フェリックス・ベルトランの軌跡を辿る展覧会「フェリックス・ベルトラン コネクション」が京都dddギャラリーで開催
キューバ出身のベルトラン(1938–2022)は、バウハウスの構成主義やスイス派、アメリカン・モダニズムから影響を受けながら、イベロアメリカ圏におけるデザインと社会・政治を結びつける数々の作品を制作してきた。展覧会は、彼の人生と活動の舞台となった6都市の名を冠しながら、その思想と表現が横断する文化的ネットワークを可視化するものとなっている。
構成主義の明快さ、ミニマリズムの洗練、ポップアートの鮮烈さ──。ベルトランの作品群は、それぞれのスタイルが単に参照されるだけでなく、力強いビジュアル・メッセージとして統合されており、ポスターや出版物、エフェメラの中に時代の空気を濃密に封じ込めている。
本展では、17年にわたるイベロアメリカ・グラフィックデザインの研究を経て選び抜かれた資料を通して、出版と展示、イメージと言葉、そして記録と運動の関係を新たに編み直すような構成が試みられている。視覚文化がどのように政治や社会と結びつくのか。その応答として、ベルトランの表現は、いまなお私たちに強い響きをもたらす。
キュレーションと展示デザインを担当するのは、グラフィックデザイン分野で国際的に活動するソニア・ディアスとガブリエル・マルティネス。展覧会初日には、両名によるトークイベントとオープニング・レセプションも予定されている。

7月26日、17周年万歳 / モンカダ兵営襲撃17周年記念ポスター · DOR · 1970年

連帯、キューバとの連帯 / 連帯ポスター · OSPAAAL · 1970年
作家プロフィール
フェリックス・ベルトラン
フェリックス・フアン・アルベルト・ベルトラン・コンセプシオン(1938年キューバ、ハバナ生まれ―2022年、メキシコにて没)は、当代有数の知性溢れるイベロアメリカ出身デザイナー。スクール・オブ・ビジュアル・アーツ、プラット・インスティテュート – グラフィックアート・センター、およびアート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークで学び、グラフィックデザインへのコンセプチュアルなアプローチを形成した。その過程で、効果的な視覚コミュニケーションの基本原則として「シンプルさ」を重視するバウハウスの構成主義、スイス派や、アメリカン・モダニズムに影響を受けた。
キュレータープロフィール
ソニア・ディアス / ガブリエル・マルティネス
グラフィックデザインを専門とする作家、編集者、研究者、兼キュレーター。ソニア・ディアスは美術(サラマンカ大学)、広告(マドリード・コンプルテンセ大学)、ジャーナリズム(マドリード・カルロス3世大学)で学位を、博物館実践学・展示学で修士号(マドリード・コンプルテンセ大学)を取得。ガブリエル・マルティネスは哲学、社会学、デザインを学び、美術で博士号を取得(サラマンカ大学)。共にマドリードのパブリックアート・デザイン学校であるアルテディエスで教鞭を執り、共同で20冊の書籍を出版。
京都dddギャラリー第248回企画展
フェリックス・ベルトラン コネクション ―ハバナ ニューヨーク 大阪 メキシコ マドリード 京都―
会期:2025年8月29日(金)〜10月29日(水)
会場:京都dddギャラリー
住所:京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620 COCON烏丸3F
開館時間:火〜金 11:00〜19:00/土日祝 11:00〜18:00
休館日:月曜(9/15、10/13は開館)、および9/9、9/16、9/24、10/14
入場料:無料
URL:https://www.dnpfcp.jp/gallery/ddd/
Instagram:@kyoto_dddgallery
〈トークイベント〉
日時:2025年8月29日(金)16:00〜17:30
出演:ソニア・ディアス/ガブリエル・マルティネス(逐次通訳あり・要予約・無料)
〈オープニング・レセプション〉
日時:2025年8月29日(金)17:30〜19:00(入場自由)
