「大竹伸朗展 網膜」丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催中、新作〈網膜〉12点を含む過去最大規模の個展
アトリエに30年以上保管されていたポラロイド・フィルムをもとに制作された新作〈網膜〉12点、高さ約3メートルのレリーフ状の新作《網膜/六郷》(2025)、1990年代初頭に制作された未発表の大型〈網膜〉などが、今回の展示の核を成す。さらに、構想当時のサイズへと更新された大規模インスタレーション《網膜屋/記憶濾過小屋》(2014)も加わり、これまでにない密度で展観される本展は、過去最大規模の構成となっている。



〈網膜〉シリーズは1988年、宇和島のアトリエでの制作を契機に着想され、1990年代初頭まで集中的に制作された。その後も断続的に続くこのシリーズは、廃棄された露光テスト用ポラロイド・フィルムに残された光の痕跡を引き伸ばし、ウレタン樹脂を塗布することで構成される。「写真像の色面」と「透明な塗膜層」という2層構造が、網膜を介して脳内で統合され、「時間」や「記憶」を内包した像として立ち現れる。
1階エントランスでは最初期の作品《網膜火傷》(1990)などが来場者を出迎え、3階展示室Cでは〈網膜〉シリーズの新旧作品を一堂に展示。2階展示室Aではシリーズの成り立ちや、関連する資料・作品が紹介される。会場全体を通して、大竹の〈網膜〉世界が立体的に体感できる構成となっている。
未だ見ぬ記憶を映し出すような、眼差しと記憶の往還を体験する展覧会となっている。
【作家プロフィール】
大竹伸朗(おおたけ しんろう)
1955年東京都生まれ。1970年代後半より活動を開始し、国内外で多数の展覧会に参加。主な個展に、東京国立近代美術館(2022-23)、熊本市現代美術館、水戸芸術館現代美術ギャラリー(2019)、パラソルユニット現代美術財団(2014)、東京都現代美術館(2006)など。ドクメンタ、ヴェネチア・ビエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭など国際展にも多数参加している。香川県内では直島、豊島、女木島(女木島は瀬戸芸会期中のみ)でも作品を展示中。
【開催情報】
展覧会名:大竹伸朗展 網膜
会期:2025年8月1日(金)-11月24日(月・休)
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 3階展示室 C、2階展示室 A、1階エントランス(香川県丸亀市浜町80-1)
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜(ただし9月15日、10月13日、11月3日、11月24日は開館)、9月16日(火)、10月14日(火)、11月4日(火)
観覧料:一般1,500円(団体割引1,200円、市民割900円)、大学生1,000円(団体割引800円、市民割600円)、高校生以下または18歳未満・65歳以上(丸亀市内在住)・各種障害者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料
※11月23日(日・祝)は開館記念日のため観覧料無料
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