蔡國強の個展を国立新美術館と サンローラン の共催により 2023年6月29日より開催
アンソニー・ヴァカレロがリードする<サンローラン>にとって、本展を開催することは、同ブランドの使命ともいえる、ビジュアルアートや映画、音楽など、様々なクリエイティビティヘのサポートの最も新しい機会となる。
蔡國強は数十年にわたり、東洋古来の哲学や思想に立脚しつつ、風水や占星術にもつながる宇宙、そして目に見えない世界に魅了されてきた。同時に、そうした果てしない世界への現代的アプローチとしての科学技術への興味や、現代の社会問題への感受性と省察を原動力に制作している。
蔡國強の芸術の大きな特徴は、火薬を創造的に用いて作品を生み出してきたこと。神話的で人類学的な壮大な世界観を表明した火薬ドローイングやインスタレーション、屋外爆発プロジェクトなど、スケールの大きな制作は国際的に高く評価されてきた。
占星術と風水に彩られた古都、福建省泉州で育った蔡は、1986年末に日本に移り住み、1995年にアメリカに渡るまでの約9年の間に、火薬を用いた独自のスタイルを開拓した。また、1980年代から続く福島県いわき市の人々との友情と協働は今なお続き、蔡國強の創作に精神的な奥行きや温もりを与えている。
1991年に東京のP3 art and environmentで開催した個展「原初火球—The Project for Projects」は、日本で活動した時代の最初の、そして彼のアーティストとしての生涯のマイルストーンとなる重要な展覧会だった。展示の中心となった同名のインスタレーションでは、火薬で描いた7つの屏風ドローイングが爆発的に放射状に広がるように配置され、彼が「外星人のため」と「人類のため」に実現しようとするプロジェクトを表現している。「原初火球」という言葉は、蔡國強が宇宙物理学と老子の宇宙起源論に基づいて提示したもので、宇宙の始まりを表す。
蔡國強「原初火球 The Project for Projects」P3 art and environmentでの展示風景 1991年
撮影:萩原義弘 提供:蔡スタジオ
蔡國強《胎動II:外星人のためのプロジェクトNo.9》の制作風景 1991年
提供:蔡スタジオ
本展覧会「宇宙遊 一〈原初火球〉から始まる」は、蔡國強が30年前に発表した展覧会「原初火球」を彼の芸術における「ビッグバン」の原点と捉え、そして、この爆発を引き起こしたものは何であり、その後今日まで何が起こったかを探求する。
宇宙と見えない世界との対話を主軸に、作家として歩み始めた中国時代、芸術家としての重要な形成期である日本時代、そしてアメリ力や世界を舞台に活躍する現在までの創作活動と思考を遡る本展覧会は、宇宙が膨張するかのように拡大してきた蔡の活動をたどる壮大な旅路のような個展となっている。
国立新美術館の柱も壁もない2000㎡の大きな企画展示室lEの、広場のような悠々とした空間で、一方には、歴史的なインスタレーション〈原初火球〉が再現され、その中には、ガラスと鏡を使った新作の火薬絵画3作品も含まれる。隣り合ったもうひとつの核は、LEDを使った大規模なキネティック・ライト・インスタレーション《未知との遭遇》であり、観客は作品の中を自由に歩きながら体感することができる。
本展覧会では、国内の国公立美術館の所蔵作品と、日本初公開のガラスや鏡に焼き付けた新作を含む作家所有の約50件の作品が展示され、知られざる多数の貴重なアーカイブ資料や記録映像、そしてアーティスト自身による一人称の説明が掲示されている。
展示室全体がまるでひとつのインスタレーションのような展示を通じて、蔡の深遠かつ軽やかな思考と実践の旅路を追体験できる。
展覧会の開幕に先立ち蔡國強は、福島県いわき市で三十年前に地元の友人達と協働で実現した爆発プロジェクト《地平線:外星人のためのプロジェクトNo. 14》と同じ海岸で、サンローラン バイ アンソニー・ヴァカレロからのコミッションワークである昼花火《満天の桜が咲く日》を、プロジェクト実行委員会の主催により実施する。
「〈原初火球〉—それは私の思想とビジョンに基づく出発であり、今日まで私に付き添ってきた。」 蔡國強
蔡國強 2023年 撮影:Adrian Gaut
蔡國強プロフィール
1957年に中国の福建省・泉州市で生まれた蔡は、上海戯劇学院で舞台芸術を学んだ後、1986年12月から1995年9月まで日本で活動しました。日本では筑波大学に在籍し、その後、東京、取手、いわきなどで生活・制作するなかで、火薬の爆発による独自の絵画を開拓して一躍注目を集めました。1989年の多摩川での最初の屋外爆発プロジェクト以来、彼は数十年にわたって世界中で一連の爆発プロジェクトを実現してきました。特に最近では、昼花火の新たな可能性を探求しています。
1995年にニューヨークに拠点を移して以降ますます創作活動の幅を広げた蔡は、2006年のメトロポリタン美術館や2008年のグッゲンハイム美術館での回顕展など、さまざまな国や地域で重要な個展を開催し、国際的にもっとも影響力の大きい芸術家の一人として活躍しています。2005年には、ヴェネチア・ビエンナーレ初の中国パヴィリオンのキュレーターを務めて展覧会企画にも才能を発揮し、2008年の北京オリンピックと2022年北京冬季オリンピックでは、開閉会式視覚特効芸術と花火監督を務め、世界中の人々を魅了しました。爆発プロジェクト《スカイ・ラダー》は2015年に蔡の故郷の泉州で実現し、同名のドキュメンタリー映画がNetflixで全世界に配信されました。
主な受賞歴
・第48回ヴェネチア・ビエンナーレ「国際金獅子賞」(1999)
・第7回「ヒロシマ賞」(2007)
・第20回「福岡アジア文化賞受賞」(2009)
・第24回「高松宮殿下記念世界文化賞」(絵画部門)(2012)
・「米国国務院芸術勲章」(2012)
【開催概要】
蔡國強 宇宙遊 ーく原初火球>から始まる
会期:2023年6月29日(木)~8月21日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00-18:00
※毎週金·土曜日は20:00まで※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 企画展示室lE[東京・六本木]
主催:国立新美術館、サンローラン
観覧料(税込)
一般1,500円、大学生1000円
※高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料。
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料。
【サンローランについて】
1961年にフランス、パリで設立されたイヴ・サンローランは、世界で最も著名なファッションハウスの一つです。当初はオートクチュールのメゾンでしたが、後にプレタポルテのパイオニアとなり、伝説的な創業者がファッション、アート、社会の関係に革命を起こしました。
サンローランは、創業当初から、ファッションにとどまらず、さまざまなクリエイティブな形態と関わり、影響を与え続けてきました。この多様な芸術表現との対話はアンソニー・ヴァカレロの先見の明と、フランチェスカ・ベレッティーニのリーダーシップのもと今日も続いており、これを通じてブランドは世界観を広げさらに発展を続けています。
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【応募方法】
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