Hebru Brantley 新作個展「traveling without moving」が11/18(土)〜12/24(日)までNANZUKA UNDERGROUNDで開催
ブラントリーはシカゴ生まれ、クラーク・アトランタ大学で映画の学士号を取得。デザインやイラストレーションのバックグラウンドを経て、現在はロサンゼルスにて壁画やペインティング、立体作品、インスタレーションまで精力的に創作活動をしている。これまでの主要な展覧会に、個展「Saints& Shepherds」(Fort Wayne Museum of Art, 2021)、「I Wish I Knew (What It Felt Like To Be Free)」(August Wilson Center, 2016)、「Parade Day Rain」(Chicago Cultural Center, 2015)などがある。
ブラントリーは 1960年代から70年代にかけてシカゴのサウスサイドで起こったアフリコブラ運動(AfriCOBRA)に多大な影響を受けており、壁画やグラフィティを、アフリカ系アメリカ人としての自身の系譜と切り離せないものと捉えている。その作品は、アメリカのステレオタイプな従来のヒーロー像や主人公の在り方に対する挑戦であり、鑑賞者に多様な視点を与える現代の物語でもある。キャラクターデザインの方法論を用いながら、多彩な色彩、ポップアート的なモチーフを組み込んだ作風で、郷愁や優しさ、強い精神、力や希望といったポジティブな文脈を表現するブラントリーの作品は、アメリカの人種問題を超えていこうとする若い世代から絶大な支持を集めている。
2021年に3110NZ by LDH kitchenとNANZUKA 2Gにて行われた「Mythos Opus Three」展に続き、NANZUKA UNDERGROUNDにおける初の個展となる本展を、ブラントリーは「文化的なアイデンティティ、スピリチュアリティ、そして成長(またはその欠如)に関連するムーブメントについての議論を通した、私の個人的な創造の旅」だと語る。
「ムーブメントを加速度的に実感する今、まさにこの時代において私の今回の作品たちは、このムーブに関連した成長の種類を確認し、研究するものである。私たちの現在の世代は、”バイラル(拡散)になる”という考え方が特徴的だ。そこでは、発展することなく成長が達成され、達成することなく地位が獲得され、成功するための挑戦が必要であるとは見なされない。私はこうしたムーブメントを、ロケットやミサイルの描写、そしてそれらが動くスピードを通して、明示した。その結果、私自身の中の精神的、感情的、文化的な航海という異なる成長の文脈を前面に強調することを意図している。人が瞑想を経て悟りを開くこと、音楽が音で旅をすること、あるいは家族や共同体内の親密な関係性が個人や集団の思考を推進することなど、人間の内的な成長を促すための“動かずに旅をする”方法論は、これまで数多く実証されている。自分がどこから来たのか、そしてそれを通じてどこへ行くべきかを理解することは、本来的に成熟に必要なプロセスだ。
私たちの本物のアイデンティティは、時には他人からの認識(それが肯定的なものでも否定的なものでも)だったり、あるいは私たちがどのように(困難を)背負い、忍耐し、前進するのかという選択のプロセスなどを通して形成され始める。私のこの展覧会は、こうしたコンセプトを抽出し、“フライボーイ”の宇宙への旅を語る一直線上の物語によって紡がれた、時代の例え話なのだ。」
(ヘブル・ブラントリー)
本展覧会は、銀座のMEGUMI OGITA GALLERYとのジョイント企画となり、2つの展覧会がそれぞれのギャラリーにて、同時に開催される。当ギャラリーのオープニング・レセプションは、11月17日(金)に、来日するアーティストを囲んで開催される予定だ。
開催日時:
2023年11月18日(土)〜12月24日(日)
水曜日〜日曜日 11:00〜19:00 *月曜日、火曜日休業
開催場所:NANZUKA UNDERGROUND
公式サイト:https://nanzuka.com/ja
Photo credit: Bianca Garcia
ヘブル・ブラントリー(1981年生まれ、IL、アメリカ)
ヘブル・ブラントリーは、アメリカの文化史において象徴化されてきたヒーロー像を再定義しようと挑戦している。時には概念化された既存のキャラクターイメージを用いながら、人々がステレオタイプに連想するイメージとのギャップを利用して、異なるアイデンティティー、カルチャー、美的センスを提案し、自身の作品の中でその価値を表現している。彼は自身の作品を、ポップアートの亜流ではなく、アフリカ系アメリカ人アーティストとしての哲学や思想を反映して、1960年代から70年代にかけてシカゴのサウスサイドで起こったアフリコブラ運動(AfriCOBRA)の系譜と捉えている。ブラントリーの描くキャラクターたちは、常に鑑賞者に対して、自由と変革についての考察を促している。それは歴史という時間軸の中で、我慢をして変化を待つという概念と、自らが望む世界の実現に向けて挑戦を続けるという概念の対比を露わにさせる。そう、ブラントリーの作品の最大の魅力は、アーティスト本人のその大きな身体と比例した人一倍の寛容さであり、未来へ向けたその創造的なビジョンなのだ。
https://www.instagram.com/hebrubrantley/