抽象絵画の孤高の軌跡、難波田龍起の代表作が四半世紀ぶりに集う展覧会が開催中
四半世紀ぶりの開催となる本展では、生誕120年の節目に際し、代表作を含む多彩な作品群を通して、その画業を今日的な視点から捉え直している。
詩や哲学に傾倒し、高村光太郎との出会いを契機に画家を志した難波田は、初期に風景や古代世界への憧憬を描き、戦後には抽象表現へと転じた。海外の潮流を柔軟に取り入れながらも、流行に流されることなく、特定の運動に属さずに築いたその作品群は、日本における抽象絵画の一つの頂点として高く評価されている。
本展では、《昇天》(1976年・東京国立近代美術館蔵)を含む代表作に加え、時期ごとの多様な作品がそろい、難波田の創作の軌跡をたどることができる。水彩、版画、ドローイング、スケッチブックまで展示されており、果敢な芸術的挑戦の裏にあった内面的な葛藤や詩情にも焦点を当て、昭和から平成に至る歩みを多角的に照射する。

《昇天》1976 東京国立近代美術館蔵 撮影:大谷一郎

《たたかいの日々》1963 世田谷美術館蔵

《原初的風景A》1987 東京国立近代美術館蔵 撮影:大谷一郎

《群像》1970 東京オペラシティ アートギャラリー蔵 撮影:斉藤新

《色彩によるデッサン》1951 東京オペラシティアートギャラリー蔵 撮影:斉藤新

《ヴィナスと少年》 1936 板橋区立美術館蔵

《街》1951 世田谷美術館蔵
観る者の感情を静かに揺さぶるその画面には、時代や流派を超えて響く“個”の気配が宿っている。抽象という表現に託された、見えざる声を聴くような体験が待っている。
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【開催情報】
展覧会名:難波田龍起
会期:2025年7月11日(金)〜10月2日(木)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(ただし8月11日、9月15日は開館)、月曜祝日の翌火曜日(8月12日、9月16日)、8月3日(日・全館休館日)
観覧料:一般 1,600[1,400]円、大・高生 1,000[800]円、中学生以下無料
※「昼と夜|収蔵品展084 寺田コレクションより」「project N 99 大久保紗也」も同時開催
主催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団
協賛:日本生命保険相互会社
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.operacity.jp/ag/