陶芸の常識を揺さぶる、加藤委と川端健太郎の「異才の二人展」がメグミオギタギャラリーで開催中
会場には磁土の鋳込み成形から着想を得たシャープなフォルムと、青白磁の釉薬が織りなす濃淡が印象的な加藤委の作品群を展示。刃物で削り出したような鋭さと、空を思わせる透明感を併せ持つその造形は、磁土の可塑性への挑戦でもあった。とりわけ2000年代には、素材への理解と敬意をもって即興的に形成された意欲作が生み出されている。
対して川端健太郎は、磁土を手びねりし編み込むことで生まれる有機的な造形に、ガラス片や金属質の釉薬を重ねた独自の世界を展開する。身体の一部を思わせるような官能的な曲線や、折れ目に潜む異素材の装飾には、陶芸の既成概念を軽やかに飛び越える探究心が宿る。
本展は、長野市の桜華書林との企画協力によるもので、2000年代初頭に両作家と出会った櫻井氏の視点から、その出会いと創造の軌跡をたどる内容となっている。2025年に惜しくも逝去した加藤委の作品と、現在も精力的に活動を続ける川端の仕事を通じて、現代陶芸の可能性と深淵に触れる機会となるだろう。
素材の声を聞き、形に託された二人の異才。その記憶と気配に触れる、静謐で熱を帯びた体験がここにある。
【作家プロフィール】
加藤委(1962-2025)
多治見市陶磁器意匠研究所を修了後、絵付師を経て独立。1996年に東京国立近代美術館に出品、2006年にはニューヨークで個展を開催。鋳込み成形から得た発想をもとに、削り出しや即興的な造形を特徴とする青白磁作品を多数制作した。
川端健太郎(1976-)
2000年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了。岐阜県瑞浪市にて制作活動を行う。2007年にパラミタ陶芸大賞受賞。磁土と異素材を組み合わせた実験的なアプローチで、国内外で高く評価されている。
【開催情報】
異才の二人展
会期:2025年12月9日(火)〜12月20日(土)
会場:メグミオギタギャラリー
住所:東京都中央区銀座8-14-9 デュープレックス銀座タワー8/14 B1
開館時間:12:00〜18:00
休廊日:日曜・月曜
観覧料:無料
問い合わせ:03-3248-3405 / info@megumiogita.com
公式サイト
Instagram:@megumiogitagallery

