8カ国13組が参加「KYOTOGRAPHIE 2026」テーマは“EDGE”、4/18(土)より京都市内各所で開催
「EDGE」は、物理的・社会的・心理的な境界をはじめ、写真メディア自体が持つ“周縁性”や“臨界点”を示す。今年の展示は、そうしたエッジに立つ感覚──不確実性と可能性が交錯する場を、さまざまな表現で立ち上げる。
今年のプログラムでは、共同ディレクターによる現地リサーチを経て、南アフリカから3名のアーティストとアートラボラトリーが参加。写真表現を通じて、同地の社会的背景やアイデンティティに迫る視点が紹介される。メインエキシビションに加えて、京都市内各所でトーク、ワークショップ、イベントなど多彩なパブリックプログラムを展開予定。キッズプログラム、マスタークラス、インターナショナルポートフォリオレビュー、フォトブックフェアやパブリックイベントなど、対話と発見の場が広がる。
また、多様な写真表現を紹介するサテライトフェスティバル「KG+」や、音楽とサウンドアートの祭典「KYOTOPHONIE」も同時開催。京都の町が、写真・音・人のつながりが交差する「生きた舞台」となる。
各展示紹介

From Letter to St-Loup, 1990. © Daido Moriyama/Daido Moriyama Photo Foundation
森山大道「A RETROSPECTIVE」
Presented by Sigma
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊2階
約60年のキャリアを振り返る回顧展。出版物や雑誌に焦点を当て、写真という表現の臨界点を突き続けてきた森山の軌跡をたどる。「現実の表象」や「真実と虚構」が交錯する作品群に、写真が持つ“エッジ”が集約されている。

What I Do To Please You I Do, 1981 2008 © Linder, Courtesy of the artist and Modern Art, London
リンダー・スターリング
Presented by CHANEL Nexus Hall
会場:京都文化博物館 別館
1970年代英国パンクシーンから登場した現代フェミニズムの象徴的アーティスト。身体表象と欲望に関する既成概念を壊し再構築するフォトモンタージュが、現代的な感性と視点を鮮烈に浮かび上がらせる。

Juliette Agnel / courtesy Galerie Clémentine de la Féronnière & Photo Days
ジュリエット・アニェル
Presented by Van Cleef & Arpels
会場:有斐斎弘道館
鉱物や植物、氷河などの風景を通じて、人と自然、可視と不可視の間にある霊性を探る。哲学的で詩的なシリーズは、自然と人間をつなぐエネルギーの“振動”を映し出す。

© Thandiwe Muriu, Courtesy 193 Gallery
タンディウェ・ムリウ「CAMO」
会場:誉田屋源兵衛 竹院の間
Presented by LONGCHAMP
会場:DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Space/出町桝形商店街
KYOTOGRAPHIE African Artist Residency Program
アフリカの伝統布を使い、被写体と背景を同化させることで、文化的アイデンティティの境界を可視化するシリーズ。京都でのレジデンス制作による新作も発表され、日本とケニアの視覚言語の交錯が見どころ。

© Sari Shibata
柴田早理
Presented by Ruinart
会場:ASPHODEL
シャンパーニュ地方の葡萄畑で、季節のうつろいと人間の成長・成熟を重ね合わせたストーリー性ある作品。自然と人間の共存のあり方、制御できない時間の流れをテーマに据える。

c803d74b-86ff-49a9-b633 3d83e9633402, Les Ruines de Paris, 2024 © Yves Marchand & Romain Meffre
イヴ・マルシャン&ロマ・メッフル
都市の廃墟を大判カメラで記録してきた2人が、AIを用いた架空の終末都市「パリ」や、京都を舞台にした新作シリーズを発表。写真とAIが交差することで、現実と虚構の境界を揺さぶる。

© Atsushi Fukushima
福島あつし
Supported by Fujifilm
会場:y gion
農業に従事しながら撮影された、労働と土地に根ざした生命の記録。収穫の現場に生と死が交差する瞬間を捉える作品群は、生きとし生けるもののエッジを描くような強度を持つ。

© Fatma Hassona
ファトマ・ハッスーナ
会場:八竹庵(旧川崎家住宅)
戦地ガザの日常を記録したパレスチナの写真家。若くして命を落とした彼女の作品は、戦争の“匿名性”に抗い、個の尊厳を写真で語る強い意志が貫かれている。

Shine Heroes, 2018 © Federico Estol
フェデリコ・エストル「Shine Heroes」
会場:誉田屋源兵衛 黒蔵
ボリビアの靴磨きたちをヒーローとして描き直すプロジェクト。仮面や衣装によって匿名性と誇りが共存する姿は、周縁から生まれる新たなアイデンティティを象徴する。

David Bowie, Chicago, 1980 © Anton Corbijn
アントン・コービン
Supported by agnès b.
会場:嶋臺ギャラリー
50年にわたる音楽・文化アイコンのポートレートを紹介。スローシャッターによるモノクロの表現が、人物の身体性や内面に潜む不完全性を捉える。

Installation view (vitrine): Photo book! Photo-book! Photobook! curated by Sean O'Toole, 11 February–21 May 2022. Image © A4 Arts Foundation.
A4 Arts Foundation「Photo book! Photo-book! Photobook!」
会場:八竹庵(旧川崎家住宅)
南アフリカの写真と歴史への理解を深めるため、1945年から2025年までのフォトブックを通じて読み解く。アーネスト・コールやデイヴィッド・ゴールドブラットらによる歴史的写真集とともに、検閲と抵抗、革新の軌跡が浮かび上がる。

手錠をかけられた黒人。不法に白人専用地区にいたとして逮捕される。南アフリカ、1960年代 © Ernest Cole / Magnum Photos
アーネスト・コール「HOUSE OF BONDAGE」
Supported by Cheerio
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊2階
アパルトヘイト時代の南アフリカを黒人写真家として記録した歴史的シリーズ。制度に抗う視線が、社会の深層にある構造的エッジを明らかにする。

Sophie on the winter solstice, Nature’s Valley, 2020 © Pieter Hugo
ピーター・ヒューゴ「WHAT THE LIGHT FALLS ON」
会場:京都市京セラ美術館 本館 南回廊2階
20年以上にわたる彷徨と記録。死と生、身体と記憶にまつわる写真が、観る者に“終わりと始まり”の感覚を呼び起こす。

Gladys, 2022 © Lebohang Kganye
レボハン・ハンイェ
Presented by DIOR
写真、テキスタイル、彫刻的な介入を交差させ、個人史とポストコロニアルな現実を紡ぐ。未完のアーカイブを受け継ぎ、創造を通して倫理を問い直す姿勢が貫かれる。
【開催情報】
展覧会名:KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2026
会期:2026年4月18日(土)〜5月17日(日)
会場:京都市内十数カ所(京都市京セラ美術館、嶋臺ギャラリー、y gion、他)
開館時間:会場によって異なる
休館日:会場によって異なる
観覧料:一般 6,000円(前売り 5,500円〜)、学生 3,000円
公式サイト:https://www.kyotographie.jp/