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「ジェンダーレスメイク」という表現、その向こう側にあるもの

Oct 25, 2023
「ジェンダーレス」という言葉には、社会的・文化的な性差への自覚が必然的に内包されていることを認識しなければならない。なぜなら、“男性らしい”とか“女性らしい”といった言葉以外ではなかなか説明しがたい、いわゆる“暗黙の要求”に対する毅然とした回答でもあるからだ。

「ジェンダーレスメイク」という表現、その向こう側にあるもの

Oct 25, 2023 - BEAUTY
「ジェンダーレス」という言葉には、社会的・文化的な性差への自覚が必然的に内包されていることを認識しなければならない。なぜなら、“男性らしい”とか“女性らしい”といった言葉以外ではなかなか説明しがたい、いわゆる“暗黙の要求”に対する毅然とした回答でもあるからだ。

曖昧な地平と潜在的なバイアス

社会的・文化的な“男性らしさ”“女性らしさ”へのカウンター的な文脈を汲んだメイクアップが「ジェンダーレスメイク」とも考えられるが、実際のところ、何をどうしたら「ジェンダーレス」と定義できるのかも曖昧ではある。

“男性らしい顔立ち”の印象を弱めることなのか、“女性らしい顔立ち”の印象を強めることなのか、はたまたその中間点に着地させるものなのか。“個人の趣味嗜好と理想に帰結させる”と判断を委ねられなくもないが、いずれにしても、潜在的なジェンダーバイアスとの関係性は無視できない。

“生命力”に、スポットライトを

するとますます「ジェンダーレスメイク」が、何をどのように表現できるのか考えてみたくなる。ジェンダーギャップを避けること?埋めること?否定すること?ではなく、 “人としての絶対的な共通項”を見つけ出し、そこに光を当てる作業なのかもしれない。

そうなるとやはり、至極シンプルに、“生命力の表現”が一つのキーとして浮かび上がる。限りなくナマっぽい肌、意志を秘めたまなざし、ほどよく毛量のある眉やまつ毛、血色のよい唇と頬…。

「ジェンダーレスメイク」とは、“そこで、その人が、確かに生きていること”をありありと感じさせる手段ともいえそうだ。“その人”から放たれる生命力の強さ、ひいては眩しさそのものをポジティブに表現するように。

生きること、人生を礼賛すること

与太話ではあるが、平安時代の男性(貴族)も化粧を施していたわけだから、その行為自体の歴史は古い。美意識と自信は相関関係にあるだろうし、それを礼賛するスピリットは現代にも受け継がれている、といえる。

「ジェンダーレスメイク」の表現の妙が、誰かの自信や人生の豊かさにつながることを願ってやまない今日。その肌に触れる時、社会的・文化的な性差など、単なる記号と解釈しておけばよいのではないだろうか。

examples of MAKE-UP

eyes

乳液のようなリキッドテクスチャーを、
ラフなタッチで、アイホール全体にオン。
ゴールドトーンとパールが密着し、
繊細でミステリアスな目もとが完成。

THREE
ユナイテッドフルイドアイカラー X02
¥3,850

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cheek

頬の外側にブラウンニュアンスをのせ、
落ち着きのある陰影と立体感をプラス。

NARS
オールザットグリターズ ライトリフレクティング チークパレット
¥8,690

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lip

ヘルシーな血色感を際立たせるデューイーなレッドで「妖艶さ」をクリエイト。
正装をまとう感覚で、しっかりとストロークして。

RMK
リクイドリップカラー EX-07
¥4,180

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—Hair&Makeup : Naoyuki Ohgimoto (POIL)—

年齢やジェンダーを超えた“その人に似合う”メイクを手がける。雑誌のほか、ミュージックPVやCDジャケットなど、アーティストのヘア&メイクアップも担当。

  • Model : Taito Hiraiwa(Bravo Models)
  • Photography : Kei Matsuura (STUDIO UNI)
  • Hair&Makeup : Naoyuki Ohgimoto (POIL)
  • Styling : Chiaki Harada
  • Art Direction : Mitsunori Ishita (STUDIO UNI)
  • Text : Megumi Nakajima (STUDIO UNI)

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