資本主義社会を風刺するアート展、MSCHFの新作個展「Material Values」が NANZUKA UNDERGROUND で開催
MSCHFは、2019年から活動を開始し、人類の文化や政治、貨幣社会などのシステムの不合理性や滑稽さを暴き出し、それを利用して精密に計算された介入システムを視覚表現を用いながら提示している。彼らはこれまでに、NYのPerrotin、ソウルのDaelim Museumでの個展、ストックホルムのSpritmuseumで開催された「Andy Warhol. Money on the Wall」、LAのJ. Paul Getty Museumでのグループ展「Blood: Medieval/Modern」にも参加し、アメリカ国内外で幅広く作品を発表している。
本展のタイトル「MATERIAL VALUE SCULPTURES」は、現代の高度資本主義社会におけるアートと物質的価値の関係を、ユーモアを交えて再定義するシリーズ。作品では、奇妙なポーズを取った人間の彫刻が登場し、台座に内蔵されたデバイスを通じて原材料であるインジウムの市場価値をリアルタイムで追跡する。インジウムは半導体産業やLED素材として需要が高まり続けるレアメタルで、価格変動が激しい。インジウムの市場価値が作品の価格を上回った瞬間、装置がその融点まで温度を上げ、彫刻を溶かし始めるよう仕組まれている。
「Animorph Painting」シリーズは、アメリカの子供向けSF小説「Animorph」における、人間が動物に段階的に変身する描写に着想を得ている。美術史上の古典的肖像画を現在のアイコンへと「変身」させることで、美やアートの定義が流動的であることを示唆する。本展では、NANZUKA所属作家の空山基の「セクシー・ロボット」をモチーフとしたバージョンを含む4点を発表する。
また、「RAIN CUBICLE SCULPTURE」は、パーテーションで区切られたオフィス・キュービクルにパネル張りの下がり天井を組み合わせたインスタレーション作品だ。電源が供給される限り、オフィスに雨が降り続けるこの不条理な仕掛けは、現代社会における労働の退屈さや無意味さを示し、資本主義が生み出す労働の矛盾を鑑賞者に体感させる。
本展「MATERIAL VALUES」では、マルセル・デュシャンのレディメイド作品やアンディ・ウォーホルの《ブリロ・ボックス》や《キャンベルのスープ缶》などをめぐる、アートの定義や価値についての歴史的な議論を彷彿とさせるが、MSCHFはこれらの議論を、現代の経済構造やテクノロジーを背景に、悪戯めいた作品の形式に昇華させている。
さらに、本展に関連して、MSCHFのこれまでの取り組みを総括した書籍「Made by MSCHF」をはじめとした、彼らの魅力が凝縮されたグッズを2月1日よりNANZUKA Online Storeで数量限定で販売予定。
About MSCHF
Instagram: @mschf
Website: https://mschf.com/
MSCHF は、2019 年より活動を開始し、人類の文化、政治、あるいは貨幣社会といったシステムの不合理性や滑稽さを暴き出し、それを利用して精密に計算された介入システムを、視覚表現を用いながら提示しているコンセプチュアル・アート・コレクティブ。
これまで、NY の Perrotin (2024 年、2022 年)、ソウルの Daelim Museum (2023 年)での個展の他、ストッ クホルムの Spritmuseum にて開催された「Andy Warhol. Money on the Wall」(2024 年)や、LA の J. Paul Getty Museum に おけるグループ展「Blood: Medieval/Modern」(2024 年)にも参加するなど、アメリカ国内外で幅広く作品を発表している。
MSCHF
「Material Values(マテリアル・バリュー)」
2025年2月1日(土) 〜 3月22日(土)
NANZUKA UNDERGROUND
東京都渋谷区神宮前 3-30-10
火曜日〜土曜日 11:00〜19:00
*日曜日、月曜日休業