リトリートのススメ 「Tohito」 – QUI編集部シャルルのホテル体験記
心身の回復を図るため、旅先の観光地を楽しむためではなく、自分自身に意識を向けてゆったりとした時間を過ごす。そんな時間をあなたも過ごしてみては?
秋晴れが気持ちいい11月、今回は以前より楽しみにしていた岡山県・前島に向かいます。穏やかな、瀬戸内市牛窓に位置する前島は別名「緑島」と呼ばれ、美しい松林などの自然林が繁る日本の文化をはぐくんだ海に囲まれた島です。
車を走らせ牛窓港を目指します。小型船に乗り込んで目的地に向かうのは前回の直島ぶりなのでワクワクです、片道5分ほどの距離の為、本当にあっという間に前島に到着しました。
※この船は6時20分から21時10分の間、1時間に1便程度の運航をしているので、本島へ移動する島民方が多く乗船されていました。
車窓からの景色は、瑞々しい緑と澄んだ青空が広がって、ハワイ島のような印象を受けました。キャベツが特産物ということもあり、宿までの道のりにはキャベツ畑がたくさん。
そんな緑豊かな道を進んだ先に目的地の「Tohito」があります。オーナー様とお会いして、部屋の扉を開けると最初に目に入ってくるのは一面の絶景です。
透き通った空気に雄大に広がる空、葉と葉が風に揺れる音、コオロギや鳥の囀り、そして瀬戸内海特有のゆったりした波音。全ての自然音が心地よくブランケットのようにわたしたちを包み込みます。雑音がしないので、呼吸をするように心地よさが耳に溢れます。これはこの場に立たないとわからない感覚かもしれません。
私たちが到着して間も無く、あたりは一瞬にして真っ暗になりました。街灯がないので最初は何も見えませんでしたが、だんだん目が慣れてくるとにじんわりと微かな色が広がって、幻想的な景色が見えてきます。何よりも感動したのは、頭上に広がる星の数。(星の群れといった方が良いでしょうか?)これほどにたくさんの綺麗な星を見たのは日本で初めてかもしれません。
晩酌をしながら何もしない贅沢を心行くまで堪能した1日目。この日は移動疲れもあり、すぐに就寝。
翌朝、目覚めると海に面した大きな窓から絵画のような世界が広がっていました。寝転びながら日の出も朝焼けも見ることができる贅沢な空間です。
目の前の絶景を独り占めしながらコーヒーを淹れるために体を起こします。目覚めのコーヒーは「Tohito」がこの日にあわせて地元の珈琲屋さんから選出したおすすめのお豆。
温かいコーヒーを片手に、大人5、6人が裕に寝転べる広いバルコニーへと移動します。ヒヤッとした空気の中で、深呼吸しながら今日という日を始めます。(私は軽く朝食をいただいた後、二度寝という贅沢をさせていただきました。)
素晴らしい絶景ですよね。心地よすぎて起きるのが嫌になるほど。二度寝を存分に楽しんだあとは、また違う景色を楽しむためにお風呂へ向かいます。
家の側面に位置するお風呂は、正面のバルコニーや2階の寝室とは違う景色を堪能しながら半身浴を楽しめます。
本当に何をしたというわけでもないのですが、1日中ずっと宿の中で生活をしていた2日目。このお宿の西日の入り方がとっても好きで、暖かさにまた眠たくなる夕方。少し懐かしさを感じる好きな音楽をかけて、コーヒー片手に2024年を振り返ったり、将来について考えてみたり…。そうこう思考を巡らせているうちに日もどんどん落ちていきました。夜になるにつれて、徐々に気温が下がってくるので薪ストーブを焚いてみます。パチパチと木が焼ける音に癒されました。
マジックアワーの時間に差し掛かり、外を見ると日中とは違う素晴らしい夕焼けを見ることもできました。この時期の夜は寒いのですが、冷たい空気と冬の匂いを感じたくて外で夕焼けから夜空に輝く星まで眺めました。なんとも言葉で表すことのできない感動を心で感じました。
正直、3日間では全くもって短い、まだまだ滞在したいと思わせてくれる「Tohito」。都心の喧騒から離れた、少々不便とも言える場所ですが、「ここ」にしかないもので溢れているのです。それは、景色や音だけではない、私自身の心と身体を回復へと導くような不思議な魅力です。
最終日を迎えて宿を後にする準備を整えると、このお宿に滞在した方々が言葉を残していくノートを発見。私も一言「また帰ってきます」と残し、船の時間まであたりを少し散策しました。
あたりを歩いていると展望台を発見し、この絶景をパシャリ。
2024年は、さまざまな形で非日常をテーマに沢山のお宿さんにお邪魔して、素晴らしい体験をさせていただきました。日常生活では気づけなかった自分自身を知る良いきっかけにもなったと感じています。
日頃、あなたは自分の時間や自分と向き合う時間を取れていますか?
ついつい走り気味で、呼吸も浅くなる余裕のない毎日を過ごしていませんか?
たまには歩いて、深呼吸をする時間を取ってみてください。不思議なくらいに感情や視点、気持ちの変化を沢山感じられると思います。決して旅をすることがマストではないですが、環境や場所を変えるだけでつまずいていたことや悩んでいたことがスッと消えて、新たな気づきを得られるのではないかなと思います。
何かあった訳でもないのに心が苦しくなったり、息がしづらかったりした時、自分と向き合うための一つの選択肢として、この1年の記事が誰かの元で生きてくれたら嬉しく思います。
日本全国のさまざまな土地にまだまだ知らない地域や経験がたくさんあります。2025年も引き続き、沢山の「非日常」の体験を求めていきながら、私自身も「自分」との時間を大切に生きていこうと思います。
Tohito(トヒト)
一日一組、自然と暮らしの宿、” 気づき、育む “。あるがままの暮らしと、あまりある自然とともに、親しみが深まる時間を。
〒701-4372
岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓5515-5
予約はこちらから
Instagramはこちらから!
@tohito_noyado