「柚木沙弥郎 永遠のいま」東京オペラシティ アートギャラリーで10/24(金)より開幕、生涯101年をかけて追い続けた“いま”の色と形
本展は、2024年に101歳で逝去した染色家・柚木沙弥郎の仕事を、代表作と資料から、その歩みをたどるもの。柳宗悦らの民藝運動との出会い、芹沢銈介のもとで培われた型染の基礎、挿絵や版画、コラージュへと広がった越境的な創作が、自由闊達な形と鮮烈な色彩で立ち上がる。多彩な作品群は、民藝の精神に根ざした造形の喜びと、豊かな色彩の世界を映し出している。

《小鳥》1992 年 型染、紬 坂本善三美術館蔵

《幕》1961 年 型染、木綿 坂本善三美術館蔵
展示は4章構成。
第1章「民藝はずっと僕の根っこにある」では、浴衣や手ぬぐいに用いられる染めの技法を広幅の布へ応用し、生活の洋風化に応答した挑戦が読み取れる。第2章「ワクワクしなくちゃ、つまらない」では、自己模倣への危惧から踏み出した版画や立体、絵本など、実用から離れた“自分のための染色”が伸びやかに展開する。第3章「旅の歓び」では、岡山・長野・静岡・岩手・島根といった縁の地、さらにインドやパリへの旅が作品と資料でつながり、作家をめぐる旅程へと誘う。第4章「今日も明日は昨日になる」では、2000年代以降のコラボレーションや商業空間のアートワーク、震災やパンデミックをくぐり抜けてなお明るく立ち上がる色と形に、時代を照らす力が浮かび上がる。

《ならぶ人》1982 年 型染、絹 岩立フォークテキスタイルミュージアム蔵

《「DEAN & DELUCA」カフェのための作品原画》2021 年 コラージュ、紙 ディーン&デルーカ蔵 撮影:奥田正治

《『トコとグーグーとキキ』絵本原画》2004 年 水彩、紙 公益財団法人 泉美術館蔵

《型染手文布》1983 年 型染、絹 個人蔵
会場には、初期の型染布から101歳時のコラージュまでを通覧できる代表作が集結する。国内外のゆかりの都市を取り上げた特集展示も設けられ、柚木の仕事の芯をなす“日々のくらし”への眼差しが、いまを慈しむためのヒントとして静かに響く。軽やかな造形と豊かな色彩に宿る創作の呼吸は、晩年に至るまで変わることがなかった。
会場に広がる色とかたちに、彼が見つめ続けた“いま”の気配を感じられるはずだ。
【作家プロフィール】
柚木沙弥郎(1922–2024)東京生まれ。戦後に倉敷で民藝に出会い、芹沢銈介に師事して染色を志す。日本民藝館展や国画会、個展を通じて型染の新たな地平を切り拓く。女子美術大学工芸科で教育にも尽力し、1987–1991年に学長を務めた。1980年代以降は版画、コラージュ、絵本、立体、ガラス絵などへ展開し、2000年代にはインテリアショップやカフェ、ホテルのアートワーク、企業との協働でも知られる。
【開催情報】
展覧会名:柚木沙弥郎 永遠のいま
会期:2025年10月24日(金)−12月21日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(ギャラリー1、2)
開館時間:11:00−19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(ただし11月3日、11月24日は開館)、月曜祝休日の翌火曜日(11月4日、11月25日)
観覧料:一般1,600[1,400]円/大・高生1,000[800]円/中学生以下無料
*同時開催「寺田コレクションハイライト 前期|収蔵品展 085 寺田コレクションより」「project N 100 富田正宣」の入場料を含む。
*[ ]内は各種割引料金。
*障害者手帳等をお持ちの方および付添1名は無料。
*割引の併用および入場料の払い戻しは不可。
主催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団、NHKプロモーション
協賛:日本生命保険相互会社
協力:相互物産株式会社
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)