昨年実施した「だれもが文化でつながる国際会議2024」のテーマ「文化と居場所」を継承し、実践していく場として、今回は「居場所とわたし」をテーマとなっている。国内の芸術文化事業に関わる実践者やアーティスト、研究者たちが、それぞれの「居場所とわたし」について対談する他、情報保障やアクセシビリティに関する実践例や考え方を紹介、また展示やミニトークなどで参加者のみなさんと共に多面的に学べる場を創出する。

4日間のプログラムは、多様な実践例をめぐる議論から気づきを得る「セッション」、事業運営の場でいかせるアクセシビリティや手法を学ぶ「セミナー」、東京都の取り組みや先進的なデバイスなどを紹介し、アート作品を通して各テーマについて考える「展示・ワークショップ」、参加者と登壇者が交流し、ネットワークを醸成する「ネットワーキング」の4つのセクションから構成されている。文化を通してもたらされる「居場所」とは?わたしたち一人ひとりが実践できることを学んでいく。

Session：“芸術文化活動を支える専門的知見と理念を話し合う場”
1日目：10月20日（月）15:30-17:30オープニングセッション| 「生活圏」とアート
人々の記憶や場の歴史を取り込んで作品を制作するコミュニティ・アートをベースに、異なるアプローチで世界と向き合う二人のアーティストと、理論と実践の両面を備えた社会学者の視点から、アートがつくる居場所について広く語り合う。
登壇者：小泉元宏（社会学者・文化政策研究者）
登壇者：中﨑透（美術家）
登壇者：宮永愛子（美術家）
モデレーター：森司（アーツカウンシル東京事業調整課長）

Seminar：“芸術文化とアクセシビリティの具体的な事例を学ぶ場”
3日目：10月22日（水）12:30-13:30セミナー４| 学習障害と支援教材
UDデジタル教科書体フォント開発者の事例を聞きつつ、知的障害のあるこどもたちの居場所づくりの主宰者が問いかけながら、それらのテクノロジーや支援教材が、こどもたちの学びの環境を改善し、社会とのつながりに果たす役割を語り合う。
登壇者：高田裕美（書体デザイナー）
聞き手：加藤甫（写真家、Studio oowa 主宰）

Exhibition：“居場所とわたしについて鑑賞・体験しながら知る場”
展示では、都立文化施設の職員による各館の取り組みの紹介から、アクセシビリティ対応に活用できる先進デバイスの展示とデモンストレーション、他者との言葉のやり取りに限定しない「対話」がテーマとなるアート作品などの展示。また各日様々なワークショップも予定している。
出品者：AKI INOMATA氏（美術家）、中﨑 透氏（美術家）、宮永 愛子氏（美術家）、小山田 徹氏（芸術家）

AKI INOMATA（美術家）《彫刻のつくりかた》撮影：Hayato Ｗakabayashi

⼩⼭⽥ 徹（芸術家、京都市⽴芸術⼤学 学⻑）《お父ちゃん弁当》

中﨑 透（美術家）《看板屋なかざき》2014撮影：小山田邦哉

宮永愛⼦（美術家)《留め石》2023 撮影：宮島径　©MIYANAGA Aiko, Courtesy of Mizuma Art Gallery

Networking：“近い距離で参加者と登壇者がつながる場”
ネットワーキングでは、都立文化施設社会共生担当や講演・セミナー登壇者、展示参加アーティスト、出展業者等が持ち回りで、より具体的な実践のプロセスを共有したり、参加者が具体的に説明を受けたいことなどを近距離で聴ける場を用意される。
登壇者:平塚 千穂子(シネマチュプキタバタ)、二瓶 剛(株式会社ONDO Lab.)、森 敦史(筑波技術大学研究員)、田畑 快仁(京都芸術大学大学院芸術研究科芸術環境専攻)

開催概要
会期: 2025年10月20日(月)-10月23日(木)
会場:自由学園明日館
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2丁目31-3
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
入場料: 無料(要来場登録)
使用言語:日本語、日本手話
URL:https://creativewell.rekibun.or.jp/creativewell-conference/2025.html

クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョーについて
芸術文化の力や都立文化施設の資源を活用し、高齢化や共生社会など、東京の社会課題解決への貢献を目指し、高齢者、障害者、外国人、乳幼児等を対象者に「アクセシビリティ向上」と「鑑賞・創作・発表機会の拡大」に取り組むプロジェクト。本プロジェクトでは、都立文化施設の情報アクセシビリティ環境を整備し、障害や年齢等を問わずあらゆる人が文化芸術を鑑賞するとともに、参加・創造するためのプログラムを実施している。