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絵画的表現とやきものが交わる、「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―『民藝』から現代まで」展が7/12(土)より開催

Jul 10, 2025
パナソニック汐留美術館では、2025年7月12日(土)から9月15日(月・祝)まで、展覧会「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―『民藝』から現代まで」が開催される。

絵画的表現とやきものが交わる、「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―『民藝』から現代まで」展が7/12(土)より開催

Jul 10, 2025 - NEWS
パナソニック汐留美術館では、2025年7月12日(土)から9月15日(月・祝)まで、展覧会「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―『民藝』から現代まで」が開催される。

本展は、陶芸作品における絵画的表現に着目し、近代から現代までの陶芸家約50名による約120点の作品を通して、陶芸と美術の境界を横断する多様な表現を紹介するものである。

ピクチャレスクは「絵画的な」「絵画のように美しい」といった意味を持つ美術用語で、18世紀頃のイギリスでは景観や庭園美を表す言葉として用いられていた。本展では、この言葉の拡がりに重ねあわせ、絵付けされた陶器にとどまらず、平面と立体がダイナミックに融合した形態や、メディアを越境して表現を更新していくような造形のあり方にも注目する。

出展作家には、個人作家として創作的な陶芸の礎を築いた富本憲吉やバーナード・リーチ、民藝運動を推進した河井寬次郎や濱田庄司をはじめ、伝統技術の革新をもたらした陶芸家や前衛陶芸の旗手、茶陶の名手、さらにイギリスやデンマークの作家や現代アーティストまで、時代も背景も異なる多彩な作家が名を連ねる。

本展では、陶芸作品の色彩や筆致、造形の美しさに加え、マチエールやモチーフ、平面と立体の融合といった観点から、絵画的表現との交差を多角的に読み解く構成となっている。

展覧会は、8つの章で構成されている。

序章「絵画と交差する陶芸」

はじめに、日本で陶芸を始めたイギリス人、バーナード・リーチの陶器とドローイングを手がかりに、陶芸と絵画的表現が交差するとはどういうことかを見つめる。

第1章「陶に描くこと」

富本憲吉や北大路魯山人らによる絵付けの陶器に注目し、筆致や構図などの絵画性を探る。

北大路魯山人《織部俎板盤》1949年、陶器、京都国立近代美術館

第2章「色彩のめざめ」

河井寬次郎や濱田庄司らの作品とともに、色彩を軸に陶芸表現を捉え直す。

河井寛次郎《三色打薬貼文扁壺》1960年代、陶器、個人蔵 撮影:大屋孝雄

第3章「マチエールのちから」

土を焼成する手法には、薪窯だけでなく電気窯やガス窯が存在する。従来よりも焼成の仕方に創意工夫する作家が現れる中で、焼成の効果としての表面の質感の表現に注目する。北大路魯山人、加守田章二、内田鋼一らの作品により検証する。

第4章「かたちの模索」

陶磁器制作の核心である形態の追求に、作家たちがどう向き合っているかを見つめる。イサム・ノグチ、山田光、加守田章二、深見陶治らの仕事を紹介する。

加守田章二《彩色角壺》1972年、陶器、個人蔵 撮影:大屋孝雄

第5章「うつわの表象」

イギリスやデンマークの作家を中心に、陶芸において重要な位置を占めるうつわの表現を紹介する。

アクセル・サルト《花器》1946年、陶器、個人蔵 撮影:大屋孝雄


ルーシー・リー《溶岩釉スパイラル文花瓶》1978年頃、陶器、茨城県陶芸美術館

第6章「モチーフを表す」

陶磁器の技法や特性をいかし、モチーフのある作品を追求した作家を紹介する。パブロ・ピカソ、ルディ・オーティオらの人物表現や、中村錦平、松田百合子の具象的な表現に注目する。

松田百合子《西瓜水瓶(フリーダ・カロへのオマージュシリーズ)》1996年、磁器、岐阜県現代陶芸美術館

第7章「往還する平面と立体」

近年、ジャンル横断的な作風が増えている。本章では、1960年代から80年代生まれの現代アーティストに注目し、二次元と三次元がどのように融合しているか、その表現のあり方をみつめる。

増子博子《移ろう景色皆川マスの絵付けより》2020年、陶器・手紙・ガラスケース、個人蔵 撮影:吉田健太郎

第8章「焼成と形象」

最後に、陶芸における焼成について問いかける現代作家の作品を紹介する。鯉江良二や桑田卓郎らの作品を展覧する。

また、本展にあわせて「ジョルジュ・ルオーの手仕事」も同時開催される。陶磁器に人物や静物を描いた作品や、同一主題を平面と立体の異素材に展開した作品とともに、筆触や彩色、画材、そして制作プロセスに注目することで、ルオーにおける手の仕事や工芸性の表れを捉える。展示は当館のルオー・コレクションを中心に約20点で構成される。絵画作品とともに、陶器を支持体とした油彩作品や立体作品を通して、絵画と工芸を往還するルオーの造形表現の一端を紹介する。絵画作品とともに、陶器を支持体とした油彩作品や立体作品を紹介し、ルオーによる造形表現の展開を見つめる。

ジョルジュ・ルオー《飾りの花》1947年、油彩、パナソニック汐留美術館


ジョルジュ・ルオー《古きヴェルサイユ》1950年頃、油彩、パナソニック汐留美術館

7月19日(土)、8月23日(土)、9月6日(土)には、当館学芸員によるスライドトークを開催。会場はパナソニック東京汐留ビル5階ホールで、いずれも15時から16時まで。定員は先着50名、予約は不要で、聴講は無料(ただし本展の観覧券の半券が必要)となっている。展覧会の背景や作品解説を深く楽しみたい方にはおすすめのプログラムである。

開催情報
展覧会名:ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―「民藝」から現代まで
同時開催:「ジョルジュ・ルオーの手仕事」
会期:2025年7月12日(土)〜9月15日(月・祝)
開館時間:10:00~18:00(最終入館 17:30)※一部夜間開館日あり
休館日:水曜日(9/10は開館)、8/12〜15
会場:パナソニック汐留美術館(東京都港区東新橋1-5-1
入館料:一般1,200円、65歳以上1,100円、大学・高校生700円、中学生以下無料
公式サイト:https://panasonic.co.jp/ew/museum/

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