田名網敬一「DO NOT BOMB」展が開催、NANZUKAの新ギャラリーでこけら落とし
田名網の創作の原点には、幼少期に経験した第二次世界大戦がある。防空壕から見た照明弾や水槽の金魚、爆撃の轟音、戦後の焼け野原となった東京などの記憶は、その後に大きな文化的影響を受けたポップカルチャーのイメージと重なりながら、60年以上にわたる創作のなかで繰り返し作品へと取り込まれてきた。田名網は自身の制作を、戦争体験をそのまま再現するのではなく、変化し続ける記憶を再構築する行為として捉えていた。

田名網 敬一《NO MORE WAR》1967 Silkscreen print on paper H63 x W48 cm ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網 敬一《Goldfish》1973 Acrylic on illustration board H36.4 x W51.5 cm ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA
2024年、国立新美術館で開催された回顧展の準備期間中に制作した《DO NOT BOMB》は、1960年代後半にベトナム反戦をテーマに発表した《NO MORE WAR》シリーズの精神を現代へとつなぐ作品。田名網自身の戦争体験を象徴する金魚のモチーフが爆弾へと姿を変え、「DO NOT BOMB」の文字が画面に大きく配されている。爆発で飛び散る破片を薔薇の花弁として描くなど、恐怖や暴力の記憶を鮮烈な色彩やユーモアへ変換してきた田名網の制作を伝える一作となっている。

田名網 敬一《Frederik Ruysh - 臓器の劇場》1987 Acrylic on canvas H145.5 x W145.5 x D 3.5 cm ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

田名網 敬一《ピカソ母子像の悦楽 No.713》2023 Acrylic on canvas H162 × W130.3 × D4 cm ©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA
会場では《DO NOT BOMB》を中心に、未発表の新作ペインティングのほか、1960〜70年代のシルクスクリーン、コラージュ、ペインティング、アニメーション作品を展示。さらに、17世紀の解剖学者フレデリック・ライシュの『Thesaurus Anatomicus』に着想を得た《臓器の劇場》(1987)、生命の営みを象徴的に表した木彫による箱庭作品シリーズ、コロナ禍以降に取り組んだ《ピカソの悦楽》シリーズ(2020-2024)、近年の立体・映像作品まで、幅広い作品群を紹介する。
戦争の記憶と、アメリカンコミック、広告、映画、漫画、特撮など戦後文化のイメージを交錯させながら制作を続けた田名網。本展では、初期から晩年までの作品を通して、その創作の軌跡をたどる。
プロフィール

©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA
田名網敬一
1936年東京生まれ、2024年逝去。武蔵野美術大学卒業。アートディレクター、グラフィックデザイナー、イラストレーター、映像作家、アーティストとして領域を横断しながら活動した。「編集」というデザインの方法論を用い、コラージュ、プリント、ドローイング、アニメーション、実験映画、ペインティング、立体作品、インスタレーションなど幅広い作品を発表。近年の主な展覧会に「I'm the Origin」(Daelim Museum、ソウル、2024年)、「Memory Collage」(ICA Miami、マイアミ、2024年)、「記憶の冒険」(国立新美術館、東京、2024年)、「PARAVENTI: KEIICHI TANAAMI」(プラダ青山店、東京、2023年)などがある。
Instagram:@keiichitanaami_official
開催情報
「DO NOT BOMB」
会期:2026年9月12日(土)–10月17日(土)
会場:NANZUKA
住所:東京都渋谷区渋谷2-17-1 渋谷アクシュ3F
開館時間:月曜日–土曜日 11:00-19:00
休業日:日曜日
ウェブサイト:www.nanzuka.com
Instagram:@nanzukaunderground