「アートウィーク東京」今年のハイライトを公開
アートウィーク東京(AWT)は、東京における現代アートの創造性と多様性を国内外に発信する4日間のイベントである。AWTに、いわゆる「メイン会場」はなく、都内50以上の美術館・ギャラリーがそれぞれ開催する展覧会と、AWTが独自開催するプログラムを無料のシャトルバス「AWT BUS」がつなぎ、それらを自由に巡ることで東京のアートシーンの「いま」を感じられるイベントとなっている。
【美術史に名を残すアーティストたちの個展】
「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」
森美術館(六本木)
20世紀から21世紀にわたって活躍した最も重要なアーティストの一人、ルイーズ・ブルジョワの大規模個展。日本では27年ぶりの開催となるこの個展では、約100点に及ぶ作品群を、3章構成で紹介し、その活動の全貌に迫る。
「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて」
アーティゾン美術館(京橋)
2024年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家である毛利悠子を迎えて開催される同展。マルセル・デュシャンやモネなど同館のコレクションの作品と呼応する展示に注目。
毛利悠子《《Piano Solo: Belle-Île》のためのスケッチ》2024年
田名網敬一「記憶の冒険」、「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」
国立新美術館(六本木)
分野横断的に制作を続けてきたポップアートの巨匠・田名網敬一と、世界中を飛び回り新たな表現を追求するパフォーマンス・アーティストの荒川ナッシュ医。国立新美術館では、ふたりの個展の贅沢な二本立てを楽しめる。
田名網敬一《死と再生のドラマ》2019年 ©Keiichi Tanaami/Courtesy of NANZUKA
「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」
東京都現代美術館(清澄白河)
日本の現代美術を中心とするコレクションとしては世界最大級の高橋龍太郎コレクション。会田誠、加藤泉、草間彌生、鈴木ヒラク、奈良美智、村上隆など、伝説の作家から最新の若手まで総勢115組の作品が一堂に会す。
【個性豊かな空間とインスタレーション】
「渡辺志桜里展(仮)」
資生堂ギャラリー(銀座)
水が循環するエコシステムを表現したインスタレーションを通じ、自然と人間の関係を見つめてきた渡辺志桜里。新作を含む個展では、資生堂ギャラリーの会場全体を使ったインスタレーションや映像作品を展示する。
渡辺志桜里《Sans room》2017年
「日常の再魔術化(Everyday Enchantment)小林椋、丹⽻海⼦、ビアンカ・ボンディ」
シャネル・ネクサス・ホール(銀座)
今年20周年を迎えたシャネル・ネクサス・ホールは、新たな展覧会シリーズをスタートします。アーティスティック ディレクターに、長谷川祐子(金沢21世紀美術館館長)を迎え、キュレーションは佳山哲巳とライヤン・フィンが担当。本展ではビアンカ・ボンディ、小林椋、丹羽海子をフィーチャー。
【都内有数のギャラリーたちが魅せるアーティストの作品】
束芋《あいたいせいじょせい》2015年
ジョナサン・モンク《Salvo Primal Scream》2024年 ©Jonathan Monk, courtesy of TARO NASU
– AWT会期中はペインティング作品も続々と公開。ブラム(原宿)の奈良美智や小山登美夫ギャラリー(京橋)の杉戸洋といった、日本の現代美術界のスターたちの個展に注目。
– 国内外で脚光を浴びる女性アーティストたちの作品も必見だ。カイカイキキギャラリー(広尾)はタカノ綾、タケニナガワ(麻布十番)は青木陵子の個展を開催。またギャラリー小柳(銀座)では「AWT BAR」でコラボレーションカクテルも手がける束芋の個展が開催される。
