「戦後80年、《明日の神話》 次世代につなぐ 原爆×芸術」、川崎市岡本太郎美術館で開催中
きっかけは、広島市立基町高等学校・創造表現コースの生徒たちが描き続けてきた「次世代と描く原爆の絵」だ。被爆者から半年以上かけて聞き取り、その体験を絵画に託す活動は20年近く続く。現代の高校生の筆が、被爆者の記憶を静かに掬い取り、絵として伝えている。

髙山愛季(証言者:笠岡貞江)《ああ!幽霊だ‼》2013年、広島平和記念資料館蔵

サンガー梨里(証言者:飯田國彦)《皆、どこに消えたの?》2021年、広島平和記念資料館蔵
本展では、岡本太郎が核の惨禍をテーマに描いた大作《明日の神話》を中心に、原爆や核問題に向き合う現代アーティスト9組の作品を紹介。安藤榮作、笠木絵津子、後藤靖香、小林エリカ、蔦谷楽、冨安由真、安喜万佐子、米谷健+ジュリア、李晶玉といった作家たちが、戦争や原爆を単なる過去ではなく、現代に生きる私たち自身の問題として捉え、多様な表現で向き合っている。

安藤榮作《光のさなぎ》2025年、作家蔵

小林エリカ《Sunrise》2016年、作家蔵、Photo by LUFTZUG

李晶玉《Ground Zero》2022年、個人蔵

米谷健+ジュリア《クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会(中国)》2016年、作家蔵
会場では、広島市立基町高等学校の生徒たちが制作した「次世代と描く原爆の絵」42点(広島平和記念資料館所蔵)をはじめ、岡本太郎による《明日の神話》《死の灰》などの関連作品、そして現代アーティスト9組による作品群が展示されている。さらに、関連資料や映像作品、トークイベントなど、多角的にテーマに迫る内容が用意されている。

岡本太郎《明日の神話》1968年、川崎市岡本太郎美術館蔵

原爆ドームを撮影する岡本太郎(1963年、広島)
核の惨禍や戦争の記憶を起点に、今を生きる私たちの姿を問い直す機会となるだろう。
【開催情報】
展覧会名:戦後 80 年 《明日の神話》 次世代につなぐ 原爆×芸術
会期:2025年7月19日(土)~10月19日(日)
会場:川崎市岡本太郎美術館 常設展示室・企画展示室
開館時間:9:30-17:00(入館16:30まで)
休館日:月曜日(8月11日、9月15日、10月13日を除く)、8月12日(火)、9月16日(火)、9月24日(水)、10月15日(水)
観覧料:一般 1,000円(800円)、高・大学生・65歳以上 800円(640円)
※( )内は20名以上の団体料金、中学生以下無料
主催:川崎市岡本太郎美術館
特別協力:弓狩匡純、仲野泰生
会場構成:眞田大輔
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