梅田哲也と呉夏枝が導く、記憶と水の交錯点——「Tokyo Contemporary Art Award 2024–2026 受賞記念展『湿地』」が12/25(木)から東京都現代美術館で開催
東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が主催する現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」の第5回受賞者である梅田哲也と呉夏枝が、本展で共演を果たす。両者は受賞後、継続的に対話を重ねながら展示構成を構想し、それぞれの作品が空間の中で緩やかに交錯するインスタレーションを実現した。
展覧会タイトル「湿地」は、両者の近年の作品に共通するモチーフである「水」を起点に、受賞後の対話の中から導き出された。水と陸のはざまに広がり、多様な生態系をはぐくむその地形は、異なる手法をもつ2人の作品が空間の中で重なり合い、時に反転しながら関係しあう本展の構成そのものと響き合っている。
呉は、在日韓国人三世としての背景を出発点に、語られなかった記憶に向き合いながら、日本・韓国・オーストラリアを舞台に「grand-mother island project」を継続してきた。織や染といった繊維素材にまつわる技法に、写真、音声、テキストを組み合わせ、個人の記憶とその継承の可能性を探る彼女の作品は、鑑賞者との対話の場を生み出す。今回は、対馬や済州島でのリサーチに基づく、海女文化に関わる新作も展示される予定だ。

呉 夏枝《彼女の部屋にとどけられたもの》2019 撮影:根本 譲 画像提供:水戸芸術館現代美術センター

呉 夏枝《海図》2017–2019 撮影:木暮伸也 画像提供:小山市立車屋美術館

呉 夏枝《海鳥たちの庭》2022「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」展示風景(森美術館、東京) 撮影:木奥惠三 画像提供:森美術館
梅田は、空間の中に音や物理現象を組み込みながら、目に見えない構造を浮かび上がらせるインスタレーションを展開してきた。今回の展示では、呉の作品と共存する空間に新たな導線を設定し、美術館という制度の枠組みに対して観客の身体的な気づきを促すような構成を試みる。音が導く視線や動線の再設計は、空間そのものを読み替える体験へとつながっていく。

梅田哲也「wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」展示風景(ワタリウム美術館、東京、2023) 撮影:天野祐子

梅田哲也「wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」展示風景(ワタリウム美術館、東京、2023) 撮影:天野祐子

梅田哲也「梅田哲也イン別府『O 滞』」(別府各所ほか、2020) 撮影:天野祐子
全く異なるアプローチを持つ2人が、水をめぐる関心と、個人史や制度への視座を重ねながら、共鳴しあう場を創り出すこの展覧会。TCAAだからこそ実現できた挑戦的な展示といえるだろう。
【プロフィール】
梅田哲也(うめだ てつや)
1980年熊本県生まれ、大阪府在住。物理現象や日常素材を用いたインスタレーションや、観客を非日常的な空間へ誘うツアー形式のパフォーマンス、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点を持たない合唱プロジェクトなどを展開。
近年の個展に「wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ」(ワタリウム美術館、2023)など。
呉 夏枝(お はぢ)
1976年大阪府生まれ、オーストラリア在住。織や染などの繊維技法と、写真・音声・テキストを組み合わせたインスタレーションを通じて、語られなかった個人の記憶やその継承の可能性を探る。
近年の展覧会に「アジア・パシフィック・トリエンナーレ 11」(2025)、「六本木クロッシング 2022 展」など。
Instagram:@haji_tesusabi
【開催情報】
展覧会名:Tokyo Contemporary Art Award 2024–2026 受賞記念展「湿地」
会期:2025年12月25日(木)〜2026年3月29日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 3F(東京都江東区三好4-1-1)
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月曜日(1月12日、2月23日は開館)、12月28日〜1月1日、1月13日、2月24日
観覧料:無料
主催:東京都、トーキョーアーツアンドスペース/東京都現代美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
ウェブサイト:www.tokyocontemporaryartaward.jp
Instagram:@tokyoartsandspace @mot_museum_art_tokyo