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木と語らい、風景を刻む旅へ——「国松希根太 連鎖する息吹」が十和田市現代美術館で開催中

Dec 17, 2025
十和田市現代美術館では、北海道を拠点に活動する彫刻家・国松希根太の美術館初個展『国松希根太 連鎖する息吹』を2025年12月13日(土)から2026年5月10日(日)まで開催中だ。

木と語らい、風景を刻む旅へ——「国松希根太 連鎖する息吹」が十和田市現代美術館で開催中

Dec 17, 2025 - NEWS
十和田市現代美術館では、北海道を拠点に活動する彫刻家・国松希根太の美術館初個展『国松希根太 連鎖する息吹』を2025年12月13日(土)から2026年5月10日(日)まで開催中だ。

本展は、北海道を拠点に活動してきた国松が、十和田の自然との出会いを通じて新たに生み出した作品群を中心に、作家の創作の根源と広がりを辿る構成となっている。奥入瀬のブナや下北のヒバといった青森の木々を素材に、国松は滞在制作を行い、十和田湖や奥入瀬渓流の風景を歩くことで得た感覚を、彫刻やインスタレーションとして空間に結晶させた。

青森県十和田市奥入瀬のブナ 2025年5月 撮影:小山田邦哉

奥入瀬のブナを使った制作風景 2025年9月26日 十和田市 撮影:小山田邦哉

十和田での制作風景 2025年10月4日 撮影:小山田邦哉

 

展示は、まず国松の代表作である「WORMHOLE」シリーズが林立する大空間から始まる。続く廊下では、十和田での体験をもとに制作されたヒバの彫刻が風景の記憶をまとって佇む。その先には、奥入瀬のブナを用いて十和田で制作された新作「WORMHOLE」が、来場者を迎え入れるように展示される。

完成間近の「WORMHOLE」 2025年10月6日 撮影:国松希根太

下北のヒバを使った新作「7 sculpture sketches」制作風景 2025年8月15日 北海道・飛生のアトリエ 撮影:国松希根太

[参考写真]「WORMHOLE」2025年 約390×120×100cm 木(ミズナラ) 2025年 日本国際博覧会 展示風景

[参考写真]「WORMHOLE」2024年 札幌国際芸術祭2024 展示風景 撮影:藤倉翼

 

さらに本展では、国松の創造を支えてきた個人的な背景にも踏み込む。展示の中盤では、彫刻家の父・國松明日香、画家の祖父・国松登まで、国松家の三代にわたる創造の連鎖が作品とともに紹介される。

展示終盤には、2002年から国松が拠点としてきた「飛生アートコミュニティー」(北海道白老町)の歴史と、国松と立石信一が立ち上げた芸術祭やフィールドワーク型のプロジェクト「Ayoro Laboratory」の活動も紹介。2026年に40周年を迎える飛生アートコミュニティーは、自然と向き合い、土地と共に生きる表現のあり方を実践してきた場所でもある。

木に刃を入れ、火をあて、風景を彫る。自然との対話から生まれる国松の作品たちは、個と風土、記憶と素材の関係を静かに照らし出す。

 

【プロフィール】

撮影: 笹島康仁

国松希根太(くにまつ きねた)
1977年北海道生まれ。多摩美術大学彫刻科卒業。2002年より北海道白老町の「飛生アートコミュニティー」を拠点に制作活動を行う。2015年からはAyoro Laboratoryを共同主宰し、地域の歴史や土地の記憶に基づくフィールドワークを展開。近年の個展に「国松希根太展 TERRA」(t.gallery、東京、2024年)、「地景を刻む」(飛生アートコミュニティー、白老、2022年)などがある。
Instagram:@kinetakunimatsu

【開催情報】
展覧会名:国松希根太 連鎖する息吹
会期:2025年12月13日(土)− 2026年5月10日(日)
会場:十和田市現代美術館
開館時間:9:00 – 17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、12月30日〜1月1日、1月13日〜16日、2月2日〜6日
観覧料:一般 1,800円(常設展含む)、高校生以下無料
主催:十和田市現代美術館
URL:https://towadaartcenter.com/
Instagram:@towadaartcenter

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