野町和嘉の50年を辿る大規模回顧展「野町和嘉―人間の大地」、世田谷美術館で8/31(日)まで開催中
1972年、サハラ砂漠との出会いを契機に、野町はエチオピア、チベット、サウジアラビアといった、過酷な自然環境と深い信仰が共存する土地に足を踏み入れ、そこに生きる人々の姿を写真に収め続けてきた。彼が繰り返し訪れた風景の多くは、政情不安やテクノロジーの進展によって急速に変容し、今では二度と見ることのできない貴重な光景となっている。

野町和嘉 「カイラス山を巡礼する娘。西チベット」 1990年 © Kazuyoshi Nomachi

野町和嘉 「トゥアレグ族の青年。タマンラセット、アルジェリア」 1974年 © Kazuyoshi Nomachi
本展では、「サハラ」「ナイル」「エチオピア」「グレート・リフト・ヴァレー」「チベット」「メッカとメディナ」「アンデス」の7つのテーマを軸に、野町の代表作を一堂に展示。冒頭には特に象徴的な作品8点が大判プリントで紹介され、鑑賞者をその旅の入り口へと誘う構成となっている。

野町和嘉 「巨大砂丘麓の放牧。アルジェリア」 1972年 © Kazuyoshi Nomachi

野町和嘉 「アファール族の娘。ダナキル砂漠、エチオピア」 1991年 © Kazuyoshi Nomachi

野町和嘉 「ディンカ族牧畜民。スーダン」 1981年 © Kazuyoshi Nomachi
「荒地願望症」と自らを称し、未知なる地への憧れと記録への執念をもって歩み続けた野町の視線は、現代の均質化された世界のなかで、人と土地の関係性をあらためて考える契機を与えてくれる。

野町和嘉 「夜を徹して行われるライラトル・カドルの礼拝。メッカ、サウジアラビア」 1995年 © Kazuyoshi Nomachi

野町和嘉 「大祈願会で披露された巨大タンカ。甘粛省、中国」 1989年 © Kazuyoshi Nomachi
【プロフィール】
野町和嘉(1946年–)
高知県三原村生まれ。杵島隆に師事後、1971年よりフリーランスの写真家として活動開始。1972年にサハラ砂漠を訪れたことをきっかけに、アフリカ、アジア、南米などの辺境地を取材。国際共同出版や海外展覧会を通じて世界的に高い評価を受ける。2009年には紫綬褒章を受章。
【開催情報】
展覧会名:野町和嘉―人間の大地
会期:2025年7月5日(土)〜2025年8月31日(日)
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(8/11は開館、8/12は休館)
観覧料:一般1,400円(1,200円)、65歳以上1,200円(1,000円)、大高生800円(600円)、中小生500円(300円)、未就学児無料
※( )内は20名以上の団体料金。希望者は事前に電話での問い合わせを推奨
※障害者の方は500円、小中高大専門学生の障害者および介助者1名(当該障害者1名につき1名)は無料
オンラインチケット販売サイト:https://www.e-tix.jp/setagayaartmuseum/
URL:https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00225
Instagram:https://www.instagram.com/setagayaartmuseum/