兵庫陶芸美術館で開館20周年記念特別展「MINGEI ALIVE -いま、生きている民藝-」、9/6(土)より開催
今からおよそ100年前、宗教哲学者・柳宗悦(1889-1961)によって提唱された「民藝(民衆的工藝の略)」。それは、日々の暮らしに寄り添うものに美を見いだすという新しい価値観であり、用途に即してつくられた「手仕事」による生活道具を対象としていた。近代化にともない失われつつあったものを、単なる保護ではなく、新しい生活スタイルに合ったものづくりへ導こうとする思想であり、何よりも「生活の芸術(アート)」を手放さないという、一つの哲学であったのではなかろうか。

駒井正人 《土瓶》 2020年 撮影:Shugo Hayashi

安藤雅信 《泥釉シリーズ茶器揃》 2024-2025年

内田鋼一 《White Bowl》 2018年
生活道具の中でも特に使用頻度の高い「器(うつわ)」は、民藝の現代性を体現するものといえる。民藝では「無銘性」が唱えられたことで、個人作家の美意識による作品が否定されているかのように見られがちである。しかしその根幹を支え、現代へと橋渡しをしたのは、卓越した創造性を持つ個人作家たちであった。民藝は技術でもスタイルでもなく、その精神をどう受け取るかにこそ意味があるのではないか。
本展では、富本憲吉、バーナード・リーチ、河井寬次郎、濱田庄司、ルーシー・リー、ハンス・コパーら、当館の現代陶芸コレクションを支える個人作家の器作品を展観し、柳が見つめた民藝の本質を現代の視点から再考する。また、安藤雅信、市野雅彦、内田鋼一、清水剛、新宮さやか、駒井正人、田中雅文、打田翠の8名の現代作家による作品も出品され、「いま、生きている民藝」の姿を探る。

新宮さやか 《萼容 碗》 2025年

田中雅文 《Layer.series CLOUD 5》 2018年

打田翠 《心象》 2024年 撮影:Masashi Kuromoto
李氏朝鮮時代の陶磁器から現代作家の最新作までを通して、民藝が示す「暮らしの芸術」とは何かを考える機会となるだろう。
【出展作家】
・富本憲吉(1886-1963)
・バーナード・リーチ(1887-1979)
・河井寬次郎(1890-1966)
・濱田庄司(1894-1978)
・ルーシー・リー(1902-1995)
・上田恒次(1914-1987)
・島岡達三(1919-2007)
・ハンス・コパー(1920-1981)
・武内晴二郎(1921-1979)
・藤井佐知(1924-2015)
・生田和孝(1927-1982)
・森山雅夫(1940- )
・市野茂良(1942-2011)
・ボディル・マンツ(1943- )
・清水俊彦(1945- )
・黒田泰蔵(1946-2021)
・柴田雅章(1948- )
・ジェニファー・リー(1956- )
・安藤雅信(1957-)
・市野雅彦(1961-)
・内田鋼一(1969-)
・清水剛(1975-)
・新宮さやか(1979-)
・駒井正人(1980-)
・田中雅文(1982-)
・打田翠(1983-) 
【開催情報】
展覧会名:MINGEI ALIVE -いま、生きている民藝-
会期:2025年9月6日(土)~11月24日(月・振休)
会場:兵庫陶芸美術館 展示棟 展示室1・2・4・5
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(ただし9/15(月・祝)、10/13(月・祝)、11/3(月・祝)は開館、翌火曜日休館)
観覧料:一般1,300円(1,000円)、大学生1,000円(800円)、高校生以下無料
※( )内は 20名以上の団体料金
※70歳以上半額、障害のある方は75%割引、介助者1名無料 
URL:https://www.mcart.jp/exhibition/e3702/