ヘルナン・バスの個展「TIME TO SHINE! (THE SALESMEN)」開催、郊外の「商いの場」に映る宙吊りの時間
本展では、《All you ever wanted to know about 5B》《The prodigal son (farmers market, 3:30pm)》《Showmanship sells sugar》《He sells seashells by the sea shore》など、2026年制作の作品を紹介する。約5.5メートル幅の《All you ever wanted to know about 5B》をはじめ、ヤードセールや花を売る人物、浜辺で貝殻を売る人物など、「商い」を思わせる場面が作品に登場する。

Hernan Bas, All you ever wanted to know about 5B, 2026. Acrylic on linen. 213.4 × 548.6 cm | 7 × 18 ft. each panel : 213.4 × 15.2 cm | 7 ft × 6 inches. Photo by Silvia Ros. Courtesy of the artist and Perrotin.

Hernan Bas, Showmanship sells sugar, 2026. Acrylic on linen. 101.6 × 76.2cm | 40 × 30 inches. Photo by Silvia Ros. Courtesy of the artist and Perrotin.

Hernan Bas, He sells seashells by the sea shore, 2026. 190.5 × 114.3cm | 75 × 45 inches. Photo by Silvia Ros. Courtesy of the artist and Perrotin.
キュレーターの長谷川祐子は、本展に寄せたエッセイ「宙吊りの緊張感―埋もれていたものに光を」で、バス自身が「fag limbo(ファグ・リンボ)」と呼ぶ、思春期と成人期のあいだにある不安定な状態を「宙吊り」と捉え、今回の新作にもその感覚が引き継がれていると論じている。
今回発表される新作では、今年、ヴェネチア・ビエンナーレに際してカ・ペーザロ美術館で発表した、観光地を舞台とする「The Visitors」シリーズや、これまで扱ってきた神話的な風景から離れ、ヤードセール、生花店、浜辺の土産物売りといった日常的な「商いの場」が舞台となる。長谷川は、資本主義的な「陳列」と個人的な「自己呈示」を重ね合わせ、売る者と売られるものの境界を曖昧にすることで、価値・時間・老いといったテーマに、日常の風景を通して迫る作品群として捉えている。
バスにとって、言葉や物語も制作の重要な要素となっている。長谷川のエッセイでは、バスがまずタイトルのリストをつくり、それを視覚的なイメージへと具体化しながら絵画へ展開していく制作方法が紹介されている。19世紀末のデカダン文学や象徴主義への関心も、その制作背景として挙げられている。
プロフィール

Photo: Sylvia Ros. Courtesy of the artist
ヘルナン・バス(Hernan Bas)
1978年、米国フロリダ州マイアミ生まれ。現在もマイアミを拠点に活動している。
表現主義的で緻密な具象絵画を手がけ、19世紀末のデカダン芸術や文学、同時代のフランスの画家グループ「ナビ派」の象徴的・装飾的な表現から影響を受けている。中性的な男性像である「ダンディー」の図像を基盤に、若い人物を一人、あるいは少人数で描く。彼らは思春期と成人期のあいだにある不安定な状態に置かれ、バスはこの状態を「fag limbo(ファグ・リンボ)」と呼んでいる。
Instagram:@hernanbas
開催情報
TIME TO SHINE! (THE SALESMEN)
会期:2026年9月9日 - 11月11日
会場:ペロタン東京(Perrotin Tokyo)
住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F
開館時間:11時-19時(火曜-土曜)
ウェブサイト:https://www.perrotin.com/en/locations/perrotin-tokyo
Instagram:@perrotin