– 海外アーティストの作品も目白押し。タロウナス(六本木)ではジョナサン・モンクとサルヴァトーレ・マンジオーネによる展覧会を開催。また、ナンヅカアンダーグラウンド(原宿)はインドネシアのロビィ・ドゥウィ・アントノ、日動コンテンポラリーアート(六本木)はカンボジアのリム・ソクチャンリナと、アジア諸国のアーティストを紹介するギャラリーも多く参加。
※全参加施設の展覧会情報は、9月中旬頃にAWTウェブサイトにて公開予定です。
【4日間限定の「AWT BAR」の詳細も公開】
国内外のアートファンが集う憩いの場「AWT BAR」が、今年もAWT会期中に南青山にオープン。設計はランドスケープアーキテクトの戸村英子が担当します。テーマは「ランドスケープがつくるBAR」。
ランドスケープは、人と自然がつくる、私たちを取り囲む風景や景色や環境のこと。自然の織りなす有機的なランドスケープが、東京都心にたたずむAWT BARという空間につくりだされる。
フードを手掛けるのは「ゴ・エ・ミヨ 2023」でベストパティシエ賞を受賞した⻘⼭「EMMÉ」の延命寺美也。食とアートをつなぐモチーフとしての「花」をイメージしてつくられた季節の一品「新ゴボウとベーコンのケークサレ」と甘い「タタンモンブラン」を提供する。参加施設で作品を実際に鑑賞できる3名のアーティストとのコラボレーションカクテルも味わえるのも、AWT BARならではの体験だ。
※それぞれのプロフィールおよびコメントはこちらからご参照ください。
戸村英子による「ランドスケープがつくるBAR」の完成イメージ図 © eiko tomura landscape architects
EMMÉ・延命寺美也によるフード2種
新ゴボウとベーコンのケークサレ(画像右):新ゴボウと自家製のベーコンを使ったケークサレ。新ゴボウがもつ土の香りが大地をイメージさせます。カリカリとした食感のフライドゴボウに花穂紫蘇のアクセントを添え、バラのような形に焼き上げた。タタンモンブラン(画像左):旬の紅玉りんごを3時間じっくり焼き上げたタルトタタンに、和栗のクリームを合わせました。クリームは花びらのように絞り上げ、秋に咲く一輪の花を表現。蝶のシガレットを添えて仕上げている。
【アーティストとのコラボカクテル】
荒川ナッシュ医「旅立つ秋」
国立新美術館で展覧会を開催
荒川ナッシュが大好きなポップスターの曲名を冠した、ボタニカルなブラウン・カクテル。世界のアート愛好家に向けた「旅立つ」前の一杯として考案。
小泉明郎「Ritualistic People:祭民」
無人島プロダクションで展覧会を開催
「味覚の不思議」をコンセプトにした、赤い氷が特徴的なカクテル。一緒に提供されるインストラクションに沿ってカクテルを飲み進めながら、見た目や香り、味の変化をお楽しみいただける。(制作協力:漆原正貴)
束芋「白は怖い」
ギャラリー小柳で展覧会を開催
束芋が白という色のイメージに感じる「怖さ」を表現したミルクベースの甘いカクテル。束芋がカクテルに合わせてデザインしたコースターも数量限定で配布予定。
「AWT BAR」開催概要
会場:港区南青山5-4-30 emergence aoyama complex
会期:11月7日(木)~10日(日)
営業時間:10:00~22:30 (ラストオーダー22:00)
料金:入場無料、フード1種500円、カクテル1杯1,000円
【無料シャトルバス「AWT BUS」、全6ルートが決定!】
「AWT BUS」は東京のアートシーンを代表する50以上のアートスペースとAWTプログラムをつなぐ無料のシャトルバス。今年は6つのルートを通じ、大型美術館が立ち並ぶ六本木エリアや老舗ギャラリーがひしめく銀座エリア、新進ギャラリーやアーティスト・ラン・スペースが点在する池袋エリアや東東京エリアなど、東京各地のアートスペースを巡る。シャトルバスは午前10時から午後6時まで約15分おきに巡回。どの停留所からでも乗り降りは自由となっている。
東京都庭園美術館
アートウィーク東京
会期: 2024年11⽉7⽇(⽊)~11⽉10⽇(⽇)(4⽇間) 10:00~18:00
会場: 都内53の美術館/インスティテューション/ギャラリー
AWT FOCUS、AWT BARほか各プログラム会場
主催: 一般社団法人コンテンポラリーアートプラットフォーム
公式サイト
Instagram:@artweektokyo