国立国際美術館で特別展「笹本晃 ラボラトリー」、身体と言葉が交差する実験的な展示
笹本晃は、彫刻的な思考と身体表現を行き来しながら、インスタレーションやパフォーマンスを展開してきたアーティストだ。糸や管、日用品、音、言葉といった要素を組み合わせ、思考や感情が行き交うような空間をつくり出す。
作品は、展示空間に置かれて完結するものではない。笹本自身が空間に入り、語りや動作を交えながらパフォーマンスを行うことで、作品は時間とともに変化する「出来事」として展開される。完成された形を示すのではなく、出来事が生まれる過程そのものを含めて見せる点が、笹本の実践の特徴だ。
本展では、初期から近年までの作品を通して、笹本晃の多様な表現を紹介する。パフォーマンス/インスタレーション作品をはじめ、写真、映像、ダイアグラムなどが展示される。東京都現代美術館での展示を基盤としながら、国立国際美術館の空間に合わせて作品構成を一部変更し、同館所蔵作品も加えた内容となる。
会期中には、笹本晃によるパフォーマンスも実施される。開幕時と閉幕時を中心に、《E_O》、《Yield Point[降伏点]》、《Wrong Happy Hour[誤りハッピーアワー]》、《Secrets of My Motherʼs Child[母の娘の事実]》の4作品を複数回行う。東京会場で実施された作品とは異なる内容となり、展示とパフォーマンスの関係にも注目したい。

《E_O》2011[Take Ninagawa(東京)でのパフォーマンス風景、2012]Photo by Kei Okano ©Aki Sasamoto Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo

《Yield Point ‒ Diagram 5.4.2017[降伏点 ダイアグラム5.4.2017]》©Aki Sasamoto Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo

《Wrong Happy Hour[誤りハッピーアワー]》2014[JTT(ニューヨーク)でのパフォーマンス風景] Photo by Ben Hagari ©Aki Sasamoto Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo

《Secrets of My Motherʼ s Child[母の娘の事実]》2009[チョコレート・ファクトリー・シアター(ニューヨーク)でのパフォーマンス風景]Photo by Arturo Vidich ©Aki Sasamoto Courtesy of The Kitchen, NY and Take Ninagawa, Tokyo
また、7月25日(土)には笹本晃によるアーティスト・トーク、10月3日(土)には植松由佳によるギャラリー・トークも開催予定。作品の背景や展示構成について知る機会となる。
笹本晃の関心は、個人的な記憶や日常の癖から、近年では自然現象や生態系の観察へと広がっている。軽やかな語り口と複雑に構成された装置が重なり、ユーモアと緊張感をあわせ持つ空間が立ち上がる。
プロフィール
笹本晃(ささもと・あき)
1980年神奈川県生まれ。10代で単身渡英し、その後アメリカに移る。ウェズリアン大学でダンスや美術を学び、2007年にコロンビア大学大学院(ニューヨーク)より芸術学修士号を取得。現在はイェール大学芸術大学院彫刻専攻で教鞭を取り、専攻長を務める。主な個展に、スカルプチャー・センター(ニューヨーク、2016年)、クイーンズ美術館(ニューヨーク、2023-2024年)、パラ・サイト(香港、2024年)、スタジオ・ヴォルテール(ロンドン、2026年)などがある。横浜トリエンナーレ、ホイットニー・ビエンナーレ、光州ビエンナーレ、コチ=ムジリス・ビエンナーレ、国際芸術祭あいち、ヴェネチア・ビエンナーレなど多数の国際展に参加。2023年、アレクサンダー・カルダーの才能を継ぐ革新的な彫刻作家に贈られるカルダー賞を受賞。
開催情報
特別展「笹本晃 ラボラトリー」
会期:2026年7月19日(日)〜11月3日(火・祝)
会場:国立国際美術館 地下3階展示室(大阪市北区中之島4-2-55)
開館時間:10:00〜17:00、金曜は20:00まで(最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
※ただし7月20日、9月21日、10月12日、11月2日は開館
※7月21日、9月24日、10月13日は休館
観覧料:一般 1,800円(1,600円)、大学生 1,200円(1,100円)
※()内は20名以上の団体および夜間割引料金(金曜17:00〜20:00)
※高校生以下・18歳未満無料(要証明)
※心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
※本料金で、同時開催の「開館50周年記念プレ企画 コレクション1:私/行為」も観覧可能
お問い合わせ:国立国際美術館 TEL 06-6447-4680(代表)
ウェブサイト:https://www.nmao.go.jp/
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