「そのとき、どうする?展 —防災のこれからを見渡す—」、21_21 DESIGN SIGHTで開催中、WOWがディレクションを手がける“問い”から始まる防災展
「そのとき、どうする?」という問いは、突然訪れる災害とどう向き合うのか、私たち一人ひとりの備えや意識に揺さぶりをかける。10の「問い」を軸に構成された展示空間には、防災・災害にまつわる多様な視点が散りばめられている。過去の地震データをビジュアライズしたグラフィック、伝承や記憶をとどめるインスタレーション、日常に寄り添うプロダクトや技術など、視覚・思考の両面から防災を捉え直す試みが展開されている。

View of Gallery 2 Photo: Keizo Kioku

View of Lobby Photo: Keizo Kioku
展示の見どころ
展示空間には、「備え」「連絡」「復興」など、災害や防災に関する10の問いがちりばめられ、来場者はそれぞれのテーマと向き合いながら鑑賞を進めることができる。
・Q1「『安全な場所』って、どこ?」という問いに対応するものとして、ヤマップや日本経済新聞社によるビジュアライゼーション作品が、災害の全体像を直感的に伝える。

YAMAP INC. “YAMAP Watershed Map”

Nikkei Inc. “Japan: The Earthquake Archipelago”
・Q2「十分な備えって、どのくらい?」やQ3「『そのとき』は、いつやってくる?」という問いに対応するものとして、柴田大平や石川将也+siroによる新作インスタレーションが、防災への備えを自分ごととして考えるきっかけを提示する。

View of Gallery 1 Daihei Shibata “BOSAI-Gradation” Photo: Keizo Kioku

View of Gallery 1 siro + Masaya Ishikawa “Moment by Moment” Photo: Keizo Kioku
・Q4「災害をどのように知る?」のセクションではゲヒルンによるだれよりも早く災害情報を届ける取り組みが、またQ5「大切な人と連絡がとれない。そんなときに備えて、どうする?」やQ6「あなたにとって、その後の生活に必要なものはなに?」ではKDDIやWOTAなどによる通信や水の供給に関する実践的なアプローチが紹介され、未来の防災のヒントが散見される。

View of Gallery 2 Gehirn Inc. “NERV Disaster Prevention App” Photo: Keizo Kioku

View of Gallery 2 KDDI CORPORATION “Starlink” Photo: Keizo Kioku

View of Gallery 2 WOTA CORP. “WOTA BOX” Photo: Keizo Kioku
・Q8「『復興』って、なんだろう?」という問いに対応するものとして、石巻工房+トラフ建築設計事務所による家具や、佐竹真紀子の絵画作品が、土地や人とのつながりに焦点を当てている。

View of Gallery 2 TORAFU ARCHITECTS + ISHINOMAKI LABORATORY “Maker Made Since 2011.3.11” Photo: Keizo Kioku

View of Gallery 2 Makiko Satake “Seaside Seeds” “Moving Forward To The Next Scenery” “Just Opened My Coffee Shop” Photo: Keizo Kioku
・Q9「私たちの暮らしを支えてくれているものってなに?」という問いに対応するものとして、津村耕佑やveigの作品を通じて、過去から今に伝わる感覚的な防災の知恵にも触れることができる。

Exit of Gallery 2 Kosuke Tsumura “FINAL HOME” Photo: Keizo Kioku

View of Sunken court veig “Jōtei (Receiving Garden)” Photo: Keizo Kioku
来場者は、提示される問いに対して自らの答えを会場や特設サイトで発信できる仕組みもあり、他者の視点に触れることで、人や状況によって答えの異なる「そのとき」を見つめる契機となる。答えの多様性こそが、防災というテーマの本質を物語っている。
災害大国・日本に生きる私たちにとって、防災は日常の中で考え続けるべき、ひとつの身近な問いなのかもしれない。本展を通じて、未来を変えるための「新しい備え」との出会いがあるかもしれない。

“What if? – Answers from everyone” website
【開催情報】
展覧会名:「そのとき、どうする?展 —防災のこれからを見渡す—」
会期:2025年7月4日(金)~11月3日(月・祝)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン)
開館時間:10:00〜19:00(入場は18:30まで)
※9月26日(金)・27日(土)は22:00まで(入場は21:30まで)
休館日:火曜日(9月23日(火)は開館)
入場料:一般 1,600円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
特設サイト:https://bosai.2121designsight.jp