色彩の音が響き合う、ジャデ・ファドジュティミの個展「Our Inner Tide」がタカ・イシイギャラリーで開催中
本展は東京を新たな拠点としたファドジュティミにとって、タカ・イシイギャラリーでの3回目の個展となる。日本という土地に導かれ描かれた新作の大型ペインティングに加え、彼女にとって初の試みとなるサウンドスケープ・インスタレーション作品《The Texture of Reality Has Begun to Shift》 も披露される。音と色、視覚と聴覚、記憶と感情が交錯するその世界は、彼女の表現領域を新たな次元へと拡張している。
ファドジュティミの絵画は、幾重にも重ねられた油彩のレイヤーと、それを拭き取ることで浮かび上がる隠された色層、そしてオイルパステルやオイルバーの繊細かつ疾走感ある線が印象的だ。色とかたちが絶えず動き、変化しながら彼女自身の情動と重なり合い、キャンバスに刻まれていく。その一瞬ごとの応答と気配が、作品に深い呼吸を与えている。
彼女の関心は、言語によって形づくられた世界の枠を越えて“記憶や感情”や“時間の流れ”のなかに見出されるアイデンティティの揺らぎに向けられている。制作中に流れる音楽は、過去の情動と現在の感覚を交差させ、思考を深める装置となる。そうしたプロセスが、絵画の中に響きのように映し出されている。
今回発表されるサウンドスケープ作品では、ファドジュティミとサウンドデザイナー/オーディオプロデューサーのテイラー・ヒルトンの声が素材となり、色彩の代わりに声色や呼吸が重なり合うことで、空間に新たなメロディーを描き出していく。音が視覚の枠を超えて、私たちの内面に訴えかけてくるような体験が待っている。
作品タイトルもまた、観る者の感情や記憶と静かに結びつき、それぞれの居場所をそっと照らすように機能する。絵画とサウンドが呼応しながら、言葉にしがたい感情の揺らぎを浮かび上がらせていく。
心の奥に残る旋律のような作品世界を、ぜひ現地で体験してほしい。

Jadé Fadojutimi, “The Slumber Effect”, 2025, acrylic, oil, oil pastel and oil bar on canvas, 250 x 175 cm © Jadé Fadojutimi / Photo: Kenji Takahashi / Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery

Jadé Fadojutimi, “As I transcend from thistle to thorn, friction and throbbing are pompously born”, 2025, acrylic, oil, and oil pastel on canvas, 250 x 175 cm © Jadé Fadojutimi / Photo: Kenji Takahashi / Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery
【作家プロフィール】
ジャデ・ファドジュティミは1993年ロンドン生まれ。現在は東京とロンドンを拠点に活動。スレード美術学校で絵画を学び、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修士課程を修了。これまでにThe Hepworth Wakefield(2022年)、ICAマイアミ(2021年)、PEER UK(2019年)などで個展を開催し、ヴェネツィア・ビエンナーレ(2022年)やリバプール・ビエンナーレ(2021年)など国際展にも参加。作品はメトロポリタン美術館、テート・モダン、LACMAなどに収蔵されている。
Instagram:@jadefadojutimi
【開催情報】
展覧会名:ジャデ・ファドジュティミ「Our Inner Tide」
会期:2025年12月20日(土)– 2026年1月31日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー六本木&京橋(同時開催)
・六本木:〒106-0032 東京都港区六本木 6-5-24 complex665 3F
・京橋:〒104-0031 東京都中央区京橋 1-7-1 TODA BUILDING 3F
開館時間:12:00 – 19:00
休館日:日・月・祝祭日
観覧料:無料
URL:www.takaishiigallery.com
Instagram:@takaishiigallery