The Chain Museum（東京都渋谷区、代表取締役：遠山正道）は、アート・コミュニケーションプラットフォーム「ArtSticker」が運営する麻布台ヒルズの飲食併設アートギャラリー「Gallery & Restaurant 舞台裏」で、2024年3月22日より上田義彦の個展を開催すると発表した。展示作品はArtStickerで販売する予定だ。

アート写真から広告写真まで、40年以上にわたり第一線で活躍してきた写真家・上田義彦。彼の作品はポートレート、森、家族など多様な主題を扱い、その誠実かつ一貫したまなざしで切り取った世界の瞬間は国内外で高い評価を受けてきた。

この展示では、1987年の果物の作品シリーズから昨年にかけて新たに果物を撮影した作品を発表する。上田の作品は長い年月をかけて丁寧に構想され、30年以上の時を超えて捉え直したモチーフが、自然光や絵画の世界のような背景と一つの画面で絶妙なハーモニーを創り出している。さらに、今回の撮影では、写真でしか出せない鮮明なリアリティや果物の象徴性、存在感、物語性が表現され、果物のポートレートのように感じられるだろう。

上田の作品は本質的な「生」を写し出し、そのものたちが纏う気配や重ねられた時間は、絵画のマチエールのような豊かさに表れる。優しく鋭い視点は作品を通じて我々の目に重なり、多層的な世界を映し出す。

「Gallery & Restaurant 舞台裏」は昨年11月に麻布台ヒルズにオープンしたばかりの新しいアートスペースだ。今回、長年にわたり写真表現を野心的に追求してきた上田義彦に展示を依頼した。コマーシャル・フォトの文脈で語られることも多い上田のキャリアだが、彼の作品を広告かアートかという二項対立で切り分けることはできない。上田の写真は、その普遍的な美をもって、鑑賞者の心の奥深くに訴えかける。

舞台裏は美術館でも従来のアートギャラリーでもない。作品を眺めながらワインを楽しむという自然かつ有機的な営みが、この空間をユニークなものにしている。ライフワークともいえる上田の作品にこの「舞台」で出会うことで、観る者の心に新たな物語の種が芽生えることを期待する。

上田 義彦（Yoshihiko Ueda）
1957年兵庫県生まれ。写真家福田匡伸氏、有田泰而氏に師事した後、1982年独立。

東京ADC賞最高賞、ニューヨークADC賞等、国内外の代表的な国際デザイン賞を多数受賞。2014年日本写真協会 作家賞を受賞。同年より多摩美術大学グラフィックデザイン科教授。

2011年～2018年、自身のスペースGallery 916を主宰し、写真展企画、写真集の出版プロデュースを行う。2021年には初めて脚本、監督、撮影を手がけた映画作品「椿の庭」を公開。

主な個展に「上田義彦『Photographs』」（東京都写真美術館、2003年）、「Chamber of Curiosities」（東京大学総合研究博物館、2006年／国立台湾芸術大学芸術博物館、台北、2011年／リヨン市ガダーニュ美術館、フランス、2011年へ巡回）、「QUINAULT」（G/P Gallery、東京、2009年／Michael Hoppen Gallery、ロンドン、2010年／TAI modern、サンタフェ、2010年へ巡回）、「風景の科学 −芸術と科学の融合−」（ 国立科学博物館 、東京、2019年）、「いつでも夢を・永遠要憧憬 」（代官⼭ヒルサイドテラス・ヒルサイドフォーラム、gallery ON THE HILL / 小山登美夫ギャラリー、2023年）など。

主な写真集に『QUINAULT』（青幻舎、1993年）、『AMAGATSU』（光琳社出版、1995年）、『at Home』（リトル・モア、2006年）、『Materia』(求龍堂、2012年)、『A Life with Camera』（羽鳥書店、2015年）、『FOREST 印象と記憶 1989-2017』（青幻舎、2018年）、『椿の庭』（赤々舎、2020年）『Māter』（赤々舎、2022年）、『いつでも夢を』（赤々舎、2023年）等多数。

作品はエルメス・インターナショナル（フランス）、ケンパー現代美術館（アメリカ）、ニューメキシコ美術館（アメリカ）、フランス国立図書館（パリ）、Stichting Art & Theatre（オランダ）に所蔵されている。