アーティゾン美術館の屋外彫刻プロジェクト第一弾、レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》完成
1993年、女性として初めてターナー賞を受賞し、「ネガティブ・スペース(物体の間に存在する空間)」をキャスティング(型取り)する独自の手法で知られるホワイトリード。本作では、椅子の座面と脚の間にある空間を希少な日本産大理石でかたどり、日常の中に立ち現れる静かな彫刻群として街に据えた。来訪者は実際に腰掛けることができ、通りを行き交う人々の間に新たな会話や時間が生まれることを意図しているという。

レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》2025 年、大理石、インスタレーション ©Rachel Whiteread

レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》2025 年、大理石、インスタレーション ©Rachel Whiteread

レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》2025 年、大理石、インスタレーション ©Rachel Whiteread
作家は、「今回の作品を設置する場所として提案いただいた、2つの建物の間の通り道は、常に建築物と彫刻との関係性に関心を寄せてきた私にとって、一度立ち止まり、誰かと話を交わす場所について思いを巡らせる機会となりました。…ひとりきりになれる、もしくは親しい人と共にいることができる場所となることを想像しました」と語る。代表作《Untitled (One Hundred Spaces)》(1995年)から続くシリーズとしては、世界初の公共空間での常設展示となる。

レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》2025 年、大理石、インスタレーション ©Rachel Whiteread

レイチェル・ホワイトリード《Artizon Conversations》2025 年、大理石、インスタレーション ©Rachel Whiteread
このプロジェクトは二段構えで進行しており、第二弾として2026年1月には、オーストラリアの作家リンディ・リーによる屋外彫刻が登場予定だ。さらに2026年3月には、両作家を招いたトークイベントも予定されている。
街の風景に静かに溶け込みながらも、人々の記憶に長く残る新たな“会話”の場となっていくだろう。
【作家プロフィール】
レイチェル・ホワイトリード
1963年、ロンドン生まれ。1993年、女性として初めてターナー賞を受賞。物体と空間の関係に新たな視点をもたらし、国際的評価を得る。ネガティブ・スペースを可視化する作品を一貫して制作。近年はベルガモ近現代美術館(イタリア)での発表や、ジル サンダー 銀座に恒久設置された作品なども手掛けている。
【設置情報】
場所:ミュージアムタワー京橋とTODA BUILDINGの間(京橋彩区)
※京橋彩区は、アーティゾン美術館の所在するミュージアムタワー京橋とTODA BUILDINGの2つのビルで構成され、「アートと文化が誰にも近い街」をコンセプトとする街区。東京駅八重洲口から徒歩5分、銀座・日本橋にもほど近く、低層部にはミュージアムやギャラリー、イベントホールが入るほか、中央通りに面する間口120mの緑豊かな広場が広がる。
観覧料:無料
公式サイト:https://www.artizon.museum/