深瀬昌久写真展「洋子/遊戯」、没後初公開となる妻・洋子のヴィンテージプリント33点、フジフイルム スクエア 写真歴史博物館で開催中
1960〜70年代、日本の写真界はかつてない表現の波に揺れていた。深瀬昌久(1934–2012)は、その時代に登場した写真家の中でも徹底的に「私性」を追い求め、日本独自の表現「私写真」の先駆けとされる存在だ。没後もなお国内外で評価は高まり続け、今春にはその半生を描いた映画『レイブンズ』が公開されるなど、再び脚光を浴びている。

©深瀬昌久アーカイブス

©深瀬昌久アーカイブス

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本展では、深瀬の創作の原点ともいえる、妻・洋子を被写体にしたモノクロ作品33点のヴィンテージプリントを没後初公開する。1963年の出会いから10年以上にわたり洋子を撮り続けた深瀬。カメラ越しに交わされた濃密な視線は、やがて二人の関係を終わらせることになるが、その時間は写真集『洋子』として結晶し、今もなお見る者を惹きつける。

©深瀬昌久アーカイブス

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展示されるのは、ふたりが出会った年に東京・芝浦のと場で撮影された一連の作品。深瀬お手製の黒マントをまとった洋子の姿は、単なるポートレートに留まらず、自己と他者、愛と距離感、そして写真の本質を静かに問いかける。写真家と被写体のあいだに流れる緊張と親密、その交差点に生まれた瞬間が、今も鮮やかに息づいている。
【作家プロフィール】
深瀬 昌久(ふかせ まさひさ)
1934年、北海道中川郡美深町生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。日本デザインセンターや河出書房新社での勤務を経て1968年独立。代表作に『鴉』『洋子』『家族』など。2012年没。2014年、深瀬昌久アーカイブス設立。世界各国で回顧展や写真集刊行が続く。
【開催情報】
展覧会名:フジフイルム スクエア 写真歴史博物館 企画写真展
深瀬昌久写真展「洋子/遊戯」
会期:2025年7月1日(火)~9月30日(火)
開館時間:10:00-19:00(最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで)
休館日:会期中無休
会場:FUJIFILM SQUARE(フジフイルム スクエア) 写真歴史博物館
入館料:無料
展示点数:B5相当32点、全紙相当1点、合計33点(予定)、モノクロ
主催:富士フイルム株式会社
後援:港区教育委員会
協力:深瀬昌久アーカイブス
企画:コンタクト
URL:https://fujifilmsquare.jp/exhibition/250701_05.html