T.T が東京初となる展示「T.T I-A 02」を草月会館にて開催
「時間や自然、人といったコンロールできない偶発的な物語にこそ美しさがあり、こころを満たす余白があるのではないか。価値あるものだけが時を越え、生み出す者の想いとともに未来へと生き続ける。過去の遺物を、いまに甦らせることで未来の考古物を発掘するのだ。」
髙橋大雅 – T.T 創設者
アントワープやロンドンのメゾンブランドでデザインアシスタントを経験した後、ニューヨークにて自身の名を冠したブランドをスタートさせた髙橋大雅。生前、髙橋は自らの活動を「応用考古学」と称して、古美術品やヴィンテージの衣服に恒久的な美しさを見出し、それらを自身の芸術表現へと昇華してきた。特に、何世代にもわたって受け継がれてきた伝統的な技術に携わる職人たちとの協働を通じ、衣服をはじめ、彫刻や平面作品の制作に取り組んできた。2022年4月に道半ばで逝去したが、髙橋の活動は、衣服、彫刻、建築、空間、茶の湯と多岐に渡り、京都の祇園に創り上げた総合芸術空間「T.T」や、約2000点に及ぶ服飾資料や古美術品という膨大な遺産を残している。<T.T>は、2024年から、髙橋大雅の活動の核となる考古学的な手法を引き継ぎ、髙橋が蒐集した過去の遺物のアーカイヴを開示するためのプラットフォーム「T.T I-A(Institution of Archeology)」を立ち上げ、髙橋の思想を継承した活動を続けている。
本展示は、京都・祇園に続くT.T I-A第2弾として、髙橋が最も影響を受けた芸術家の一人であるイサム・ノグチが作庭した石庭「天国」を主な展示空間とし、髙橋が蒐集した過去の遺物や約300点に及ぶヴィンージの服飾資料、さらにそれらから着想を得て髙橋が制作した衣服や彫刻作品を公開。ノグチが表現した抽象的な時間と空間の交錯や自然との調和を、髙橋独自の視点で「応用考古学の庭」として再構築する。
また、京都・祇園の総合芸術空間「T.T」内にある日本建築における陰翳の美意識を体現した茶室「然美」は草月流とのコラボレーションによって「竹窓の然美」として展開される。「然美」は、自然や陰翳の美意識を体現し、過去と現在を結ぶ象徴的な空間だ。また一方で、草月流は、日本のいけばな文化を現代的に革新し続ける流派として知られており、草月会館はその創造性を象徴する場だ。本展示にて、草月流三代目家元・勅使河原宏が生み出した、竹による回廊式の異空間から着想を得た空間を作り上げ、立礼式で4品のペアリングコースと共に静寂と調和の体験を観客に提供。(11月27日から予約開始)
さらに本展示の関連イベンとして、12月24日(火)18:00より、パリを拠点とするサウン・アーティストTomoko Sauvage氏によるライブパフォーマンスを1F草月プラザにて開催。音楽というアプローチは<T.T>にとって今回が初の試みであり、視覚芸術だけでなく音の次元がブランドの総合芸術に加わる。水の音や陶器の楽器を用いた即興演奏で知られるSauvage氏が奏でる深遠で静謐な音楽は、本展示のテーマと響き合い、観客に特別な体験を提供する。本展示は、髙橋の掲げた「応用考古学」の理念を具体化し、過去の遺物や美意識を現代に甦らせる試みだ。「応用考古学の庭」と「竹窓の然美」という二つの空間は、時代や文化を超えた創造の可能性を示唆するとともに、未来を見据えた新たな視点を提供する。
「T.T I-A 02 遺物の声を聴く 応用考古学の庭」展示概要
期間:2024年12月22日(日)〜12月29日(日)
営業時間:11:00-19:00
*23日と24日は 11:00-16:00
29日は11:00-15:00
最終入場は閉館の30分前
会場:草月会館
住所:〒107-8505 東京都港区赤坂7丁目2-21 1F
入場料:無料
2F竹窓の然美
期間:2024年12月22日 – 12月29日
営業時間:11:00-12:00 / 15:00 – 16:00
*29日は11:00 – 12:00の回のみ
会場:草月会館
住所:〒107-8505 東京都港区赤坂7丁目2-21 1F
完全予約制、11月27日(水)から予約開始
HP:rustsabi.com
Instagram:@rustsabi
Tomoko Sauvage ライブパフォーマンス
日程:2024年12月24日 18:00
会場:草月会館
住所:〒107-8505 東京都港区赤坂7丁目2-21 1F
入場料:無料
<T.T (ティー・ティー)>について
2017年にデザイナーの髙橋大雅によってニューヨークで設立された<Taiga Takahashi (タイガ タカハシ)>を前身とするブランド。ブランドコンセプトは、「過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する」という応用考古学の視点に基づいている。髙橋は10代の頃から海外のアンィークィーラーや古美術商を通じて、70~100年以上前の服を収集。その数は数千点に上り、考古学的なアプローチで過去の衣服や文化を研究し、現代や未来に存在し得る服を創造する活動を続けてきた。2022年4月に髙橋が逝去した後も、その理念は継承され、ブランは新たな形で発展を続けている。
草月について
草月は、勅使河原蒼風が1927年に創流。いけばなの常識を打ち破り、1950~1970年代にかけて、欧米各地で展覧会やモンスレーションを精力的に行い、米国タイム誌に「花のピカソ」と紹介された。娘の第二代家元霞に続き、草月アーセンターのィレクターを務めた息子の宏が1980年に第三代家元に就任した。国内はもとより、ューヨーク、パリ、ミラノなど海外でも大規模な竹のインスタレーションを次々発表。また、映画、舞台美術・演出、陶芸、書、作庭など多彩な活動を展開しました。2001年、孫の茜が第四代家元に就任。舞台空間でのライブパフォーマンスなど新しい可能性を常に広げている。
勅使河原宏について
勅使河原宏は1927年生まれ。東京芸術大学在学中より前衛芸術グループ「世紀の会」に参加。1958年に草月アーセンター発足後、映画「砂の女」(1964)ではカン映画祭審査員特別賞を受賞。1980年に第三代家元に就任。2001年死去。