4/26 – 5/13 T.T(ex.Taiga Takahashi)による新プロジェクト「T.T I-A」を始動
新たなプロジェクト「T.T I-A」が、T.Tによって始動された。このプロジェクトは「Taiga Takahashi Institute of Archeology」を示し、T.Tの活動の核となる考古学的な手法を引き継ぐものである。また、これは髙橋が蒐集した過去の遺物のアーカイヴを開示するためのプラットフォームとされる。さらに、アーカイヴの開示だけでなく、我々が歴史的な思考から新たな創造を始めるためのプロジェクトとして位置付けられている。
T.Tの創設者である髙橋は、自らの実践を「応用考古学」と称し、歴史ある物の起源に立ち返りながら、物の構造や性質について緻密な研究を重ねてきた。そして、衣服や彫刻、建築といった自身の芸術表現へ応用する手法を確立した。髙橋はコレクターとしても活動し、彼の生涯に渡る蒐集物は、T.T I-Aの哲学や精神そのものと言えるだろう。
このプロジェクトは、失われつつある文化や技術・過去の精神と我々をどのように結びつけることができるのか、独自の美学を持ちながら機能性や持続性を併せ持つ物を作り出すために過去から学ぶことの有効性を問うものである。その問いを起点に、古来のものづくりと経年の美を探求する。
更に、このプロジェクトは髙橋の姿勢と共鳴するアーティストや職人と協働し、総合芸術空間T.Tを含めたさまざまな場所での展示や出版物を通じ、過去と現在を往来しながら、物と人との継続的な対話を創出する。
初回展示「T.T I-A 001」では、髙橋の考古学的手法の根幹を明らかにするために、木(建築)、石(彫刻)、布(衣服)の主要なテーマを設け、髙橋の2000点に及ぶ蒐集物から、衣服やオブジェなど古物を展示する。各グループの自然素材と造形との関係性は、髙橋の芸術活動に対する考古学的手法を反映し、美と職人の技術のタイムカプセルと位置付ける。展示期間中、総合芸術空間T.T内には砂利が敷き詰められ、空間や物への探求を可能とする瞑想的な景観を作り出す予定だ。
T.T I-A 001 展示詳細
日程:4月26日(木)~5月13日(月)
営業時間:12:00〜19:00
住所:〒605-0074 京都府京都市東山区祇園町南側570-120
TEL:075-525-0402
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T.Tについて
T.T は現代芸術家でありファッションデザイナーの髙橋大雅(1995-2022)が、2017年 University of the Arts London Central Saint Martins Women’s Design卒業後、2019年ニューヨークで設立したファッションブランド。ブランドコンセプトは「過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する」。デザイナーだった髙橋自身が10代から蒐集した衣服は数千着以上、そのほとんどが大量生産前の1910~50年中心のアメリカンヴィンテージ。ものづくりの本当の価値は歴史の中にすでに存在しているのではないか、そんな思いを抱き、時間をサバイブした衣服の布地や縫製、ディテールなどを考古学の観点から研究し、新たな再解釈を加えて現代に蘇らせる。衣服を化石やタイムカプセルに見立て、失われつつある、織り、染め、縫製など日本古来の伝統技術や天然素材を使い、100年後の未来にまで残る「時代を超越した衣服づくり」を目指したT.T がつくる衣服には今もなお、日本が誇る職人の技が生かされている。1000年以上続く自然染色の手技や現存する数少ない旧式力織機など日本の伝統技術を用い、その技を受け継ぐ職人たちとの対話を重ねて、ものづくりを追求している。
髙橋 大雅 プロフィール
デザイナー、現代美術家。衣服の構築を起点として、美術や空間の創造など、さまざまな領域を超えて制作を行う。とりわけ長く受け継がれてきた衣服や美術品に宿る美しさへの強い関心から、「過去の遺物を蘇らせて、未来の考古物を発掘する」ことをテーマに活動。自ら「応用考古学」と称したように、時間の経過や自然によってもたらされる偶然性から、時代を超えて継承されてきた伝統工芸、不完全性によって生み出される美の概念までを幅広く探求。2022年4月9日、志半ばで致死性不整脈により27歳の若さで逝去。