昨年からスタートした注目のプログラム「RAN Focus」では、韓国との国交正常化60周年にあわせ、韓国をフィーチャー。森美術館「マシン・ラブ」展でも注目されたキム・アヨンの映像作品《デリバリー・ダンサーズ・アーク：0度のレシーバー》が、六本木ヒルズアリーナの巨大LEDスクリーンに登場。テクノ・フューチャリスティックな映像美の中に、デジタル社会における労働やアイデンティティの問いが浮かび上がる。

また、3Dソフトウェアとインフレータブル素材を組み合わせたカン・ジェウォンの彫刻は、未来の宇宙から届いた飛行体のような存在感で来場者を圧倒する。公共空間に「ベアバルーン」という潰れたクマ型のバルーンを設置するプロジェクト《EVERYWHERE》で知られるイム・ジビンは、都市の日常にアートがひょっこり顔を出すようなユーモラスな瞬間を生み出す。

《EVERYWHERE》 2.5×2.5x4m 風船

韓国の伝統音楽・国楽を現代的にアップデートした打楽器グループTAGOのダイナミックな演奏や、現代サーカスのソ・ナンジェによる観客参加型パフォーマンス《ポロシウム》など、街全体が劇場に変わるような臨場感を演出する。

六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、国立新美術館、サントリー美術館などの主要施設のほか、街なかにもインスタレーションやパフォーマンスが繰り広げられる。移動そのものがアート体験となる本イベントは、アートを通じて都市と未来のかたちを思索する3日間となる。

何気ない日常の風景に、ふとアートが現れる——そんな瞬間に立ち会いたくなる、都市型アートフェスティバルの真骨頂がここにある。

【RAN Focus アーティスト】
キム・アヨン
1979年生まれ。ソウルを拠点に、CGI、実写映像、ゲームエンジンなどを駆使して地政学や神話、テクノロジーを織り交ぜたスペキュラティブ・フィクションを展開。現代社会の姿を“ありえるかもしれない未来”を通して描き出す。2023年アルス・エレクトロニカでゴールデン・ニカ賞、2025年にはLGグッゲンハイム賞を受賞。

カン・ジェウォン
1989年生まれ。3Dプログラムやインフレータブル素材を駆使し、彫刻をデジタルと物理の両側面から再構築。韓国やポーランドなど多くの美術館やギャラリーでの展示歴があり、彫刻の拡張的なあり方を探る作品を制作。

イム・ジビン
1984年釡山生まれ。世界50都市以上で展開された公共アートプロジェクト《EVERYWHERE》をはじめ、都市空間にユーモアとメッセージを潜ませる表現で知られる。国際機関やグローバルブランドとの協働も多数。

ジン・ヨンソブ
1958年釡山生まれ。金属工芸をルーツに、韓国・甘川文化村や種子島などでコミュニティアートに取り組む。芸術を地域や社会に根ざした形で展開し続ける実践者。

TAGO（タゴ）
韓国の若手打楽器集団。「太鼓で世界を照らす」をテーマに、国楽に武術やアクロバットを融合させたステージで国際的に評価される。エディンバラ・フェスティバル・フリンジやWOMADなど世界各地で公演。

ソ・ナンジェ
韓国を拠点に活動する現代サーカスパフォーマー兼クリエイター。観客との協働によって生まれる身体的・社会的なダイナミクスを軸にした作品を手がける。アジア・ヨーロッパで国際的に活動。

【開催情報】
展覧会名：六本木アートナイト2025
会期：2025年9月26日（金）18:30～22:00、27日（土）13:00～22:00、28日（日）13:00～20:00
※プログラムにより異なる
※一部作品は～10月5日（日）まで長期展示
会場：六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
開館時間：各施設・プログラムにより異なる
観覧料：無料（一部プログラムおよび美術館企画展は有料）
お問い合わせ：六本木アートナイト実行委員会　ハローダイヤル： 050-5541-8600（9:00～20:00）

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