「染谷聡 trace tracing」漆をメディアとして捉え直す思考の軌跡、京都でひらく装飾の視点
染谷はこれまで、漆を単なる工芸素材としてではなく、時間や文化、感覚を行き来させる「メディア」として捉えてきた。塗料としての機能や文化的背景、艶や加飾技法に宿る質感に目を向けながら、装飾という行為のあり方を探ってきた作家だ。 
本展では、鍵善のお菓子や黒田辰秋の作品、過去の器物の調査をもとにした作品群が並ぶ。既存の造形や記憶をなぞるように、素材との関係が重なり、鑑賞のなかで新たな像が立ち現れる。

《お椀獣|か》2026年 漆、お椀(既製)、粘土、拾集物(漂流していた発泡スチロール片、石、枝)など 360×180×260mm 撮影:来田猛

《ミストレーシング/をどる桃》2021年 漆、漆器(古物)、木 皿: 160×160×10mm 箱:180×180×110mm 撮影:坂本理

《ものの景(かげ)〈羊羹〉》2026年 漆、檜など 各140×38×110mm 撮影:来田猛
歌人・岡野大嗣との協働も本展の軸のひとつとなる。作品と短歌を行き来することで、鍵善のお菓子という存在が、視覚と言葉のあいだに置かれる。かたちの外側にある記憶や味わいに、想像を重ねる時間がひらかれていく。 

鍵善模様

お菓子の影をトレースする様子
漆というひとつの素材を起点に、異なる時代や作り手のまなざしが連なっていく。その往復のなかで、装飾という行為の豊かさと、それぞれの素材との向き合い方が静かに浮かび上がる。
プロフィール
染谷聡(そめや さとし)
1983年東京都生まれ。幼少期の6年間をインドネシアで過ごし、装飾行為への関心を深める。2014年京都市立芸術大学大学院工芸科漆工専攻博士課程修了。漆を時間や文化、感覚を媒介する「メディア」として捉え、「装飾」を人と自然、歴史との交感を可能にする読み物として表現している。2015年京都市芸術新人賞受賞。
開催情報
企画展「染谷聡 trace tracing」
会期:2026年4月19日(日)~2026年7月26日(日)
会場:ZENBI -鍵善良房- KAGIZEN ART MUSEUM
開館時間:10:00~18:00(最終入館17:30)
休館日:月曜日(祝日の場合翌平日)
入館料:一般1000円、大学・高校・中学生700円、小学生以下無料
主催:ZENBI -鍵善良房- KAGIZEN ART MUSEUM
協賛:株式会社SGC
協力:岡野大嗣、浄法寺歴史民俗資料館
企画:井村優三(イムラアートギャラリー)
ウェブサイト:https://zenbi.kagizen.com/
Instagram:@zenbinokancho
X:@ZENBI_KAGIZEN