メイクアップは自己表現。そして、エンパワメント。
ジェンダーから解き放たれた表現
「目は口ほどにものを言う」というが、視線を逸らしても同様だ。ギラつくようなオレンジでまぶたを染めれば、いくばくかの高揚感が、時に言葉よりも具体的なメッセージとして発信され、相手を魅惑することもある。
“魅惑”=“glamorous”は、1970年代の英国で流行した音楽ジャンル“グラム・ロック”の語源としてしばしば説明される。その中心には“異星からやってきたバイセクシュアルのロックスター”こと、ジギー・スターダストがいた。稲妻モチーフのフェイスペイントにオレンジレッドヘア、歌舞伎からも影響を受けたというシアトリカルな衣装。この異星人は、ジェンダーに依拠する“こうあるべき姿”からはるかに自由だった。
誰かの特権ではないからこそ
ジェンダールッキズムを盲信しないことは、ヘアメイクやファッションの選択肢を広げ、自己表現を豊かにする。これは異星人に限った話ではないし、ステージに立つパフォーマーの特権でもない。そもそも、“特定の人々のため”であるべきではない。
どこにでもいるような誰かの、誰にでもあるような日のため。たとえば、朝までずっと遊んでいたい夏の夜。にぎやかな街へ出かける前に、そのまぶたや唇、指先に、色や光沢をまとわせるだけでいい。それが若気だとしても、退屈かもしれない日常から抜け出そうとする“いまの自分”を盛り上げるだろうし、“いま、何者かであろうとする自分”にも自信を与えるだろう。
いま、ここにいる自分を肯定する
それでも、「男性に化粧は要らない。むしろ化粧をした女性を連れて歩くべき」といったトキシック・マスキュリニティと不意に遭遇し、心細くなって、「結局、メイクアップと自分は関係しないもの」と断ち切りそうになる瞬間があるかもしれない。
けれど、ここでまた思い出す。あの異星人は他者から褒められることを目的としていたのだろうか。否、それより優先したのは、“いまここにいる自分”の表現であり、力を与えることだったはずだ。面白みに欠けた“常識”だけを、やたらと立派にはさせなかった。
もうそろそろ、自分に正直であることに、他者の審査がさほど重要ではないと信じたい。メイクアップはクリエイティビティに似ていて、もっと自由な行為であるべきということ。地球に生まれた私たちも、そのことを当然享受していい。
examples of MAKE-UP
eyes
ピンクニュアンスのオレンジをアイホールの中央にざっくりスライド。あえてキワにのせないことで、偏光パールとウェットな質感を強調。
skin
皮脂ぐすみ&テカリレスな肌に整えたらライトピンクを鼻筋にのせ、ほんのり華やかに。指 先はゴールドベージュのヘルシーな光沢感で装って。
lip
主張しすぎないヌードベージュをなじませるように一度塗り。ふっくらとした質感をプラスして、やわらかくフレッシュな唇印象に。
1.ETVOS
ミネラルセバムレスベール(限定品)
9g
¥3,520(in tax)
2.ADDICTION
ザ ネイルポリッシュ +
041P 12mL
¥2,420(in tax)
3.ADDICTION
UV リアクティブ トップコート(限定品)
12mL
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クラリファイイング ファンデーション プライマー(限定品)
SPF50+/PA+++ 25 mL
¥4,620(in tax)
5.SHIRO
米ぬかアイシャドウクリーム
3H02
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6.ETVOS
ミネラルプレストチークⅠ(ブラシ付き)
カッパーピンク SPF20/PA++
¥4,180(in tax)
7.RMK
RMK デューイーメルト リップカラー レフィル
01
¥3,080(in tax)
リップカラーケース
¥1,100(in tax)
ー Hair&Makeup : Naoyuki Ohgimoto (POIL) ー
年齢やジェンダーを超えた“その人に似合う”メイクを手がける。雑誌のほか、ミュージックPVやCDジャケットのアーティストのヘア&メイクアップも担当。
- Model : Natsuki Higashi(NUMBER EIGHT)
- Photography : Kei Matsuura (STUDIO UNI)
- Hair&Makeup : Naoyuki Ohgimoto (POIL)
- Styling : Chiaki Harada
- Art Direction : Mitsunori Ishita (STUDIO UNI)
- Text : Megumi Nakajima (STUDIO UNI)