「髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方」8/26(火)より資生堂ギャラリーで開催
髙田安規子・政子は、数学や物理学的な発想を背景に、本や鉱石、自然素材などを用いた緻密な構成によって、空間や時間の「スケール(尺度)」を表現してきた。展示空間の特性を読み取りながら構成される作品群は、繊細でありながら観念を刺激し、鑑賞者の感覚を揺さぶる。

《Relation of the parts to the whole》 2022 鏡、金具 サイズ可変
本展では、静岡県掛川市にある資生堂の文化施設「資生堂企業資料館」と「資生堂アートハウス」を訪れた際に出会った、資生堂の社名の由来でもある「至哉坤元 万物資生(いたれるかなこんげん ばんぶつとりてしょうず)」という一節に触発され、自然観や生命観を軸に構成。生命の誕生から進化の歴史、そして宇宙にまでつながる時空の層を、スケールとともに巨視的・微視的に捉え、可視化することが試みられている。

《Strata》 2022 化石、古本、鉱石、岩石、生物の骨 サイズ可変

《Timepiece》 2022 砂時計、砂 サイズ可変
展示の中心となる《Strata》は、地層を模した本棚に約500冊の本と鉱石や化石が配置され、生物の進化と知識の蓄積が表現される。《Timepiece》は、割れた砂時計からこぼれ出た砂や石、岩によって構成され、時間の概念とともに、生命の継承や終焉にまつわるイメージを喚起する。《Can’t see the forest for the leaves》では、自然界に多く存在するフラクタル形態を通して、「個」と「全体」の関係性を探る視点が提示される。《Spectrum》は、すべての生命の源となる光に着目し、その存在や広がりを空間の中に描き出す。これらの作品を含む約20点が展示される。

《Can't see the forest for the leaves》 2024 アンティーク ポストカード、顔料インク、葉 30×42 ㎝(額装サイズ)

《Spectrum》 2024 ヴィンテージ生地、ベッド、ベッドカバー サイズ可変
本展を通じて、宇宙の起源から人類の未来まで、異なる視点から世界を捉え直すことができるだろう。予測される未来の不安を越え、自然とともに生きる希望の兆しを探る機会となる。
【作家プロフィール】

髙田安規子・政子
1978年東京生まれ。安規子は多摩美術大学彫刻学科、政子は造形大学比較造形学科卒業。2005年、ロンドン大学スレード美術学校修士課程修了。主な個展に「クリテリオム 78」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、2010年)、「Going down the rabbit hole」(MA2ギャラリー、2022年)、「くり返すカタチ」(府中市美術館 公開制作88、2023–24年)。主なグループ展に「部屋のみる夢-ボナールからティルマンスまで」(ポーラ美術館、2023年)などがある。
【開催情報】
展覧会名:髙田安規子・政子 Perspectives この世界の捉え方
会期:2025年8月26日(火)〜12月7日(日)
会場:資生堂ギャラリー(東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階)
開館時間:平日 11:00〜19:00/日曜・祝日 11:00〜18:00
休館日:毎週月曜日(祝日も休館)
入場料:無料
主催:株式会社 資生堂
URL:https://gallery.shiseido.com/jp/