中国の伝統哲学思想から着想、東京を拠点に活動するブランド KAKE WANG とは?
デザイナー王偉建は、昨年多摩美術大学卒業後同ブランドを設立し、現在は日本で主に衣装制作を中心に活動している。
ファッションとの出会いやデザインの根底にあるものについてデザイナーに話を聞いた。
2021年4月に多摩美術大学大学院の劇場美術デザイン専攻を卒業。同年10月東京にてファッションブランド<KAKE WANG>を設立。ブランドのデザインのコンセプトは、衣服のユニークなデザインをはじめ、ウェアラブルのインスタレーションアートにまで及ぶ。伝統的な東洋哲学思想のアイデアと衣類以外の素材・材料を組み合わせて、従来の衣服の形式を破り、人々に新しい視覚的なインパクトをもたらしていく。
デザイナーになるまでの経緯
手芸と編み物が上手な母の影響を受け、小さい頃から衣服やバッグ制作し、刺繍を施していました。
Alexander McQueen の作品を見たことがきっかけで、衣服の素材や表現形式に興味を持ち、大学からファッションデザインを始めました。
衣服とデザイン制作を勉強する過程で、色々な衣服のデザインスタイルを試し、衣服の素材と材料を中心に自分のデザインにおける表現形式を見つけていきました。
作品制作におけるインスピレーションの源
東洋文化がとても好きなので、衣服を作り始める際、伝統的な東洋の要素を自分のデザインに融合しようと試み始めました。
特に中国の伝統哲学思想の「易経」の「天人合一」の宇宙観を含め、水墨画の余白、太極、漢字などがインスピレーション源となっています。
コスチュームデザインにこだわる理由
作品を製作する過程では、衣服の素材や着方をデザインするのが好きです。
様々な素材を衣服に応用して、最終的には面白いユニークな組み合わせの形式で衣服を作っています。
衣服のデザインと作成過程から心と体の満足を得ているのです。
自分が作った衣服を通して、自分ならではのデザインコンセプトを伝えたいと思っています。
代表的な作品について
こちらの2つの作品は、最も気に入っている作品の1つです。
インスピレーションは中国の伝統哲学思想『易経』の「天人合一」の宇宙観から得て、デザインは太極の要素を抽出しました。
太極の陰陽を漢字の凹凸に対応させ、“凹凸”2つの漢字をバンドの織りを通してパターンを作成し衣服に表しました。
デザインは、陰陽、黒白、凹凸を通して対立的な視覚効果を作り出しました。
これはグローバリゼーションの中で、生じた環境問題、ジェンダー問題および他の矛盾した関係を反映したものです。
ブランドにおける将来の展望
私は衣服は人間社会とともに発展するものだと思います。
衣服は人間社会の現状を反映するだけでなく、人の成長過程も反映することができます。
今後も衣服をデザインすることを表現方式として使い続けて行き、衣服を通して自分の考え方を表現し、実際の社会問題を反映しながら、人々に私の衣服が物質的だけでなく、精神的にも良い影響を与えることを願っています。
KAKE WANG
https://www.instagram.com/kakewangtokyo
Photographer:SHU YU
Video:MA YICHENG
Stylist:MASAMI
Makeup Artist:Eriko
Hair Stylist:MASASHI
Set Designer:Fifi
Model:RABU、SAORI