ミクストメディア Photo:長橋睦

《Watcher》2025年 ミクストメディア Photo:長橋睦

《DANCE MAN》2022年 紙にアクリル彩⾊

《甲冑武⼈⾃転⾞乗⾞出陣影》2008年 紙にアクリル彩⾊
さらに、10月中旬には先端デジタル技術との協働による新作も追加展示予定。野口作品にとって初の試みとなる映像インスタレーションは、「落下」「人影」「深潜」といった情景を通じて、見る者の感情に訴えかける体験を提示する。
「Museum in Museum」という展示構成のもと、室内外を回遊しながら作品と出会う本展では、野外展示の彫刻群と野口作品との関係性も浮かび上がる。物質と記憶、そして時代を超えた“人間の在りよう”が、思考と感覚を行き交う余白として提示されている。

展示室1 撮影:長橋睦

展示室2 撮影:長橋睦

展示室3 撮影:長橋睦
【作家プロフィール】
野口哲哉(Tetsuya Noguchi)
1980年香川県生まれ。武具や甲冑を纏った人物像をリアリズムの視点から描く。近年の主な個展に「This is not a Samurai」(2021年 高松市美術館ほか)、「野口哲哉展 –armored space–」(2022年 銀座蔦屋書店)など。平成27年度香川県文化芸術新人賞受賞。
【開催情報】
展覧会名:野口哲哉 鎧を着て見る夢 –ARMOURED DREAMER–
会期:2025年7月19日(土)〜2026年1月12日(月・祝)
会場:彫刻の森美術館 本館ギャラリー
開館時間:9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:なし(年中無休)
観覧料:大人 2,000円、大学・高校生 1,600円、中学・小学生 800円、未就学児 無料
※Webチケット割引、団体割引、障害者割引あり
特設サイト:https://www.hakone-oam.or.jp/specials/2025/armoued dreamer/