「Time and Light」ペロタン東京で開催、マティルド・ドゥニーズの日本初個展
展示の中心は新作《Contours》シリーズ。ドゥニーズは、廃棄された日用品や自身の過去作品を切断し、組み替え、縫い合わせながら作品を制作を続けてきた。そうして生まれる断片を結び直し、時間や記憶を作品に重ねる。
今回はその関心を絵画そのものへ向ける。タブローという伝統的な形式に立ち戻りながら、平面として完結した絵画ではなく、複数の時間や関係が交差する場として絵画を捉え直そうとしている。
ドゥニーズの制作の軸にあるのは、断片を結び直すという発想だ。記憶は層のように重なりながら作品に残り、過去の痕跡を掘り起こしながら新しい形へと編み直される。そのプロセスは考古学にも通じる。切断と結合、忘却と再出現。そうした循環のなかで作品のイメージが形づくられていく。

Mathilde Denize, Contours, 2026. Acrylic and watercolor on canvas, pigments. 56 × 46 cm. Photo by Tanguy Beurdeley. Courtesy of the artist and Perrotin.

Mathilde Denize, Contours, 2026. Acrylic and watercolor on canvas, vinyl, leather, metal, seashells. 73.5 × 60 cm. Photo by Tanguy Beurdeley. Courtesy of the artist and Perrotin.

Mathilde Denize, Contours, 2026. Acrylic and watercolor on canvas, pigments. 56 × 46 cm. Photo by Tanguy Beurdeley. Courtesy of the artist and Perrotin.
キャンバスには、映画セットや広告制作の現場で廃棄された塗料による、淡いピンクや紫、黄色、深い青、ビロードのような赤などの色が重なる。こうした色は単なる装飾ではなく、画面のなかで関係や動きを生む要素として配置されている。
色と形の関係から複数の現実が同時に現れるというドローネーの「シムルタニズム」は、ドゥニーズの絵画のなかで現代的な感覚として更新されている。ドゥニーズの作品では、色は意味を示す記号というより、空間や身体に作用するリズムとして使われている。
展示空間では、絵画が水平線のように並び、色と形の連なりが空間にゆるやかな流れを生む。作品群は一つのアルバムや楽譜のようにも感じられ、反復や変化が空間全体へ広がる。
鑑賞者は、視線や身体、時間や光との関係のなかで作品を体験する。ここでの絵画は固定された対象ではなく、見る行為とともに変化するものとして提示されている。
プロフィール

Photo by Claire Dorn. Courtesy of the artist and Perrotin.
マティルド・ドゥニーズ
1986年フランス・サルセル生まれ。パリを拠点に活動。絵画、インスタレーション、彫刻的構成、パフォーマンス、映像など多様なメディアを横断する制作を行う。
廃棄されたオブジェクトや自身の過去作品を素材として再構成する制作で知られ、断片化した現代の風景から新しい意味や形を引き出す作品を発表してきた。キャロリー・シュニーマンなど実験的なアーティストの影響も受け、身体を重要な表現媒体として扱う点も特徴のひとつだ。
Instagram:@mathildedenize
開催情報
展覧会名:Time and Light
会期:2026年3月24日(火)– 6月27日(土)
会場:ペロタン東京
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1F
開館時間:11:00 – 19:00
休廊日:日曜・月曜
観覧料:無料
ウェブサイト:https://www.perrotin.com/
Instagram:@perrotin