「『数寄者』の現代―即翁と杉本博司、その伝統と創造」――現代にひらかれる茶と美の交差点、10/4(土)荏原 畠山美術館で開催
本展は、荏原 畠山美術館のコレクションと現代美術作家・杉本博司の作品および蒐集品で構成。新館の基本設計を手がけた杉本が、茶室の本質である「囲う」という精神を現代建築に通わせた新館空間で、新作の茶道具や蒐集した古美術を展示。近代数寄者の最後世代に数えられる創設者・即翁 畠山一清の茶と美への志と、現代の「数寄者」たる杉本の美学が呼応し、数寄の現在形が立ち上がる構成だ。
展示は二部構成。Ⅰ「『数寄者』の現代Ⅰ―即翁 畠山一清の茶事風流」では、1954年秋に催された新築披きの茶会の道具組を軸に同館コレクションを展観。Ⅱ「『数寄者』の現代Ⅱ―杉本博司 茶道具」では、杉本による作品とコレクションが、現代の茶室と見立てた新館の空間に展示される。

重要文化財 《圜悟克勤墨跡 法語》 南宋時代 12世紀 荏原 畠山美術館 通期展示

杉本博司 《和蘭陀手鹿香合》 2025年 小田原文化財団蔵 杉本コレクション Photo: Masatomo Moriyama

千利休 《竹一重切花入 銘「江之浦」》 桃山時代 小田原文化財団蔵 杉本コレクション Photo: Masatomo Moriyama

白髪一雄 《墨筆抽象画》 1960年代前半 小田原文化財団蔵 杉本コレクション Photo: Masatomo Moriyama
近代の数寄者・即翁の茶事と、現代の数寄者・杉本の美学。その二つが交差する空間には、数寄の精神がいまも生きている。
杉本は次のように語っている。
「その昔、利休の頃、茶室は囲うと言われた。造るのではない。簡素な材で場を囲い、雨露を凌ぐ屋根を架ける、侘び茶の精神だ。私はこの荏原 畠山美術館新館を、設計者として大きなコンクリートの壁で囲った。現代の茶室と思いなして。この囲いの中で私の集め、また作った茶道具を披露することになった。こんな作家冥利に尽きることはない。自画自賛だ。」
重要文化財《清滝権現像》(後期展示)や重要文化財《割高台茶碗》(通期展示)、小田原文化財団杉本コレクションによる《十一面観音立像/二十五菩薩来迎図》などが並び、古典と現代の往還が視覚的にも浮かび上がる。

重要文化財 《清滝権現像》 鎌倉時代 13世紀 荏原 畠山美術館 後期展示

重要文化財 《割高台茶碗》 朝鮮時代 16世紀 荏原 畠山美術館 通期展示

《十一面観音立像/二十五菩薩来迎図》 平安時代/鎌倉時代 小田原文化財団蔵 杉本コレクション Photo: Masatomo Moriyama
数寄の精神がいまも息づく場所へ。古典と現代が交差するその一瞬を、身体で受け取りたい。
【プロフィール】
杉本博司
東京生まれ。1970年代からニューヨークを拠点に活動を始め、写真を軸に、彫刻・演劇・建築・執筆・書・陶芸・和歌・料理と、幅広い領域を横断してきた。代表作《劇場》《海景》をはじめ、歴史や記憶をテーマにした作品で国際的に高い評価を得る。2013年にフランス芸術文化勲章オフィシエ、2017年に文化功労者に顕彰され、2023年には日本芸術院会員に選出。小田原文化財団を設立し、江之浦測候所の構想・建設にも取り組むなど、現代を代表する「数寄者」としても知られる。
即翁 畠山一清(1881–1971)
荏原製作所の創業者。能楽や茶の湯を深く嗜み、近代における即翁の号を持つ数寄者のひとりとして知られる。茶道具や古美術の蒐集に力を注ぎ、それらを広く公開するために畠山記念館を設立。名品を「生きた美」として日常の中で愛でる姿勢は、数寄者の美意識を体現するものであり、同館の礎となっている。
【開催情報】
展覧会名:「『数寄者』の現代―即翁と杉本博司、その伝統と創造」
会期:2025年10月4日(土)~12月14日(日)
※会期中一部展示替えあり/前期:10月4日(土)~11月9日(日)/後期:11月12日(水)~12月14日(日)
会場:荏原 畠山美術館 本館2階展示室、新館展示室1(2階)・2・3(B1階)
住所:〒108-0071 東京都港区白金台2-20-12
開館時間:10:00―16:30(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、11月11日(火)
観覧料:一般1,500円、高校生・大学生1,000円(中学生以下無料、要保護者同伴)
主催:荏原 畠山美術館/特別協力:公益財団法人小田原文化財団
【関連イベント】
・鼎談「数寄者、諤々斎と語る」10月11日(土)14:00~15:30(出演:杉本博司、千宗屋、内田鋼一)
・講演会「新生 荏原 畠山美術館、デザインとその設計手法」11月8日(土)14:00~15:30(講師:榊󠄀田倫之)
・対談「杉本博司さんの楽屋裏」11月22日(土)14:00~15:30(出演:小池一子、橋本麻里)
・鑑賞会 10月4日(土)/12月6日(土) 各10:30~11:30
イベント詳細・申込:https://www.hatakeyama-museum.org/exhibition/000207.html