展覧会「日本の映画館」を4月12日(火)より国立映画アーカイブにて開催。
いま全国の映画館は、一か所に多くのスクリーンを持ち効率的経営を行うシネマコンプレックス(シネコン)が主流になり、映画が娯楽の王者だった時代の豪勢な大型劇場や、どの都市の街角にもあった小さな映画館の多くは姿を消してしまった。東京浅草に日本初の映画常設館が誕生してから120年近く経つが、その間、私たちはどんな空間で映画を楽しんできたのだろう。
「映画館で映画を見る」という何げない行為も、震災、戦争、復興、経済成長といった社会情勢や、人々の暮らしのモードの変化とともに移り変わってきた。この展覧会は、映画館の写真、プログラム、雑誌・書籍、実際に映画館で使われた品々などを通して、映画館の誕生、映画興行の発展期からミニシアターの時代まで、シネマコンプレックス登場以前の日本の「観客の映画史」に迫る。とりわけ、往年の貴重な興行資料を軸に、二つの大都市(川崎・北九州)の例を通して、映画館と人々のかかわりを示すとともに、建築としての映画館の変遷や、人の目に触れにくいフィルムの映写という技能にも着目。本企画は、映画館に人々が集うことの意義を再び確認するとともに、映画の持つパワーを映画館という場所から捉え直す好機となるだろう。
・本展の見どころ
映画興行発展の象徴となった東京浅草六区、戦前期の映画館建築、劇場が発行したプログラム・雑誌、戦時下の映画館の状況、フィルム映写、大型劇場が開場した戦後の映画黄金期、映画館を飾った絵看板、日本各地の映画館、1980年代のミニシアターブーム、映画館をめぐる本といった多彩なトピックで日本の映画館の歴史をたどる。
【特別コーナー <ある街の映画館>】
川崎市で映画館をメインとする事業を展開し、今年創業100周年を迎える株式会社 チネチッタ(旧美須興行)と、北九州市の映画・芸能資料館松永文庫が所蔵する映画興行主の旧蔵資料が、映画館が人々の日常の暮らしに寄り添ってきた時代を描き出す。
・開催概要
企画名:日本の映画館(英題 / Movie Theatres in Japan)
主催:国立映画アーカイブ
協力:株式会社 チネチッタ、北九州市松永文庫
会場:国立映画アーカイブ 展示室(7階)
会期:2022年4月12日[火]-7月17日[日]
休室日:月曜日、5月24日[火]-5月27日[金]
開室時間:午前11時-午後6時30分(入室は午後6時まで)
*毎月末の金曜日のみ開室時間を午後8時まで延長いたします。(入室は午後7時30分まで)
料金:一般250円(200円)/大学生130円(60円)/65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料
*学生、65歳以上、障害者、キャンパスメンバーズの方は入室の際、証明できるものをご提示ください。
*2022年5月18日(水)「国際博物館の日(毎年5月18日)」は、無料でご覧いただけます。
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)