「ウジェーヌ・ブーダン展 瞬間の美学、光の探求」、空と海のきらめきを追う回顧展がSOMPO美術館で開催
モネに大きな影響を与えた画家として語られることの多いブーダンだが、その実像はそれだけにとどまらない。本展では、油彩、パステル、素描、版画など約100点を通して、その多面的な仕事が立ち上がる構成となっている。
・約30年ぶりとなる大規模回顧展
・フランスから約100点が来日
・「海景」「空」「風景」「建築」「人物」「動物」「素描」「版画」の8つの視点から再考
ブーダンは、ノルマンディーの港町に生まれ、移ろう空や海の表情を鋭敏に捉え続けた画家である。戸外制作を重視し、光と大気の変化に向き合うその姿勢は、のちの印象派の誕生へと接続していく。とりわけ空の表現においては、画面の大半を占める雲や光が刻々と変化し、自然の一瞬がそのまま絵画として息づくような感覚をもたらす。
海景画では、風をはらんだ帆船や砕ける波しぶきが軽やかな筆致で描かれ、空気の流れまでも感じさせる。さらに、農村の風景や建築、人物、動物といった主題にも視線を広げることで、19世紀フランスにおける風景画の広がりが浮かび上がる。

ウジェーヌ・ブーダン 《トルーヴィル街道、ビュタン近郊》 1860–63年 油彩/カンヴァス 57×83 cm ウジェーヌ・ブーダン美術館、オンフルール Honfleur, musée Eugène-Boudin /Illustria

ウジェーヌ・ブーダン 《廃墟のラッセイ城》 1893年 油彩/カンヴァス 50.5×74 cm ブーローニュ=シュル=メール市立美術館 © coll. Musée Boulogne-sur-Mer Ville de Boulogne-sur-Mer

ウジェーヌ・ブーダン 《傘をさす女性、ベルクの海岸》 1873年頃 油彩/板 12.5×17.5 cm ウジェーヌ・ブーダン美術館、オンフルール Honfleur, musée Eugène-Boudin /Henri Brauner
また、素描の重要性にも光が当てられる。ブーダンにとって素描は単なる下絵ではなく、空気や光、瞬間の気配を掬い上げるための思考の装置であった。その迅速な線は、印象派の画家たちにも大きな影響を与えたといえる。
本展は、印象派誕生から150年という節目にあたり、ブーダンの革新性をあらためて捉え直す機会ともなる。海と空、そして光に満ちた画面のなかで、自然の「瞬間」がどのようにすくい取られてきたのか、その感覚に静かに触れられるだろう。
移ろう光のなかに身を委ねるような体験が、ふと日常の景色の見え方を変えてくれるかもしれない。
作家プロフィール
ウジェーヌ・ブーダン(Eugène Boudin)
1824年フランス・オンフルール生まれ。ノルマンディー地方を拠点に、海景や空、風景を描いた。若きクロード・モネに戸外制作の重要性を伝えたことで知られる。変化する光と大気をとらえる鋭敏な観察眼により、「空の王者」とも称された。1898年没。
開催情報
展覧会名:開館50周年記念 ウジェーヌ・ブーダン展 瞬間の美学、光の探求
会期:2026年4月11日(土)~6月21日(日)
会場:SOMPO美術館
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
開館時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで、最終入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし5月4日、5日は開館)
観覧料:一般(26歳以上)事前購入券1,800円/当日券2,000円、25歳以下 事前購入券1,100円/当日券1,200円、高校生以下無料
ウェブサイト
Instagram:@sompo_museum


